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2話 「森の中で出会った男性」

ケレヴリルが目を覚ますと森の中だった。

身体に付いている葉っぱを払って立ち上がる。

まわりを見回すと、見た事が無い木が立ち並んでいる。

「《…ここは?見た事が無いところだけど…。あの人間!私をてきとうに飛ばしたわね!》」

ケレヴリルがグチグチ言いながら山を歩いて行く。

もともと森の中で育っているため、山歩きは苦にならない。

5分ほど道なき道の山を下っていくと広い草原に出た。

草原に一軒の家が見えた。

そんなに大きくないようだ。

ケレヴリルはそこまでゆっくりと警戒して歩いて行く。

一体何がいるかわからないからだ。

音を立てないように静かに近づくと、草原に腰掛けて絵を描いている男を見つけた。

よく見ると家も布で出来ている。

2本の骨組みで布を張って住んでいるようだ。

「《ねぇ。ここはどこなの?アナタは人間よね?》」

ケレヴリルが話しかけると男が振り返る。

「えっ?なに?どうかしました?」

…男が何て言っているのかわからない…。

世界中のほとんどの言葉は調べて知っているはず。

それなのに目の前の男は知らない言葉を話している。

男が描いていた絵を見ると風景が描かれていた。

見た感じ無害そうな男だ。

ただ、反射的に武器を取ろうと腰に手をやる。

そこには武器は無く、小さな麻袋がぶら下がっていた。

目の前の男を尻目にその中身を確認してみる。

男は不思議そうに見守っている。

麻袋の中には一枚のカードが入っていた。

そのカードを確認してケレヴリルは驚愕した。

「《そ、そんな事って!?》」

そのカードにはエルフ語でこう書いてあった。


・ケレヴリル=アルヴァ=ロドヴィッチ

・女

・250歳→19歳

・エルフ→人間

・ベルシェ→日本国

・魔力 750→0

・言語変換、生活基盤、スキル等のサポート無し

・肉体、特技は転生前に準ずる

・現在時刻 16:00


「《…な、なによコレ…?》」

あからさまに動揺している。

「…大丈夫?」

青い顔をしているケレヴリルに男が声を掛ける

ケレヴリルはキッ!とキツイ目をすると、そのまま山の中に走って行ってしまった。

男はそれを呆気にとられて見送っていた。

「…一体何だったんだろ?」

そう一言呟くと、また座って絵の続きを描き始めた。


それから3時間後。

俺はテントの前で夜空を見ながらコーヒーを飲んでいた。

ガサガサッ!

すぐ近くで物音がする。

振り返ると先ほどの女性が泣きながら立っていた。

「《どうなってるのよー!本当に私がいた世界じゃないじゃない!》」

本当になんて言っているのかわからないけど、困っているようだ。

クゥー

女性のお腹が鳴る。

どうもお腹が空いているようだ。

「《食べられる木の実とかもわからないし。エルフじゃなくなってるからお腹空くし…。》」

やっぱり何て言っているのか全くわからない。

テントの中にあるバックからリンゴを出して手渡す。

女性が泣き止んでリンゴと俺を何度も見る。

あんまり見られると恥ずかしくなってくるから食べていいと手で合図する。

「《ありがとう。…見た事ない木の実ね。でも甘い香りがして美味しそう。いただきますね。》」

シャクッ!

ケレヴリルはその果実を食べて目を丸くした。

今まで食べた事がないほど美味しいのである。

「《こんなに美味しい木の実があるなんて!きっとこれは人間の貴族が食べるようなものに違いないわ!》」

感動しているケレヴリルの目の前で男は焚火でお湯を沸かし、不思議な絵が描かれたカップにお湯を注ぐ。

二つのカップにお湯を入れて私をニコニコしながら見ていた。

まさか、この木の実は貴重なもので一つしか無いとか!?

だから彼はお湯を飲んで空腹を我慢しなければならないとか!?

それなら、この美味しい木の実を食べてしまったのは悪かったわ…。

そんな貴重なものを見ず知らずの私に恵んでくれるなんて…。

ちょっと食べてしまったけど、お返ししないと…。

そんな事を考えながら目を逸らしておずおずと食べかけのリンゴを返そうとする。

「もういいかな?」

男が声を出した。

男が不思議なカップの一つに食べる道具を入れて私に渡してくれた。

中を見ると細長い物体と茶色い物体、黄色い物体が入っていた。

一体いつの間にこんなものを作ったのだろう?

そう考えたが、そんな事よりも凄くいい匂いがしていた。

今まで嗅いだことが無い美味しそうな良い匂い。

チラッと男を見ると、木の棒2本で器用に食べていた。

私も安心して食べる事にする。

チュルッ!

口の中に入れた瞬間に味わったことのない衝撃の味が広がった。

これはもはや味の革命と言わざるを得ない!

きっとこの料理を作った彼は有名な人間の料理人に違いない。

これほど美味しいものを私はまだ知らなかった。

彼がどんな顔をして見ていたのかはわからない。

それほど夢中で食べていた。

食べ終わった男が口をゆすいで戻ってくる。

カップに入った水を持ってきてくれたので、彼と同じように口をゆすいで戻る。

「そろそろ寝ようかな。今夜は遅いし、泊っていきなよ。寝袋貸すからさ。」

何て言っているのかはわからないが、どうにも泊れと言っているようだ。

そこまで世話になるわけには…と思っていたが、彼が何かを準備しはじめたのでわからないお言葉に甘える事とした。

彼が準備してくれた分厚い袋に入って寝る。

布の家で寝るのは初めてだが悪くない。

それにこの袋は温かいし柔らかい。

朝になったら何とか考えないとな…。

そう考えながらケレヴリルはすぐに眠りに落ちていった。



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