〔第三部〕「確かなもの」6話
「二〇X〇年十月二十五日 巣籠もり」
私は、つくづく女子だなと思う。
以前、独り暮らしをはじめた時と同じように、石造りの家で暮らすために必要な物を買い足した。
そうして、居心地の良いようにするのがとても楽しい。
まずは洋服。
こっちは、ヨウコさんと暮らしている世界に比べて、季節が少しズレているみたいだ。
目覚める度に、ますます寒さが深まって来たので、厚手のセーターやパーカー、ジーンズ、タケシが着られそうな服や帽子、毛糸の靴下、下着なんかも買ってみた。
男物の下着をはじめて買う時は、ちょっとだけ気恥ずかしかった。
他にバスタオルやフェイスタオル、トイレットペーパーにティッシュペーパー、マグカップに歯ブラシ、懐中電灯、電池、チャッカマン等々、食べ物も色々と置いておくことにした。小麦、お米、インスタントのスープやカップヌードル、インスタントコーヒーにティーパック、お菓子と乾パン、ビール等々だ。
私は手始めにそんな物を買い集めて、大きなリュックサックに詰め、夜抱いて寝た。
そして、目覚めてからリュックサックの物を取り出して収納した。
今は、タケシのいるこの世界で、この家だけが私の居場所だ。
本当は外へタケシを捜しに行きたかったけど、いつ睡魔が襲って来るか分からなかったから、ここから遠くへ行くことはできなかった。
こちらで目覚めて、またあちらに戻る間の時間は日によってまちまちだった。
体調なんかも影響しているのだと思う。
ただ、どうやらホオズキの量は関係がないようだった。
一つ食べても、試しに二つ食べてみても、滞在時間は三時間を超えることはなかった。
あと、この世界にはメールも電話もなかった。
テレビもラジオもなかった。
一度、携帯電話とラジオを持ち込んでみたけど使えなかった。
電気も水道もガスも通っていなかったから、当然と言えば当然だけど。
私は今、タケシに手紙を書いている。
もう今年のホオズキも残り少なくなってしまったから。




