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雨音 三

       三


「さても忌々しきは信長よ。彼奴(あやつ)め、どこまで図に乗りおるか」

「やはり鳥取(とっとり)(じょう)開城は、痛かったな」

兵糧(ひょうろう)()めの末、よく保ったとは思うが――――――――」

羽柴(はしば)何某(なにがし)とやら、何とか討ち取り意趣(いしゅ)を返したいものよの」

「ともかく我ら、輝元様をお支えするのみ。むざむざと、織田に敗れてなるものか」

 

 毛利家中の重臣たちが交わすこれらの会話を、嵐は彼らの床下より聴き取っていた。

 床下隠(ゆかしたがく)れと呼ばれる忍びの基本の術の一つだが、正確に会話を聴き取れる代わり、地を()いずり回る様々な虫に耐えねばならず、好き好んで行うものではなかった。勤めとあらば止むを得ず、という意識の切り替えを嵐は心がけた。この間は食糧も満足に得られない為、持参した飢渇(きかつ)(がん)を飲み下す。

 中々進まない中国攻略に()れて、他の七忍にばかり任せておくことが出来ず、自ら毛利氏の領地に赴いた嵐だったが、労苦の割にあまり益のある情報は得られなかった。

(結局、無駄な足掻(あが)きをまだまだ続けるっちゅう訳や。――――人死にが増える一方やな)

 会話に出て来た鳥取城の兵糧攻めの言葉に、嵐は眉を(ひそ)めた。

 羽柴(はしば)(ひで)(よし)が攻めた鳥取城においては、およそ四ヶ月に及ぶ兵糧攻めの末、城内は味方が共に人肉を喰らい合う光景、地獄絵図もさながらであったと聞く。修羅場を見慣れた嵐であっても、現状に立ち会わなかったことを幸いと思わずにはいられなかった。

 

 季節は天正九(1581)年の霜月に移っていた。

 神無月のころより安芸(あき)国の毛利(もうり)輝元(てるもと)の居城・吉田郡(よしだこおり)山城(やまじょう)に潜入していた嵐だったが、そろそろ引き上げ時だと考えていた。

 有益な情報を得ることは叶わないままだが、敵地に長居は無用だ。

 人目を避けて床下より這い出て、城外に出ようとしたその時――――――。

「待て、そこの。どこへ行く」

 カチャカチャと具足の音を響かせながら近くを見回っていた兵の一人に、見咎(みとが)められた。嵐は足軽の扮装をしていた。

 胸の中で舌打ちする。

背を(かが)めて、いかにも百姓上がり、といった風体(ふうてい)を装い答えた。

「はあ、見張りの手伝いをするように、言われましたけん」

 相手の身に着けている胴と袖が、松明(たいまつ)の明かりを照り返して光っている。その身なりから判断するにただの(した)()ではない。適当にあしらう訳にもいかず、面倒だった。

「…見ない顔だが、誰の家中の者か」

「はあ、吉川のお殿様のぉ、ご家来の、そのまたご家来の太田様に仕えとります」

「元春様の?左様か…。ふむ、行け」

「はあ」

 毛利輝元の叔父・吉川(きっかわ)元春(もとはる)の名を出し、その場を立ち去ろうとした嵐に、再び声がかかった。

「もしや太田とやらは、佐原田どのの配下か?」

「―――――はあ」

 嵐は足を止め、一拍置いてから答えた。

 鎌をかけられた、と感じた瞬間、この状況を穏便(おんびん)に遣り過ごすことを、嵐は断念していた。相手が刀の柄に手をかけるよりも早く、動く。

 振り向きざま、腰に差していた刀を抜き放ち、高々とした跳躍と共に相手の頭上から一刀の下に切り下げた。


兵士を斬ったのち、嵐は疾風(しっぷう)のごとく駆けた。先に仕掛けておいた、小さな爆竹を紐と火縄で連結させた百雷銃に、素早く火をつけ轟音(ごうおん)を起こす。敵兵の群れが現れたかのような錯覚に陥った毛利兵が、そこに殺到(さっとう)した。その隙に自分はその反対方向から、敵の陣中を()()るようにして逃げた。逃げるついでに後ろに(てつ)(びし)もばら撒いておく。これを菱撒(ひしま)退()きと言う。予め退路を確保し、このように忍術を駆使はしたものの、強行突破だったことに違いは無く、無傷という訳にもいかなかった。左肩に矢傷(やきず)を負いながら、その三日後になんとか堺に帰着するに至った。

 逃げる間に多くの人間を斬った為、刀は今やなまくら同然に成り果てている。

 荒い息を吐きながら夜も更けたころに納屋の裏口の門を開けて邸内に入り、自分でとりあえずの傷の手当を施すと、そのまま泥のように深い眠りに落ちた。


 夢の中に、桜が舞っていた。

 ひらり、はらり、と幾枚もの花びらが足元に落ちる。

 目を遣る先には、打掛を纏った若雪の後ろ姿がある。

 花びらは、若雪の黒髪に戯れかかるように、舞い、滑り落ちる。

 その光景はまさに、夢幻(ゆめまぼろし)の美しさだ。

 若雪が、嵐に別れを告げるように、ゆっくりと振り返る。

 その双眸に宿る悲しみに、嵐の胸までが痛む。

 そんなに悲しいのなら行かなければ良いのに、と思う。

 ずっと自分の傍にいれば良いのに、と手を伸ばす――――――。

しかし手が届くよりも先に、若雪は前に向き直る。

 そして、淡い桜色の霞の彼方へと、消えて行く。

 嵐は一人で、残される――――――――。


目が覚めたのは、嵐には極めて稀なことに翌日の昼頃だった。

血と、汗や(あか)の混じった(にお)いが、つんと鼻についた。

(ああ、(くさ)いな。誰の(にお)いや……。…俺か)

 基本的に、忍びに体臭はご法度である。加えて嗅覚は敏感に出来ている。どうしてこんな在り様になってる、と嵐は寝惚(ねぼ)けた頭で考えて、横に座る若雪に気付き驚いた。

 心許無い顔つきで嵐を見ている。

 柳眉(りゅうび)を、(ひそ)めていた。

 元々儚げな顔つきが、今においては露を含む花の風情だ。

(……夢の続き、やないよな。――――…なんで、そんな顔……)

 彼女が悲しみを露わにした顔を見るのは、随分と久しぶりな気がする。

(あれ…。俺、またなんかやらかしたか?)

 若雪を悲しませるような言葉を、吐いたりしただろうか。

 一瞬、嵐は記憶が混乱し、今がいつで、自分がどこにいるのか忘れた。

 目を、右に左に動かす。

 左肩が痛い。

「…嵐どの。傷は、痛みますか」

 自分のほうが怪我を負っているかのような、憂いある声で若雪に尋ねられ、やっと毛利の領地より堺に戻って来たことを思い出した。極度に疲労していた為、傷の手当をして身に着けていた物だけをかろうじて(あわせ)に着替えると、そのあとは身体を拭うことも無く寝入ってしまったのだ。それでこの悪臭(あくしゅう)か、と自分で納得した。転がしてあるボロボロになった足軽の装束は、左肩の箇所が裂けて血が(にじ)んでいる。これで若雪にも怪我が知れたのだろう。 

それから、少しの良心の呵責(かしゃく)も無く嘘をついた。

「いや?」

 言葉を裏付けるように半身を起こして見せたが、やはり傷は痛んだ。

 表情には出ていない筈だったが、若雪の顔の曇りは晴れない。

若雪は、嵐が毛利の本拠地まで赴くことを、危険過ぎると言って反対していた。しかし言っても聞かないのが嵐だった。家人の一人も起こさないように邸内に戻ったつもりだったが、若雪はなぜか嵐の帰着を察知したようだ。それだけ心配して、嵐が戻る気配を見逃すまいとしていたのだろう。昔から気配には(びん)だった。

「―――――若雪どの。それ以上、俺に近寄るんやないで」

 言いながらじり、じり、と嵐は若雪から距離を取った。清涼な佇まいの若雪に、この悲惨な体臭に気付いて欲しくも、馴染んで欲しくもなかった。

(床下隠れの術は、これがあるから厄介やな…)

 ただでさえ臭いのつきやすい忍術であるのに、今回は多量の血の臭いまで加わっている。

 自ら進んで敵地に赴いた以上、自業自得ではあった。

 若雪は、瞬きして、聴いた言葉が理解出来ない様子だった。

「……身体拭うさかい、人、呼んでくれんか」

 視線を合わさずに言う嵐の言葉を訊いて、ようやく得心したようで、「少々お待ちください」、と言うと部屋をあとにした。


 嵐はとりあえず、一晩で体臭の滲み付いてしまった夜着を脱ぎ捨てた。それから身体の隅々まで、家人が運んでくれた湯で絞った布で、しつこいまでに拭き上げる。仕上げに、傷の痛みをこらえつつ髪まで洗い、いつもの上衣・袴に着替えた。そうしてやっと落ち着いたところで、再び若雪が部屋を訪ねて来た。このまま部屋にいても良いかと尋ねるので、嵐は首をひねりつつも頷いた。―――――身なりはもう整えた。臭いも全て落とした筈だ。

「のちほど、お医者様が来てくださるそうです。きちんと手当を、お受けください」

 そう言って若雪は少しだけ()き込んだ。そして、嵐がかきこむように勢い良く昼餉をとる間自分も隣で昼餉をとり、そのあとも、ずっと傍らを離れなかった。

そもそも、若雪が嵐の部屋を訪れること自体珍しい。

 嵐が滅多に手傷など負わない分、若雪が過剰に心配しているのだということが察せられた。親猫のあとをついて離れない()(ねこ)のようで、妙にいじましいものがある。

(――――怪我(けが)功名(こうみょう)

 そんな言葉が頭に浮かんだ嵐だったが、若雪の顔色が悪いことが気になった。

 そう言えば先程、咳き込んでもいた。

「若雪どの、風邪はもう治ったよな?」

 若雪はきょとんとした顔で答えた。

「はい」

 それもその筈、風邪をひいて若雪が寝込んでいたのは、もう随分前、五月雨の降る皐月のころだ。あれから半年程が経過している。

「―――――医者が来る、言うたな。念の為、若雪どのも診てもらえ」

 若雪は不思議そうに少しばかり首を傾げたが、細かい嵐の言うことと思い、素直に頷いた。

「はい」

 嵐の胸に、何かがざわつくような、嫌な予感がした。

 今の若雪が示すような症状の出る病気を、嵐はかつて()()たりにしたことがあった。


「ふむ。あんたはお若いことやし、この程度の傷、治るんに大して時間もかからしませんやろ」

 嵐の肩の傷は意外に深く(えぐ)れていたが、一瞥(いちべつ)した医者はあっさり言ってのけた。薬を塗り、傷口に布を巻きつけると、仕上げとばかりにその上から傷口をぺちり、と叩いた。嵐は表情一つ変えなかったが、心の中では呻き声を上げた。

(こんにゃろう―――――)

宗久と昵懇(じっこん)のこの医者は、まだ嵐の幼い時分からその傷の手当をすることに慣れており、若雪が初めて堺に来て倒れた折も呼ばれていた。当然、嵐の忍びとしての顔も承知している。その手当は容赦無いが、いつも的確だ。

「俺の傷はどうでもええわ。あんた、若雪どのを先に診たよな?どうや?あれは、ただの風邪か?」

 嵐が、脱いでいた上衣の袖に腕を通しながら性急に尋ねた。

 荒療治にも声を上げない嵐を、面白くなさそうに見ていた医者の表情が僅かに変化する。

 こんな顔を見たことがある、と嵐は思った。

告げるに気の進まない事実を知っている人間のそれだ。

嵐の中で、不安が一気に膨れ上がった。

「……その話は、宗久さんと一緒に聞いてもらいましょか」


「――――――――労咳(ろうがい)?」

 客間の一室で、宗久が、医者の告げた若雪の病名を繰り返した。

 顔色は変えないものの、表情は唖然(あぜん)としている。

「……は、そない阿呆な。…まさか……………。……間違い、ないんか―――――――」

 一瞬浮かせた腰を下ろし、押し黙ったのち、(うな)るように念を押す。

「………残念ながら。肺を、(わずら)ってはります」

 医者が嘆息して答えた。

 労咳は現代で言うところの結核で、当時は、(かか)ると死は免れないもの、という意識が強かった。若雪は、肺結核という見立てを受けたのだ。

「どんくらい―――、」

 進行具合を訊こうとしたのか余命を訊こうとしたのか、宗久はそれだけ言うと続きを口にしなかった。

「まだ発病してそないに経ってませんな。とにかく大人しゅう養生させることです。すぐにどうこうなるような、病気やありません」

 この医者にしては遠慮した物言いだった。

「なんで病に(かか)った?」

 嵐が静かな声で尋ねた。傍目には冷静そのものに見える嵐に、医者が目を向ける。

「……それは儂には何とも。あんさんらのほうが、察しやすい筈や。近くに労咳の人間がおって、それでうつったいうことなら判りやすいけどな。この納屋に限って、そないなことは無いやろ」

 労咳の人間がいれば、すぐに暇を出されるなり何なりする筈だ。労咳は発病してしまえば、その特徴からそうと知られやすい。

「なんぞ、お心当たりは無いんかいな」

 医者にそう尋ねられたが、二人に答えられることは何も無かった。


「儂が、無理をさせたのかもしれん」

 医者が帰ったのち、宗久が言った。文机の上に置かれた右の拳は、固く握られている。

「若雪が根を詰める性分やと知っとったのに、商いの手伝いもさせてたし、石見との遣り取りも任せとった。――――――弱音を吐かん若雪に、甘えてたんや」

 首を振りながら自らを責める宗久の声は、後悔の念に満ちていた。

「あれの両親に、なんて詫びたらええ。こんなことになるんやったら―――――――」

 その続きは言葉にならないようだった。

 嵐が穏やかな声で、諭すようにそれを否定した。

「叔父上のせいとちゃいますよ。若雪どのは、俺と違うて人を甘えさせてしまうんが上手なお人ですからね。尤も、それで病になってたらなんもならしませんけど」

 まるで若雪を突き放す口振りで淡々と話す甥を、宗久は不思議なものを見る目で見た。若雪が労咳と聞いて、誰よりもまず先に狼狽(うろた)えそうなのが嵐だと思っていたからだ。

「ええですか、叔父上。労咳に罹れば、必ず死ぬとは限りません。肝心なんは医者が言うたように、精のつくもんを食べて、大人しゅう横になって体力を保たせることです。それから、――――――周りの人間が揺らいだらあきません。誰より不安なんは、病に罹った当人です。周囲が悲嘆に暮れて病人に接したかて、病人の心身に負担をかけこそすれ、いっこもええことあらしません。叔父上は普段通り、どっしり構えとってください」

 嵐の落ち着いた言葉を聞き、宗久も腹が据わったようだ。一度、二度、と深く頷いた。

「…お前の言う通りや。これまで若雪に支えられたぶん、今度は儂らが若雪を支えらなあかんねやな。―――労咳なんぞ、弾き飛ばしたる」

 低く言い放たれた最後の言葉はいかにも嵐の言いそうなことで、嵐と宗久の間の、血の繋がりを感じさせるものだった。

 嵐は叔父の言葉に微笑んで頷くと、部屋を出て行った。

 

無表情で自室に辿り着いた嵐は、中に入ると(うし)()に障子戸を閉めた。

〝周りの人間が揺らいだらあきません〟

〝普段通り、どっしり構えとってください〟

「――――どの口が、それを言う」

 低い声がこぼれ落ちた。

〝心決めた時には、手遅れになるやもしれぬぞ〟

 市の言葉が、今更ながら胸に刺さる。

 胡坐をかいて部屋の中央に座り込むと、右の握り拳を、床板めがけて躊躇なく振り下ろした。

 ダン、という激しく鈍い音が部屋全体を震わせた。

「―――――くそったれ………っ!」


 平静な顔を繕える程度に落ち着いてから、嵐は若雪の部屋を訪れた。

 志野が、若雪の横で声も無く泣いていた。

 整えられた(とこ)から、横たわった若雪がそれを困った顔で見上げている。

成す術が無いという感じで、途方に暮れているようだ。

「志野…。気持ちは解るけど、病人の前で涙はようない」

 志野がキッと顔を上げる。

「せやかて嵐様―――――――」

 それだけを言うと、また泣き始める。

 暫くそのままにさせてから、嵐はゆっくり口を開いた。

「俺は今から若雪どのに話があるさかい、お前は夕餉の支度にでもとりかかってくれ。若雪どのには、精のつくもんを食べてもらわなあかん」

 言いながら、ポンポン、と志野の肩を(なだ)めるように柔らかく叩く。

 嵐が冷静に話すのを聞いて、志野も我に返ったらしく、その言葉に沿うべく若雪の部屋を出て厨へと向かった。

 二人になった室内は、静かだった。

 嵐が無言で若雪を見つめる。

 若雪は、半身を起こし、そんな嵐に尋ねた。

「傷の具合は、いかがでしたか?」

 開口一番、若雪が口にしたのはその問いだった。

 嵐は両手を広げ、打掛を若雪の肩に羽織らせてやりながら答える。そうすることで、肩の傷は騒ぐ程のものではないのだと、若雪に印象付けようとした。

「………大したことない。医者もそう言うてた。俺はこの程度の怪我には慣れとるし、問題無いわ」

 問題なのは、若雪のほうだ。

「そうですか。……良かった…。軽いと感じる傷であっても、(あなど)るとあとが怖いですから」

 若雪はほっとしたようにそう呟いた。経験ありげな口振りだった。

 二人の間に沈黙が落ちた。

先に若雪が、ぎこちなく話を切り出した。

「人生とは全く…―――――、何が起こるかわからないものですね」

 驚きました、とあくまでも軽い口調で言う。別にある本心を、隠そうとしている様子が感じられた。若雪は病を宣告された動揺を、嵐に悟られまいとしていた。

 嵐は黙っている。

「嵐どのが、お医者に診てもらうことを勧めてくださったおかげで、私は残された時を少し永らえることが出来たと思います。…誰かにうつしてしまう前に、(わか)って良かった。……それだけは本当に幸いでした。ありがとうございます」

 どこか上滑(うわすべ)りな物言いの中で、その一点は、実際心から安堵していることが、声の響きから窺えた。平静を装う口調の中で、若雪の本当の思いが見え隠れする。

 嵐は黙っている。

「けれど……、」

 若雪は言い差して少し間を置いた。目は、夜具の一点を見つめている。

「けれどこの在り様では、私は嵐どののお役にも、養父上のお役にも、もう立てませんね。…皆を守ることも出来ない……」

 最後は寂しげな口振りだった。微笑を作り損ねた唇が、歪んでいる。

「―――――なんで泣かんねや?若雪どの。泣きたい筈や。まだ…、死にとうない筈や」

 とうとう嵐が発した言葉に、若雪は笑顔になりきれていない表情を硬直させた。

「………泣いて、何が変わるというのです。嵐どのを、困らせるだけでしょう。そんな真似をするつもりはありません」

 その言葉が終わらない内に、若雪は気が付けば嵐に抱きすくめられていた。反射的にもがいたのは最初の内だけで、若雪は恐る恐る嵐に身体を預けた。嵐の心の臓の音が聴こえる。生きている、という確かな証だ。

(私は今、嵐どのの腕の中にいる――――)

 それは嬉しいことの筈なのに、若雪は悲しかった。今という時間が、もうすぐ嵐の温もりを失うからこその、奇跡の時と察したからだ。残された時間が短いゆえの、幸福というものがこの世にはあるのかと、若雪はまざまざと感じた。

 何と刹那(せつな)の幸福か。

 嵐の腕と、胸の温もりに、若雪は陶然(とうぜん)となった。

 知ってしまっては離れがたくなる温もりだった。

 顔を押し当てた嵐の衣からは、取り立てて何の匂いもしない。ほんの微かに、清潔な布と陽の匂いがするだけだ。生業上、そう心がけているのだ。それはいかにも嵐らしく、そんな場合でも無いのに、なんだか可笑(おか)しくなって若雪は少し笑ってしまった。嵐は、どんな時でも嵐なのだと思った。笑った拍子に、涙の粒が転がり落ちた。素っ気無い嵐の衣服の在り様でさえ、今の若雪には愛おしいものに思えた。

 何も言わないが、嵐の腕の力は渾身(こんしん)のものではない気がした。腕に籠める力を、慎重に加減している気配を感じる。

 若雪の身を、気遣っているのだ。

 そうと悟った時、若雪は嵐にしがみついて泣いていた。

「嘘だと、思ったんです……っ」

「うん」

「――――そんな筈無いって、思ったんです!」

「うん」

「けど――――けれど、母様たちが死んだ時と同じで、嘘でも、夢でもなかっ………、」

「――――うん」

(―――私は―――――――、まだ生きたい―――――。生きていたい。乱世の果てる時を見たい。この目で、嵐どのの傍で―――――――)

 その願いが叶うなら、どんなに不可能なことでも、自分の持てる全ての力できっと可能に変えてみせる。神仏がそれを課すというなら、過酷な試練でも耐えてみせる。

 例え大きな歴史のうねりから見た自分の命が、いつか散らした露のごとく儚いものだとしても。

(今、これより先の生が欲しい)

 若雪は、生まれて初めて渇望(かつぼう)を知った。

「…大丈夫や。俺がなんとかしたる」

 腕の中で若雪がむせび泣く気配を感じながら、嵐はいつまでも彼女を離そうとしなかった。


 それからの若雪は、病という難敵との戦いの日々を送ることになった。

 有言実行を(むね)とする嵐は、その戦いにおいて若雪の最も近くで、頼もしくも口うるさい味方となった。宗久は、納屋の内における、若雪の病に関する権限の全てを嵐に委ねた。

 一日に読む書物は二冊までに限り、一日三食は必ず食べ、よく寝ること。

そして――――――勤めの類は一切合(いっさいがっ)(さい)差し控えること。

 以上のことを、とにかく嵐は徹底的に、若雪に対して厳命した。

 嵐が若雪に説教めいたことを言う回数は、このところ随分と減っていたのだが、病をきっかけにして以前の倍以上にもなりそうな小言が(にぎ)やかにも復活し、あれをするな、これをしろと、雪崩(なだれ)のように若雪に振りかかることとなった。

嵐の厳命を後ろで聞いていた医者は、呆けたような顔をするとさっさと若雪の診察を済ませ、「これなら儂の口出しはいらんわな。…まあ、また来るわ」と言い、後ろ頭を掻きながら帰って行った。若雪の労咳であることが発覚してのち、感染の源を調べる為にも、日を改めて、嵐や宗久、納屋の奉公人から馴染みの出入り業者に至るまで、可能な限りの人間が嵐の采配(さいはい)により医者の診察を受けた。しかし労咳の見立てを受けた者は、若雪を除いて一人もいなかった。

手持(てもち)無沙汰(ぶさた)そうな医者が帰ったのちは、店の帳簿関係はもちろん、諸国の情勢を知る為の文の数々、銀山関係の遣り取りの文に至るまで、そのほとんどを若雪は嵐に没収された。

それらが手元にあれば、若雪が時間を忘れてつい読み(ふけ)ってしまうことを、嵐は先刻(せんこく)承知しているのだ。若雪から病を遠ざける為の嵐のこうした徹底ぶりは、これまでの毎日を、勤めを果たすことに費やして過ごしてきた若雪には、無情にも感じられる程だった。

けれど若雪は、そんな無情が吹いて飛ぶ程の言葉を、嵐から貰っていた。

〝俺がなんとかしたる〟

 若雪は、今まで何でも自力で成し遂げようとしてきた。そうして事実成し得た物事も多かったが、大事な節目には、決まったように嵐の助力があることが多かった。けれどそれも、あくまで若雪が主体で、嵐は一歩引いたところから少しだけ、手を差し伸べる程度のものだった。嵐は嵐なりに若雪の力を信頼していたし、その意思を尊重してもいた。過剰な助けは双方の為にならないと考えていたようだ。

 今回のように、嵐がどこまでも前面に出て、若雪を助けると宣言したのは初めてだった。

(……常に勤めにお忙しい嵐どのが、その全てを投げ打って私の為に動いてくださっている。…それだけで十分、私は果報者ではないか)

 嵐の言葉を胸の内で何度も反芻(はんすう)しながら、身体を巡る血が、踊るように熱く脈打つのを若雪は感じた。そうしていると病や死への恐怖すら、少し薄らぐようでもあった。

嵐による諸々の差配が済んだのちは、どちらにしろ、若雪は寝ているより他は無かった。 

(まるで子供のころに帰ったようだ…)

 保護され、何くれとなく世話を焼かれる。

 出雲で、御師として両親に同行するようになる以前、若雪はまだそれ程丈夫ではなく、たまに熱を出しては寝込んだ。

 母の若水は、御師として夫に同行する為、中々娘を看病してやることが出来なかった。そんな時は、兄である太郎と次郎が、若雪を看病する役割を奪い合っていた。結局、一

日交代で看病することにして、双方妥協していたようだった。

 若雪は、暇に任せて色々な昔のことを思い出していた。


宍道(しんじ)()から望む朝日。

松江に沈む夕日。

出雲大社の屋根に積もったまっさらな雪。

神域を吹き渡る、静かな風の匂い。

社を守るように立つ木々の、濃い緑。


思い浮かべていると目に涙が満ちて来て、はっとした。

(―――――私はもう、今井若雪でしかないのに)

例え置いて来たものであったとしても、やはり郷愁の念は絶ち難いものがある。

 それから――――――忘れられない、兄たちの笑顔―――――――――。

 出雲の地で、兄弟と共に育んだ温かな絆は、決して忘れることなど出来ない。一生、若雪が生きている限り、胸の奥で大切に抱き続ける。

(兄様…もしも今、お会い出来たなら―――――――)

 若雪は、何事も無く成長していたらそのようになっただろう、と想像する兄弟たちの姿を思い描いてみた。

(太郎兄には、大人しくしていろと念を押して言い聞かされそうだ。そうして、きつくはないか、食べたいものは無いかと忙しく訊いてこられるのが太郎兄だ。少し…、嵐どのと似ているかもしれない。次郎兄は悲しみをあまり顔に出さない。他愛も無い話をして、私の気が紛れるように気を使われる。………三郎はどうだろう。あの子は、どんな大人に育っただろう…。同じ年でも、嵐どのとは全く気性が違うし、よく解らないな…。きっと頼もしい大人に、なったには違いないだろうけれど)

 そんなことを考えたりもした。

 今の若雪は目の前にいきなりポンと放り出された空白の時間にただ戸惑っていた。

 そうした時間の扱いは、若雪には物慣れないものだった。

 熱がほんのりとあるのは自分でも判っていた。時折、咳き込みもする。

 しかし、そのように自覚症状はあるものの、一日をただ寝てやり過ごすことは思った以上に骨で、若雪は意味も無くゴロンゴロンと何度も寝返りを打った。

 嵐は嵐で、薬湯を作ったり延命法の呪術を調べたりで忙しいらしく、中々若雪の部屋を訪れる暇が無かったが、日に一度は必ず顔を見せた。それは見舞いの為と言うより、暇を持て余した若雪が、万一にも床を抜け出したりすることの無いよう、目を光らせる為のようであり、まるで目付(めつけ)(やく)だった。


 そんな折、智真が納屋を訪れた。初冬が厳しい顔を見せ始める、冷たい風の吹く日の昼頃だった。

「珍しいな、お前がうちに来るて」

 納屋の家人に、丁寧な態度で嵐の部屋まで案内されて来た智真に向かって、嵐が言った。

 その部屋は、元々嵐が起居する部屋とは別の、調べものや薬湯づくりなどの作業を行う為の部屋だった。智真には名前も解らない様々な野草の束が幾つも棚に並び、書物は部屋のあちこちで山を築いていた。

ちり一つ無いような、起居する為のほうの部屋とは雲泥(うんでい)の違いである。

忍びと陰陽師を兼任するように、嵐は居場所においても全く異なる在り様の空間の二つを使い分けて過ごしていた。嵐のこうした感覚の切り替えの潔さは、いつも智真を感心させる。最近では、一日の多くを嵐はこの部屋で過ごしていた。

「―――――若雪どのの話を聞いたんや」

「ああ―――――…」

 そういえばこのところ色々と余裕が無く、明慶寺へも赴かずに智真への報告をすっかり失念していた。

 珍しく智真が険しい顔をしているのは、そのせいもあるのだろう。

「…すまん。忘れてた」

 あまり悪びれる様子も無く言った嵐に、智真は一つ息を吐いた。

 それどころではなかったのだ、と嵐の顔には書いてある。

 解らないでもないが自分に対してあまりに不義理ではないか、と智真は少なからず嵐を責める思いだった。 

先だって、宗久が自らの足で明慶寺を訪れ、住持に、若雪の(やまい)平癒(へいゆ)を祈る為に喜捨(きしゃ)をしたいと申し出た。御仏への寄付によって功徳(くどく)を積み、若雪の回復を願うという意思の表れだ。

その際、智真も住持の傍らに控え話を聴いていた。若雪が労咳を患っている、と耳にした当初は何かの間違いではないか、と疑う思いで、智真はまじまじと宗久の顔を窺った。

宗久の顔は、厳しく、重いものを漂わせていた。そもそも、事実と異なる軽はずみな言葉を口にするような宗久ではない。解っていた筈だが、認めたくなかったのだ。智真は、若雪の病が紛れもない事実だと悟らざるを得なかった。

 今でもまだ、若雪が労咳であることの実感は薄い。

 遠からず、若雪が智真の生涯から姿を消すかもしれない、ということが上手く呑み込めないでいる。

 恐らくそれは嵐も同じだろう、と思った。

「…―――具合は?」

「良からず、悪しからず、やな。元々長丁場(ながちょうば)の病や」

「……思うてたよりも平気そうやな」

 嵐が厳しい顔で首を振る。

「油断はあかん。少しの無理でも、症状が一気に悪化することかてあるんや」

「いや、若雪どのやのうて、お前の話や」

 嵐が冷静な顔の中、虚を突かれたように、目だけを智真に向けて動かした。

「――――そう、見えるか」

「一見な。お前は、自分の心を覆い隠すんが上手いさかい」

 手にしていた書物をばさりと棚に置いて、嵐は黙ったのちに言った。

「智真――――。俺は今、自分が薬湯の調合に()けてて良かったて思うとる。呪術にも詳しゅうて、良かったて思うとる。……節操(せっそう)()しに知識を食い散らかして、損は無いもんやな」

「…ああ、せやな」

「なんか、若雪どのの病を治す手立ての為に没頭してへんと、……(こわ)あてな。…我ながら、驚くわ」

 語尾に向かう程、笑い混じりの声は小さくなっていった。

 嵐は、今の表情を智真に見せまいとして顔を背けた。

「……あんなに、若雪どのに縛られるんを恐れてたいうのにな。若雪どのが生きとってこその自由なんやと、…今になって気付いた…。こんな、突拍子もないことになるやなんて、思いもせんかったんや。……俺も大概、阿呆やな。若雪どのがおらんようなったら、縛るも縛らんもない。きっと――――自由どころか、俺にはなんも残らへん」

 気位の高い嵐が弱音を吐露(とろ)するのは、極めて稀なことだった。

 智真は眉根を寄せて、心持ち俯く。

 嵐が今最も恐れるものは何か、問うまでもなかった。


「智真どの」

 部屋を訪れた智真を見て、若雪はふわりと口元をほころばせた。

 すぐに床から身を起こす。

 その優しげな笑顔は、いつもより軽やかなくらいなのに、と智真は思う。

後ろにいた嵐が、少しむっとした顔をする。その顔のままで、綿入りの小袖しか着ていない若雪の肩に、甲斐甲斐(かいがい)しくもう一枚小袖を羽織らせる。羽織らせつつ、身体を冷やすな、と釘を刺すのも忘れない。部屋は早くも火鉢(ひばち)で暖められているが、油断は出来ない。

 暇で仕方の無い時間を辛抱強く過ごしていた若雪にとって、智真と嵐、連れ立っての訪れは非常に喜ばしいものだった。

 いつもの穏やかさで智真が声をかける。

「お見舞いに、伺いました。若雪どの。思うたよりもお元気そうで、何よりです」

「ありがとうございます。本当は、少しくらい起きても構わないと私は思うのですが――――――――」

 若雪はそう言って、智真の向こう隣りに座した嵐をちらりと見る。

「あかんで、若雪どの。病をなめんな」

 若雪の視線の意図するところを察し、嵐はぴしゃりと叱る口調で言った。

 若雪が項垂(うなだ)れる。

「はい……。すみません」

 智真が笑いながら言った。

「嵐はまるで、口うるさい医者みたいになってますね。言うことをちゃんと聞かんと、がみがみ言われますよ。お暇な気持ちは解りますけど、若雪どのは今までが(すこ)うし忙し過ぎたんやと思うて、大人しゅう養生してください」

「…はい。……ところであの、智真どのは、今日はどのくらいこちらにおられるのですか」

 上目遣(うわめづか)いに尋ねる様子は、まるで子供のようだ。

 若雪らしからぬ発言と仕草に、智真は少し驚いた。

 普段の若雪は、落ち着きと理性の中で冷静にものを言う。その在り様が今はすっかりなりをひそめている。

 暇は人を変えるものだと、智真は同情混じりにしみじみ思った。

 体調が悪いと気鬱(きうつ)にもなりやすい。ずっと一人で横になっていると、人恋しさも募るのだろう。智真としては、可能な限り傍にいてやりたいところだ。けれど隣に座る男がそれを歓迎するかと言うと、それはまた別問題だった。

「そうですねえ」

 言って、嵐の顔を横目で見る。見事な仏頂面である。

 ほんまにこいつは、と思う。こういった場面では、やたらと心情が面に出る男なのだ。

「……嵐、お前このあと時間は取れるんか」

「―――――まだ目を通さなあかん書物がある。密教系の祈祷(きとう)法を、今調べてんねや」

 若雪を生き永らえさせる為の(めい)続祈祷(ぞくきとう)だ。

 それが重要な調べものだということは、智真にも解る。

 しかし。

 ここは予定を変えてでも時間は取れると答えんかい、阿呆、と心の中で智真は毒づいた。

 基本的には穏やかな気性の智真だが、今の嵐の、察しの悪い物言いには腹が立った。

 普段はもっと、()(ばたら)きの出来る嵐の筈だ。

 余裕の無さの表れと言えるのかもしれない。

 ―――――世話が焼ける。

「その本、私が帰ったあとは、この部屋で読んだらどうや?」

 これには若雪がやや難色を示した。

「あまり長居は―――――。嵐どのに、病をうつす訳には参りません」

「私ならええんですか?」

「――――――、いえ」

 にこやかに尋ねる智真に対し、若雪が困ったように口籠(くちごも)った。ええんとちゃうの、と嵐が後ろで減らず口を叩くので、智真は呆れた。子供のころから、こういうところだけは全く変わっていない。いい歳をした大人の態度とも思えなかった。

 それから嵐は少し黙って、おもむろに打開策を告げた。

「こちら五畳には近付かん。几帳(きちょう)の向こう側の五畳で書物を読んだらええやろ」

 以前は衣桁(いこう)が置かれていた場所に、今は(ふた)(あい)裾濃(すそご)練絹(ねりぎぬ)が掛かった几帳が置いてある。

 若雪の目に喜色(きしょく)が光った。

「この部屋で、書を読まれるのですか?」

「せや」

 さも仕方の無いことのように、嵐が頷く。

「では、私はお邪魔にならないよう、じっとしております」

「ああ、そうしてくれ」

「……こんな奴かて、同じ部屋に人がおれば少しは気も紛れるでしょう。私が帰っても、嵐で我慢したってくださいね」

 阿呆らしい、と思いながらも、智真は朗らかに言った。嵐に対して、あえて遠慮の無い物言いを選んだ。そのくらいは許されるだろう、と思う。

 意外にも、嵐は智真の嫌味に何も反論しなかった。

(――――――…ああ、成る程)

 ことの成り行きに喜んでいるのは、若雪だけではないのだ。

 嵐もまた、智真が口を挟んだことで成立することとなった状況に、満足しているのだった。五畳の何のと言った嵐の物言いが、急に可愛げのあるものに思えた。


       


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