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桜の木のふたり。  作者: sakura


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9/12

第9話

この物語は、一本の桜の木の下から始まります。


町から少し離れた丘の上に立つ、大きな桜の木。

昼は静かで、ほとんど人の訪れない場所ですが、夜になると、なぜか悩みを抱えた人たちがこの場所へやって来ます。


そこには、夜に人の話を聞く猫耳の少女「ルナ」と、昼に困っている人を助ける犬耳の少年「ソラ」がいます。


桜の花びらは、人の心にそっと寄り添うように舞い、時には感情を映すように散っていきます。


静かな時間の中で生まれる、小さな物語をゆっくり楽しんでいただけたら嬉しいです。

第九話「ルナの夜」

夜。

桜の木の下には

月の光が落ちていました。

昼とは違う

静かな空気。

花びらが

ゆっくり舞っています。

ルナはいつものように

桜の木の下に座っていました。

夜の番人。

しばらくすると

足音が聞こえました。

一人の女性が

ゆっくり歩いてきました。

ルナは静かに隣を示しました。

「どうぞ」

女性は少し迷いました。

でも

ゆっくり座りました。

しばらく沈黙。

風が吹きました。

桜の花びらが

ふわっと落ちました。

女性はぽつりと言いました。

「私…」

「誰にも言えなくて」

ルナはうなずきました。

「うん」

女性は少し笑いました。

「ここ」

「なんか不思議」

ルナは桜を見上げました。

「この桜」

「聞いてくれる」

女性は空を見ました。

月がきれいでした。

女性は少しずつ

話し始めました。

しばらくして。

女性の顔は

少し楽になっていました。

女性は立ち上がりました。

「ありがとう」

ルナは小さく笑いました。

女性が帰ったあと

桜の花びらが

やさしく落ちました。

そのとき。

ルナは桜の幹に

そっと触れました。

そして小さく言いました。

「私も」

風が吹きました。

桜の枝が揺れました。

ルナは続けました。

「昔」

「ここで助けてもらった」

月の光が

桜を照らしていました。

ルナは静かに座りました。

そして小さく笑いました。

「今度は私」

夜の桜は

今日も

誰かの気持ちを聞いていました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


「桜の木のふたり」は、桜の木の下で生まれる小さな出来事や、人の気持ちに寄り添う時間を描いた物語です。


満開の桜だけでなく、散る花びらや季節の移り変わりとともに、ルナとソラの日常や、訪れる人たちの物語を少しずつ描いていけたらと思っています。


もしこの桜の木の下の時間を気に入っていただけたら、また次のお話でもお会いできたら嬉しいです。


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