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桜の木のふたり。  作者: sakura


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6/12

第6話

この物語は、一本の桜の木の下から始まります。


町から少し離れた丘の上に立つ、大きな桜の木。

昼は静かで、ほとんど人の訪れない場所ですが、夜になると、なぜか悩みを抱えた人たちがこの場所へやって来ます。


そこには、夜に人の話を聞く猫耳の少女「ルナ」と、昼に困っている人を助ける犬耳の少年「ソラ」がいます。


桜の花びらは、人の心にそっと寄り添うように舞い、時には感情を映すように散っていきます。


静かな時間の中で生まれる、小さな物語をゆっくり楽しんでいただけたら嬉しいです。

第六話「弱る桜」

朝。

桜の木の下には

やわらかい光が差し込んでいました。

ソラはいつものように

桜の木の下に来ました。

「おはよう」

空を見上げて

大きく伸びをします。

そのとき。

ふと気づきました。

「……あれ?」

風が吹いているのに

花びらが落ちない。

昨日までは

あんなに舞っていたのに。

ソラは桜の幹に

手を当てました。

「どうした?」

返事はありません。

そのとき。

サクラが走ってきました。

「ソラ!」

ソラは振り向きました。

「サクラ」

サクラは桜を見上げました。

そして少し驚いた顔をしました。

「……あれ」

ソラは言いました。

「花びら落ちない」

サクラは

桜の幹に触れました。

しばらく黙っていました。

そして小さく言いました。

「元気ない」

ソラは驚きました。

「え?」

サクラは桜を見上げます。

枝は満開なのに

なぜか静かでした。

サクラは言いました。

「この桜ね」

「人の気持ち聞いて元気になるの」

ソラは思い出しました。

昨日の女性。

いろんな人。

たくさん話していた。

でもサクラは続けました。

「でも」

「最近」

少し困った顔をしました。

「みんな」

「本当のこと言わない」

風が止まりました。

桜の枝が

少し揺れました。

そのとき。

花びらが一枚だけ

ゆっくり落ちました。

まるで

「そうなんだ」

と桜が言っているみたいでした。

ソラは桜の幹を

軽く叩きました。

「大丈夫」

サクラは聞きます。

「なにが?」

ソラは笑いました。

「俺たちが聞く」

サクラは少し驚いて

それから笑いました。

そのとき。

遠くから

誰かが歩いてきました。

昼の光の中で

その人は少し迷っているようでした。

桜の木は

静かに揺れました。

まるで

「来たよ」

と言っているみたいでした。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


「桜の木のふたり」は、桜の木の下で生まれる小さな出来事や、人の気持ちに寄り添う時間を描いた物語です。


満開の桜だけでなく、散る花びらや季節の移り変わりとともに、ルナとソラの日常や、訪れる人たちの物語を少しずつ描いていけたらと思っています。


もしこの桜の木の下の時間を気に入っていただけたら、また次のお話でもお会いできたら嬉しいです。


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