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蝶になって  作者: ゆり
11/23

11、諭吉

遥ちゃんと電話をした後に服を買い、絵里はユウヤに電話をした。



「今、どこにいたの?」


『ブルガリで買い物中ー。

エリは?』


「今買い物終わって、駅前のスクランブル交差点にいるよー。」



そして、息をフゥーっと吹き、言葉を続ける。


「どこに行けばいい?」




絵里は行くと決めた。


ノアに行った日から一週間、ずっと悩んでいた事にも決着をつけよう。


今日働いてみて、続けれそうだったら入店しよう――――。



犯罪者でも、悪人でも、もう割り切ろう。


悪い事をして稼いだ金なら、とことん使わせて、金を稼いでやる!



間違った考えかもしれないけど、そう思った。



そして、絵里はケンと別れてから一度もはずさなかった指輪をはずした。


ケンに申し訳ない気持ちがわいて、付けているまま汚れていきたくなかった。




それから絵里はユウヤと同伴し、売り上げも20万ちょっとあげた。


店長にもほめられ、営業終了後に入店の誓約書にサインをした――――




それから三週間ほど経った頃、絵里のノアでの初給料日がきた。

給料日は月に二回で、1日〜15日までの給料が月末に払われる。そして16日〜月末の給料が15日に支払われるしくみだ。


ユウヤは同伴した日以来、だいたい週2回ほどは『今日行くから』と電話をしてきたので、絵里はそのたびにノアに出勤した。


今日の給料は二回分の出勤だけだから、少ししかないかもしれない。

でも、臨時のお小遣いみたいでウキウキする。



しかし、給料袋をもらった時に予想ははずれたと思った。

袋をもらった時のさわり心地が・・・


ビックリして店長の目の前なのに袋をあけた。

袋の中には11人の福沢諭吉がいた。



「こんなに?!

だって、二回しか出勤してないですよ?」



驚く絵里に店長は笑顔で答える。


『エリちゃんは頑張って売り上げ出してるでしょ。


ユウヤさん以外にも最近は指名が来てるから、次はもっと給料袋が厚いよ!


エリちゃんは才能があるよ。

もっと出勤したら、月給100万くらいは簡単だよ。』


「・・・ひゃ、ひゃくですか?」


『うん、そう。


今日は15日だから、1日から15日までの今月前期分の売り上げを計算したんだ。


エリちゃんは・・・


63万円!前期のナンバー6だよ!!

給料も昼間の仕事の二ヵ月分近くはあるはずだよ。


もっと出勤したら、もっとお客さんと出会える。

そしたら売り上げもあがるだろ?



レギュラーとして、週5くらいでる事を考えてくれないかなぁ?

時給も5以上出すから・・・』




店長の言葉に速答はできなかった。




しかし、それから半月後・・・・


諭吉が26人と夏目さんが少し入った給料袋を店長に手渡された翌日、絵里はサロンの上司に《辞表》を提出した――――

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