博麗
幻想郷とは何か。
まずこの質問について答えるとしよう。
外の世界から切り離された楽園と呼ぶ奴もいる。
妖怪の巣窟と呼ぶ奴もいる。
箱庭と呼ぶ奴もいる。
この答えについて私はあの時は今と違う答えを出していた。
『初めまして。私の名前は八雲紫よ』
『……』
彼女との出会いは私が16の時だったろうか。
私が博麗の巫女としての初仕事をする時に彼女は唐突に現れたのだ。
『……妖怪か』
『あら、そんなに邪険に扱わないでよ。別に危害を加えに来た訳じゃないのよ』
『否定しないんだな』
『え?』
『自分が妖怪と言われて否定しないんだな』
この時の彼女の顔は今でも覚えてる。
目を丸くしてまるで鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
『あははは!これは一本取られたわ!』
なんだか変な奴だなぁと私は思った。
『それで?貴女は何しにこちらに?』
『博麗の巫女が初仕事と聞いてねぇ。どんなもんかと見に来たのよ』
『……どこでそれを』
博麗の巫女の使命は様々ある。
その1つ、誰もが理解している使命として妖怪退治がある。
この幻想郷には少ないが人が住んでいる里がある。
通称、人里と呼ばれる小さな里だ。
その人里に住んでいる人達に害を及ぼす妖怪を退治して人里を守る。
それが私、博麗の巫女として役目である。
『私が博麗の巫女に顔を出すのはこれが初めてよ?光栄に思いなさいな』
『すまないが私は貴女がどれくらい凄いのか理解してないのでな。光栄に思うかどうかで言えば困惑している』
その言葉に紫はそうよね、と呟く。
『ま、貴女には少々込み入った話があるのよ。今回の初仕事を終えたらすぐに神社に帰って来なさいな』
『まぁ、私の家だから帰ってはくると思うが』
『それじゃ行ってらっしゃーい』
私は釈然としないがとにかく仕事があるので出かけた。
今回の依頼の内容は鬼の退治だ。
夜になると毎夜人里の周りで暴れまわっているので退治して欲しいとの事。
(野良の鬼か……。放っておいたら人を喰ってしまうな)
徒歩で人里を離れて歩いているとやがて空は沈み黒く淀んでいく。
それに合わせて煌々と輝く月が出てくる。
『思ったよりも小さいな鬼ってのは』
『ナンダァ?コジンマリトシタヤツダナ』
『私は博麗の巫女。覚えなくてもいい名前だよ』
私は鬼の元へ走って近づくと拳を突く。
拳が当たる直前に鬼が足を真上に振り上げて私の顎にヒットさせる。
私はそのまま空に吹き飛ばされる。
『チョウドイイ、ハラヘッテタンダ』
鬼は落ちてくる私に向かい拳を叩きつけようとする。
しかし。
『喰われるのはお前だ。鬼!!』
私は空中で体を捻り回し蹴りを鬼の頭に当てる。
それだけで鬼の頭は簡単に千切れて吹き飛んだ。
『……ア?』
頭を失った鬼はいとも簡単に倒れ、動かなくなった。
『思ったよりも簡単だったな……』
そして私は初仕事をちゃんと終えた満足感とともに帰路につく。




