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3話 「転生エルフの新しい世界」

ケレヴリルが目を覚ますと、何かわからないけど良い匂いがしていた。

ゆっくりと体を起こそうとして、袋の中で寝ていた事を忘れて手が引っかかった。

不思議だけど便利な留め具を外すと体を起こす。

「あっ、起きたの?おはよう。」

相変わらず何を言っているのかわからないが、挨拶だろう。

この袋は案外寝心地が良かった。

柔らかくて暖かくて寝るのに最適だ。

そんな事を思いながら広げたり中を覗いたりしていた。

彼がそんな私の隣にカップを置いた。

中には薄黄色の暖かそうな飲み物が入っていた。

そして軽く焼かれた柔らかそうな何かも一緒に置かれた。

私の分という事だろうか?

「《あ、ありがと。》」

通じないとは思うが一応、礼を言わずにはいられなかった。

まず暖かそうな飲み物をいただく。

温かいというより熱い。

だが、味わったことがないコクがあって甘くて美味しい。

これなら何杯でも飲めそうだ。

隣の柔らかそうなモノもいただく。

表面がカリッとしていて、中がすごくフワフワしている。

それでいて良い匂い。

これは凄く良い食べ物に違いない。

昨日の赤い木の実もそうだし、カップに入った不思議な料理もそうだ。

彼は私を凄くもてなしてくれている。

なんのお礼もできない私に。

だが、それでも私は彼の厚意に感謝して甘えるしかなかった。

この世界に転生したものの、何も持たないからだ。

食べれる物もわからない。

住む場所もない。

頼れる人もいない。

生活の知識もない。

麻袋に入ったカードをもう一度見る。

・ケレヴリル=アルヴァ=ロドヴィッチ

・女

・250歳→19歳

・エルフ→人間

・ベルシェ→日本国

・魔力 750→0

・言語変換、生活基盤、スキル等のサポート無し

・肉体、特技は転生前に準ずる

・現在時刻 8:00

時刻以外何も変化が無い。

一体どういう仕組みなのかわからないが時刻だけは教えてもらえるようだ。

ふと昨日見なかった裏を見る。

裏には何かの記号だろうか?

読めない文字が刻まれていた。

それを男が来て横から覗く。

ケレヴリルも彼にそれを見せた。

「…ケレヴリル=アルヴァ=ロドヴィッチ?そんな名前なんだ?」

彼が私の名前を呼んだ。

このカードの裏には彼が読める文字が書いてあるようだ。

私は彼にカードを渡して読んでもらう。

「…19歳の女の子…。あとは文字化けしてわからないけど、どうも日本語はわからないみたいだな。国籍も存在無しって書いてあるし。」

彼がカードを返してくる。

多分、表と同じ事が書いてあるんだと思う。

彼が理解してくれて、しばらく世話になれればありがたいのだが…。

この布の家も悪くない。

雨露はしのげるし、意外と中のスペースも広い。

「さてと。あのカードを見た感じだと行く当ても無いって事なのかな。とりあえず家に連れて行って、言葉を教えて。…できれば…可愛いから彼女になってくれたら嬉しいんだけど、それはまだ先でもいいか。とりあえずテントを畳んで帰る支度をするか。」

何か言うと、家を支える骨組みを外して家を壊し始めた。

彼が何故か突然布の家を壊し始めてオロオロしてしまう。

次々と骨組みを壊してしまう。

今まで使っていた食器や道具が全て片付けられた。

壊された骨組みを手に取る。

「《…軽い?それにあんなに曲がっていたのに真っ直ぐになってる。中に紐が通っていて組上げるようになっているのね。こんなに軽くて柔軟な金属があるなんて…まさか!これがあの伝説の金属、オリハルコン!?それを家に使っていたなんて…彼は一体何者なの!?》」

どうやら彼の行動を見ていると、壊したのではなくて移動の準備のようだった。

布の家は丸められて彼の背負うバックに入った。

食器や道具も一緒に入っている。

あんなにたくさんあったはずの物が全てバックに入ってしまうなんて、凄く便利な移動式住居だと思った。

こうなってしまっては仕方ない。

私はしばらく彼に付いて行こう。

この世界では彼しか頼る相手がいないのだ。

これも運命の出会いだと思って付いて行く事に決めた。

彼が行くところに私も行く。

私もこの世界でもう一度生きてみる。


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