5、きらめくネオン街
絵里は駅前で遥ちゃんを待っていた。
遥ちゃんっていうのは、佐藤さんの事。
歳もあまり変わらないし、佐藤さん&咲坂さんと呼び合うのは恥ずかしいから、下の名前で呼び合う事になった。
今日は予定通り、サロンを仮病で早退した。
駅前は目立つから、早く電車に乗ってしまいたい・・・。
しばらく待つと遥ちゃんが来た。
カジュアルだけど、髪の毛はクルクルと巻いてある。
二人は新宿までの切符を買い、電車に乗った。
車内で遥ちゃんは絵里にキャバクラというものを教えてくれる。
『スナックとあんまり変わらない接客だよ。
お客さんが一時間いくらとかで店に入って、そこからは30分単位の延長で飲んでいくんだぁ。
お客さんも何種類かいて、大きくわけると《フリー》と《指名客》と《枝》の3つあるの。
それはね・・・
フリーは指名のない人。
指名客は誰か女の子を指名してる人。
枝は、指名客のお連れの客だけど指名がない人。
・・・わかるかな?』
「な、なんとなく。」
よくわかんないけど、わかった気もする。
遥ちゃんは『その内、慣れるしわかるよ』と言ってるけど、あんまり自信がない。
そんな話をしているうちに電車のアナウンスが『新宿ー、新宿です』と流れた。
二人は人込みを掻き分け、改札をくぐる。
こんな人込みに慣れないから、何回も遥ちゃんとはぐれそうになった。
新宿はケンと西新宿に行った以来、二度目だった。
新宿に電車できたのは初めてだったし、今日は一番こんでるらしい東口に来ている。
なんとか駅から脱出すると、目の前にアルタがあった。
「いいとも!の、アルタですよね?!」
『そう、そう』
写メを撮って、保存する。
仕事半分、観光半分。
どんどん楽しい気分になって、テンションが上がりまくっていく。
東口を抜けアルタのわきをまっすぐ歩いていくと、目の前にきらびやかなネオン街が広がっていた―――