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15. 皇帝の国民愛は自重した方がいい

お久しぶりです。

たいした文章でもないのに時間がかかって申し訳ありません。

皆様の感想と評価ポイントで頑張れています。ありがとうございます。

さて、事件は収束。

それにしても、このことをあとで振り返ると、今日は末恐ろしいものを見てしまったような気がする。




「立てるか?」


皇帝は手を差し出してきたが、今はほっとしたのか、足に力が入らない。

首を振って、答える。すると、皇帝は非常に申し訳なさそうな顔をして、俯いた。


「すまないな………危険な目に遭わせてしまって。さぞ怖かっただろう」


皇帝は、ナツでいるときにしていたようにリエナの頭をぽんぽんと叩いた。リエナは、その皇帝の何気ない仕草が自分に安心感を与えたのがわかった。

しかし、その安心は次の瞬間には消えうせ、焦りに変わる。

なんと、皇帝はリエナをいきなり抱き上げたのだ。しかも、横抱きで。歩けないリエナに気を遣ってくれたのだろうが、歩けるようになるまで待ってくれるだろうという勝手な予想を裏切る行動をしてくれた。


これは、いわゆるお姫様抱っこ?

皇帝、いくら国民を愛していると言えども、初対面の女性を抱き上げるのは不味いと思うぞ?


「警備隊の詰め所で手当てをしてもらうから、行こう」




詰め所に着くと、警備隊の方々にニヤニヤした目で見られてしまった。そしてそのまま「お二人でどうぞ」とか訳の解らないことを言われて、休憩室の一室に閉じ込められてしまった。

いや、互いに今日が初対面(本当は違うが)なんだけどなぁ。


医者の到着はもう少し遅れるらしく、二人は部屋で待つこととなった。……………………が、なんですか、この雰囲気は。


皇帝は無言で自分の方を向いていて、何も言葉を発しようとしない。扉の向こうでは野次馬らしき者たちが聞き耳を立てている。


「あの、お怪我は………」


ついに精神の限界を迎えたリエナは、無難な話題を提供することにした。


「ああ、大丈夫だ」


素っ気ない答え。皇帝はふいと顔を背けてあらぬ方に視線をやる。………………てか、皇帝、脂汗かいてない?

皇帝の額やこめかみにはだらだらと汗が流れている。暑いのかと思ったが、顔色は蒼白と言うのが正しいくらいで。もしかして………………。


「あの、お怪我をしているでしょう?私、治癒魔法が使えるので、看せて下さい」


「いや………………いい」


それ、怪我してるってこと?………だよね。

そうとわかれば、治療するしかないだろう。


「とにかく、見せて下さい?」


今日は互いに主従関係にないので、容赦はしない。

にっこりと笑顔を浮かべると、皇帝は一瞬、目を丸くした。……………あれ、何かこの反応、間違ってない?


リエナはその隙に皇帝の上着のボタンに手をかけた。どうやら上腕の辺りを怪我しているらしいので、そこには触れないように気を付けないと。


「やめろ!!!」


皇帝がリエナを自身から引き剥がそうとする。が、リエナもここで引き下がるわけにはいかない。


「いいから、脱いで下さい」


なおも上着を押さえ、抵抗しようとする皇帝。そんなに抵抗されたら、脱げない理由が逆に気になってしまうではないか。


その時、コンコンとノックの音が響いた。皇帝はその音を確認するように、扉の方をちらりと一瞥した。

因みに、先程いつもの癖(侵入者に備えて)で扉の鍵を閉めてしまったので、他の人の入室は困難だ。


今だ!!


一気に皇帝の上着を引っ張り、脱がせる。そのまま下に着ていた服の袖をギリギリまで捲り上げる

そうしてさっさと治癒魔法をかけて捲っていた袖を下ろした。


次の瞬間、リエナは皇帝に押し倒されることとなる。

ちょっと待て、何だこの展開。あらぬ誤解を招きそうなんだけど。


「今、見たか………?」


竦み上がるほどの皇帝の鋭い視線。

正直、リエナはこういう視線には慣れているので何の問題もないのだが。


「え?………何の話?」

何のことかわからないとばかりに、首をかしげて皇帝を見上げる。


見たか?と言ったのは、皇帝の捲った袖の隙間、肩あたりに見えた、刺青のようなものだろう。皇帝が必死に隠そうとしたもの――――――――それはおそらく、呪いだ。

取り敢えず、町娘の立場からすると関係もないので、今は気のせいということにしておこう。


床に押し倒されたリエナの耳に、ばんっという音が響く。

そういえば忘れていたけど、ここって――――――。


「おいっ、いちゃつくのもいい加減にしろよ!!ここがどこだかわかってんのか?」


ここは休憩室だということが、頭からすっぽり抜けていた。

どうやら彼らは鍵を取ってきて扉を開けたようだ。面倒をかけて申し訳ない。


途端に、皇帝の顔が羞恥に染まった。

なんで、今まで女性に胸を押し付けられようが夜這いされようが顔色ひとつ変えなかった皇帝が、そんな顔をするのだ。


「お二人さん、そんなに見つめ合わないでー」


警備隊の声によって皇帝は我に帰ったようで、促されるままに診察と取り調べに向かったのだった。




皇帝が相手にしていたのはここら辺で有名なグループだったらしく、事情聴取は長時間に及んだ。しかも皇帝が医師の診察を受けるのを頑なに拒んだせいで、無駄時間を使ってしまった。理由はおそらく、というか絶対肩に見えた呪いのせいだろう。医者の方も「本人が大丈夫というのなら、そうなのでしょう」と言って結局診察を諦めてしまった。

事情聴取と医者の診察から解放されたのは暗くなり始めた頃だだった。詰め所の窓から見上げた空は深い夜の色に染まり、夕日の沈んだ方向に仄かな橙色が見える程度だ。

さて、そろそろ家族も心配しているだろうし、転移魔法でさっさと帰っちゃおう!!と思っていたのだが………。


「すまないな。こんな遅くまで。俺が責任を持って送り届けよう」


全力でお断り申し上げます(本日2度目の心の叫び)!!


最強の魔力を持つ迷惑な皇帝の存在のせいで魔力を抑制しているので、転移魔法は使えない。つまり、馬車なり馬なりで帰るしかない。

しかも、このまま送り届けて貰うと自宅が公爵家だとバレてしまう。いわば、町娘設定のほ・う・か・い!!!それだけは何としてでも避けなければ。


「いえ………私としても、これ以上貴方にご迷惑をおかけするのは………」


非常に申し訳なさそうな表情をして言うと、皇帝はにっこりと微笑んだ。


「貴女は優しい人だな。だが、男としても女性を送らないわけにはいかない」


「はい…………」


なぜか断ることもできずに頷いてしまった。そのまま皇帝はリエナの手をとり、詰め所から出ていこうとする。


―――――――――――が、ちょっと待てよ?

いつも転移魔法を使っていたから気付かなかったが、たしか、ここから公爵家の領地までは歩いて帰れる距離ではなかったような………。いや、馬車を使ってもかなりの距離だったような気がする。ぶっちゃけ、1日で帰れたっけ?


「………あの、家は遠いので宿を取ろうと思います。だから、送っていただかなくても………」


「それなら、宿まで送ろう」


「いえ、本当に………」


よろしいです、と言おうとしたところ――――――――。


「こんなに夜遅くまで話を聞かせてもらって、本当に申し訳ない。よければ、こちらで宿を提供しよう」


――――――――親切にも、警備隊の方が非常に余計なことをしやがって下さいました。

皇帝はリエナに「良かったな!!」と声をかけてくるが、ぜんぜん良くない。

おそらく皇帝は明日、家まで送ると再び申し出るだろう。

つまり、宿に泊まる=2日連続皇帝の相手+兄の誕生日パーティに行けない+もはや翌日の仕事にも間に合わない。


……………………最悪じゃん。


かくして、リエナにとって人生最悪のお泊まりが決定となったのだった。






最近気づいたのですが、PCで読んでみるとこの小説の文章ってかなり薄っぺらいですね。

携帯での執筆力UPを目指したいと思います。

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