3、サロンの出会い
絵里はエステサロンのカウンセリングの仕事をしている。
大手のエステとは違い、絵里の勤める小さなエステは強引さと話術が大事。
キャッチに出ている人が道ばたの女の人をサロンに連れてきて、無料で簡単なエステを受けさせる。
そして最後に絵里たちカウンセラーが契約させるってゆうシステム。
お客は無料だからって来る人がほとんどだから、そこで何十万の契約を取り付けるのはほんとに難しい。
入社四ヵ月間は先輩に教わり、マニュアルトークを覚えるのに必死だった。
ニキビやシミ、たるみや贅肉の事を完全に覚え、お客に何を言われても丸め込める会話をする。
そして《エステに行かなきゃヤバい》とお客に思わせれば、絵里の勝ち。
契約金額で絵里に売り上げバックもはいる。
まだ二ヵ月しかカウンセラー経験がない絵里は、一万くらいしかバックが入らない。
今日も絵里はカウンセリングしていた。
二十歳すぎくらいの佐藤さんという女性。
シャネルのバッグに、カルティエの指輪を二つ。 時計もカルティエ。 服はたぶんディオール。
全身で推定200万くらい?
当たればでかい!
絵里は必死に話しまくる。
―――1時間後、佐藤さんはバッグから札束を1つと判子を出し、サラサラと契約書にサインした。
『じゃあ、よろしくね』
佐藤さんは絵里に微笑んだ。 契約書を見ると、職業ホステスと書いてある。
絵里は札束に驚きながら佐藤さんに思わず聞いてしまった。
「ホステスさんって、そんなにお金持ちになれるんですか?!」
佐藤さんは『うん』と言う。
そして絵里に聞いた。
『やってみたい?』