どこか誰も知らぬ場所にて
私は仕事を終えた……。
とは言い難いな。
正直なところ、あんな結末は私は望んでなどいなかった。
何を今更、と思う者もいるだろう。
私も思う。
他にも方法があったのか、と言われればあった、と私は答えるだろう。
あの結末は私が想定しうる中で下から3番目くらいの最低な結末だ。
ようは問題を先延ばしにしてその問題の解決を別の誰かに押し付けたんだからな。
ん?もしも私が介入せずにいたらどうなってたかって?
そうだなぁ、紆余曲折はあるだろうが結末だけは変わらずに悲惨なものだろうな。
敵……と呼んでもいいものか分からんがとにかく奴らが幻想郷を滅ぼす。
そんな未来に私は歯車を差し込んだのさ。
ありえない歯車を差し込まれた幻想郷は予定と狂い別の結末へとたどり着いた。
イレギュラーの介入だったわけだ。
……イレギュラーね。
自分で言ってなんだけど本当にそう思うよ。
私はここの住人でもないのに今回の異変に自ら巻き込まれた。
私の意思でな。
おっと、先に言っておくがこの一人語りにオチなんてものは存在しないぞ?
ただ私は愚痴ってるだけだからな。
あまり意味を見出さないでくれ。
ただの戯言と思って聞き流してくれ。
ちょっと小難しい話をしよう。
そもそも幻想入りという意味を理解しているか?
幻想入りとは"外の世界で居場所がなくなった"もの、人、妖怪、理、といった忘れられた存在が幻想郷に来ることなんだ。
幻想郷に来たから幻想入り、という訳ではないという事だな。
しかし私の知る限りでは外から幻想郷へ意味もなく迷い込む人や妖怪がいた。
完全なんて言葉はないからな。
こういった事もあるんだろう。
そうやって迷い込んだ彼等は幻想郷で暮らしていく事が多い。
異変の解決に尽力した奴も中にはいただろう。
さて、ここからがもっと難しくなるんだが。
疑問を覚えないだろうか?
幻想郷へやってきた彼等は私が見た限りでは何百、何千といたんだ。
その彼等がまったくと言っていいほど交わらない。
同じ場所にいるのにどうしてだろうか?
それは、幻想郷が複数あるからだ。
座標軸は同じ、行き方も同じ、そこに住んでいる人や妖怪も同じ。
だけど何かが違う。
歴史が違うんだ。
様々な幻想郷で彼女たちは懸命に生きて、それぞれ歴史を刻んでゆく。
パラレルワールドって言った方が分かりやすいかな?
厳密には違うのだがこちらの方がしっくりくるだろう。
世界というのはそこに住む生物達が認識している世界が重なっている部分を指している。
森林を見れば皆はあれは森林だと思うように、皆の共通認識、それが世界だ。
ここは正直言ってめんどくさくなるから切り上げよう。
つまるところ幻想郷が存在する世界軸には合わせ鏡のように様々なパラレルワールドである幻想郷が存在するんだ。
幻想入りするべきではない人や妖怪が幻想郷へ来る際、どうやって様々な世界の幻想郷から一つの幻想郷へ行けると思う?
答えは運だ。
運によっては平和な幻想郷へ行けるだろうし、世界大戦のような酷い状況の幻想郷へ行けるだろう。
ではここで問題だ。
一度幻想郷へ来た人がいたとする。
その人は外の世界へ帰ることが出来た。
しかし、また幻想郷へ来てしまった。
その幻想郷はその人が来たことのある元の幻想郷だった。
どうしてその人はちゃんと行ったことのある幻想郷へ行けたのだろうか?
答えは単純だ。
ナビゲーターがいるからだ。
全ての幻想郷には必ずナビゲーターである"八雲"がいるからこそ誰も迷うことなく幻想郷という存在が成り立っている。
八雲とはなんなのか、その答えを教えるのにはまたいつかだ。
……ご清聴ありがとう。
少しでも話せて楽しかったよ。
またいつか話そう。




