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どうやら姉の掌の上で踊らされていたようです
「何? この漫画」
「まあ、読みなさい」
家に帰る姉に漫画を渡された。
漫画を渡されれば、まあ読みますよね。
「これ、面白いね」
絵柄は少女漫画だが、普通に面白いな。
続きが気になる。
「これの続きはあるの?」
「知らない。友達に貰った」
適当だなぁ、おい。
でも、そうなのか。ふむ。
まあ、買いますよね。もちろん全巻揃えましたが、なにか?
野郎一人で少女漫画コーナーに立つのは、心をガリガリ削られましたよ。だが、後悔はしていない。
続きを読もうとしたその時、バンッと扉が開けられた。
……ノックぐらいしろよ。
「おっ、ほんとに全巻揃ってる、マリの言ったとおりね」
どうやら俺は姉(とその友人)の手のひらの上で踊らされていたようです。
ええ、全巻持っていかれましたとも。