21、知り合いなの?
カイと付き合ってから一週間が経った。
毎日電話をして、毎日ノアの後に少し逢う。
カイはわざわざローズから抜けてきて、絵里の顔を見にきてくれる。
でも、カイには全然ときめかなかった。
逢っても、キスをしても、何も感じない。
キスって、もっとドキドキするものじゃなかった・・・?
こんなのだった?
カイと電話したり逢うと楽しい。
だけど、遥ちゃんと一緒にいる時の楽しさと変わらない。
今日も二時にノアが閉店し、絵里はローズに向かって歩いていた。
電話をすると、『今から外に出てくる』とカイは言った。
―――その時、ケンが絵里の目の前に現れた。
『絵里!!
偶然だな。
今仕事終わったの??』
?!?!
「・・・うん。
ケンは?何してるの?
ビックリした。」
いきなりケンに会うから心臓がすごい音たててる。
ケン、赤い顔してるけど、またキャバクラ行ってたのかな・・・。
そう思うと胸が痛かった。
『絵里、携帯教えろよ。
この前聞けなかったし、電話するよ。
てゆーか、今から何するの??』
え?
なんで?
絵里に携帯教えたくなかったんじゃないの?
なんで今さらと聞きたい気持ちを押さえ、ケンに携帯番号を教えた。
ふとローズの方を見ると、カイがこっちをにらんでいた。
まずい、見られた・・・。
そして、カイはこっちに歩いてくる。
絵里は急いでケンと番号を交換し、
「すぐ電話する」
とだけいい、ケンを別れようとした。
―――でも、カイはもう間近まで来ていた。
『ケンさんじゃないですかー。
おつかれさまです。
絵里ちゃんもおつかれ!』
カイはケンと絵里に声をかけた。
「は??
知り合いなの???」
『おぉ。前にキャバクラの子とアフターで行ったんだよ。
絵里もローズ行った事あるんだぁ。』
ケンはそう絵里に言い、カイと話しはじめた。
まずい・・・。
お願いだから、付き合った話はしないで!!!
そう思った時、ケンの携帯が鳴った。
友達に焼肉屋へ呼び出されたらしく、また連絡すると言ってケンは歩いていった。