15、撮影
しばらくすると、絵里は色恋が中心の営業になっていた。
他のキャストに陰口を叩かれる事も増える。
『エリさん、彼氏何人なのかねー』
『体使って指名とるの、恥ずかしくないのかな?』
時折聞こえる陰口にも、時間が経てばなれてきた。
そして、指名はうなぎのぼりに増える。
元から顔立ちはキレイだった絵里に、今の営業。
客は見事にだまされている。
ある日、絵里はキャバクラ専用の雑誌のグラビアに載ることになった。
キャバクラ嬢が大半で、セクキャバ(キスと上半身のタッチができるセクシーキャバクラ)嬢が少しだけ載っている雑誌。
歌舞伎町がメインで、雑誌に大きく載るのは売れっ子嬢の証だ。
最初は少し悩んだが、この雑誌は繁華街と大きな書店くらいにしか置いてなく、親バレしてしまう危険が少ないと聞いた。
そして、雑誌を見て指名しに来てくれる客もいるらしい。
それを聞き、絵里は撮影をOKした。
撮影は営業前のノアで行われた。
遥ちゃんはもちろん、NO.2やNO.3のキャストも来ていて、ノアの売れっ子たちが営業前の店内に集まった。
『はい、笑って』
『体を横に向けて、肩から前をむいてー。
あご、ひいてねー。』
カメラマンが女の子に指示をしている。
慣れたように言われたポーズを取る子には、少し圧倒された。
一流のモデルみたい。
そして絵里の番になった。
ぎこちない動きの絵里に、カメラマンが指示をしていく。
体の固い絵里にはキツイ態勢もあったけど、時間が経つにつれて慣れ、自然に笑顔になっていく。
絵里の撮影が終わり、最後にノアのキャストの集合写真を撮って今日の撮影は終わった。
来月の雑誌に載るらしい。
来月は絶対雑誌を買いに行かなきゃな・・・
初めての本格的な撮影は楽しかった。
それに、気持ちいい。