紅い月の夜にて
外は吹雪で真っ白だ。
その吹雪の中、紅い月が煌々と輝いている。
届きそうで届かない月。
こんな夜は血が疼いてしょうがない。
『あれ、まだ起きてたんですか?あー、紅い月ですもんね』
『それもあるけど……吸血鬼は夜行性よ?』
『はは、そうでしたね。紅茶飲みます?』
『お願いするわ。美鈴』
運ばれて来た紅茶を私は手に取り香りを楽しみながら飲む。
私はボソリと呟く。
『まだかしらね』
『そうですねぇ……。けどそれは何も近くの未来を見るっていう能力でもないんでしょう?』
『……私には過ぎた能力だと思うんだけどね』
『仕方ありませんよ。それでも受け入れるって決めたんでしょう?』
『ええ、そうよ。私は紅魔館当主としてここにいるもの』
『お嬢様がいたらきっと喜んでたでしょうね。私の妹は立派だって』
『妹様……いえ、フランお姉様がいれば席を譲りたいぐらいだけどね』
『私は今でも信じられませんよ……。パチュリー様も、お嬢様も、妹様もいなくなったなんて……』
美鈴は拳をキツく握りしめている。
私だって今も信じられない。
『けど小悪魔がまだ現界出来ている時点でパチュリー様はどこかで生きてるはずよ。妹様だってそう。私の血がそう言ってるわ』
『そ、う……ですね。すみません……女々しい事言っちゃって』
『大丈夫よ。私だって美鈴と同じ気持ちだもの』
私はカップに残っている残りの紅茶をグイッと一気に飲み干す。
『さて、そろそろ仕事をしましょう。手伝ってくれる?美鈴』
『ええ、喜んで!』
私の名前はサクヤ・スカーレット。
紅魔館現当主である。




