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蝶になって  作者: ゆり
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2、茜の家

『ヒサビサァー!

いらっしゃい、絵里ぃ!』

茜は明るい声と笑顔で絵里を迎える。



家の中に入ると、小さな服やおもちゃが散乱していた。

そしてその中で、小さなおさるさん?が一人で哺乳ビンをくわえて寝転がっている。



茜と健吾さんの子供の乃亜ちゃんだ。



まだ生後一ヵ月。

出産した時にお祝いに行って、それ以来会うのは初めてだった。



「乃亜たん、可愛いねぇー。」


絵里は室内に入り、乃亜の頭をナデナデする。



絵里のお土産のシュークリームを二人で食べながら、いつものように近況を話し合った。


乃亜たんの事、健吾さんの事、絵里の仕事の事・・・



一通り話した後、茜からツッコミがきた。


『新しい恋の気配はないのー?

やっぱ、ケンが忘れられない??』


「・・・」



図星だった。


ケンに15歳から今まで、ずっと恋してる。

二回付き合ったのに、二回ともダメだった元彼。


きっとケンとは縁がないんだと思う。

それにケンは一年半前、地元を離れて東京にいってしまった。



『ケンから連絡ないの?』


シュークリームを頬張りながら、茜が聞く。


「一年前くらいに。」


『そっかぁ・・・』



それからまた話は変わり、テレビのお笑いで盛り上がった。



楽しい時間はすぐ過ぎて、もうすぐ終電の時間になりそうだった。



乃亜も寝てしまい、絵里は帰り支度をする。



『また、来てね。

つらい時とか悲しい時は遠慮しないように!』



茜に声をかけられ、一番初めにケンの顔がぼんやりと頭に浮かんだ。


もうはっきりと顔さえ思い出せない。


ケンが日に日に、思い出になっていく。


現実にいない人みたい。


確かなモノといえば、左手の薬指の指輪だけ。

ケンからもらった指輪。



別れた今も外せない・・・。

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