間章 妹の為にお姉ちゃんは立ち上がります。
毎週日曜更新予定!!
「弥さん? どうですか? 意識はありますか?」
声が聞こえる。
それはいつもと同じ。
じゃあ、私の瞼は開くのか。
自力で開けるのか。
いつもとは、少し違った。
久しぶりに開ける瞼は、重かった。
その重さが懐かしく感じた。
(すごい……。これが最新のVR……)
私は口を開ける。
舌に唾がからまり、言葉が出る。
だがそれと一緒に、膝がカクン……と折れる。
鼻の奥が熱くなる。
やっと見えた目の前がぼやけてくる。
「はいっ……。はいっ……! ヒック……ヒッ……」
涙がこぼれてくる。
8年……8年の時間は、ながかった。
永遠のように感じた。
怖かった。
怖くて堪らなかった。
学校では、自分の意見をちゃんと持ち、男子にもハッキリ物を言っていた。
自分は自分が強いと思っていた。
そういえば、妹と居るときも、お姉ちゃんが居るから大丈夫だよって言えるように頑張っていた。
けど、空回りしていた。
妹は、10歳下。
だけど、すっごくしっかりした。
私は、そんな妹に甘えていたのかもしれない。
妹は、ずっと私と一緒に居てくれる。
信じれたんだよね。
こんな私が。
でも、暗闇になったとき、誰もいないって思っちゃった。
この暗闇から、生きる希望をくれたのも、妹なのに。
妹にありがとしなきゃ。
でも、今は目の前の人に感謝しなきゃ。
「ありがとうございます……っ!!」
この人は、私を生かしてくれた。
「本当に……ありがとうございます!! 英斗先輩!」
この人に私は。
「君に会えて良かったよ。弥」
恋をしている。
「では、行きますか」
私は頷く。
「はい。先輩。」
私は妹に誓う。
「飛鳥……。今行くからね」
お姉ちゃんだけは、絶対に裏切らないからね。
8年も待たせて……ゴメンね。
「……許してくれるかな?」
「妹を信じてやれよ」
っ!
……そっかぁ。
私は今まで信じきれてなかったんだ……。
お姉ちゃん、失格かな?
はっ!
ううん! 今から信じるんだ!
もう一度誓う。
絶対に裏切らない。
絶対に!
「決心がつきました! 先輩、行きましょう!」
「ははっ、先導きっちゃって。ま、行こうか」
ずっと無理だと思ってた事。
飛鳥ともう一度、同じ地面に立つ事。
今、成し遂げるからね!
「どうでした? 会ってみた感想は」
「……会えて良かった……っ! 話せて良かった! ありがっ、ありがとうございますっ!!」
「ははっ、泣くなよ。でも、それは良かった。じゃあ、仕事に移ろうか」
っ!
仕事……。
妹の……、妹の為。
私は袖で涙を拭う。
「はい。がんばります」
先輩……、好きです。
逢峰 小命さん……、大好きです。
あーっ!
言ってもらいたい!
あ。
復活いたしました。
迷惑をおかけいたし誠に申し訳ございません。
皆様の応援が耳に届きました。
聞こえなかったけど。
本当に読んでいただきありがとうございます。
これからもどうぞ、よろしくお願いします。
今回は。
読んでいただきありがとうございました。