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桜の木のふたり。  作者: sakura


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1/13

第1話 どうぞ


町のはずれに、

一本の大きな桜の木があります。

古くて、

とても大きな桜です。

昼は、風がやさしく通る場所。

夜は、月がきれいに見える場所。

でも――

不思議なことがあります。

夜になると、

なぜか人がここに来るのです。

悩みを抱えた人。

悲しい顔をした人。

疲れた顔の人。

そしてその桜の下には、

いつも一人の女の子が座っています。

猫の耳をした女の子。

名前は ルナ。

ルナは、

桜の木の下に静かに座っています。

話しかけるわけでもなく、

呼び止めるわけでもなく。

ただ、そこにいます。

その夜も。

一人の女性が

ゆっくり歩いてきました。

少し疲れた顔でした。

女性は桜の木を見上げます。

花びらが、

ふわりと落ちました。

女性は小さく言いました。

「……きれい」

するとルナが、

静かに隣を指しました。

「どうぞ」

女性は少し驚きました。

「え?」

ルナは微笑みます。

「ここなら」

「話していいよ」

女性は少し迷いました。

でも、

ゆっくり座りました。

そしてぽつりと

「私…」

と言った瞬間。

桜の花びらが

ふわっと舞いました。

まるで桜が

「聞いているよ」

と言っているみたいに。

女性は、

少し笑いました。

そして言いました。

「ちょっと疲れちゃって」

ルナはうなずきました。

「うん」

それだけ。

アドバイスも、

答えもありません。

ただ

静かに聞いてくれるだけ。

でもそれだけで

女性の顔は

少しだけ楽になりました。

桜の花びらが

ゆっくり落ちました。

ここは

本当の気持ちを

話していい場所。

桜の木の下の

小さな相談所。

夜はルナが。

そして昼は――

犬耳の男の子

ソラがいます。

この場所には

今日もまた

誰かがやってきます。


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