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クラスごと異世界転移したモブの俺、ハズレスキル【無限収納】が覚醒したので異世界で無双します  作者: よるねこ
第一章

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第8話 鑑定と完全鑑定、使ってみたらすごく便利でした

 翌朝。


 宿舎前の広場に、生徒たちが集められていた。


 王城の石壁に朝日が反射し、空気はまだひんやりとしている。


 黒崎悠人は軽く肩を回した。昨日の討伐訓練の疲れは残っていない。

 昨日は久しぶりの風呂を堪能出来たが、その後の出来事でなんだか疲れてしまった。


 騎士団が前に整列している。


 その中央に立っているのはレオンだった。


 もうそろそろ見慣れた光景だ。


「昨日の討伐訓練は悪くなかった」


 低く落ち着いた声が広場に響く。厳しいレオンも最近はたまに生徒たちのことを褒めることがある。


「だが魔力感知や武器の扱いが、まだ粗い」

 生徒たちは静かに聞いている。


「今日も森に入る」

 レオンは短く言った。


「実戦形式の訓練だ」

 それだけで空気が少し引き締まる。


 やはり魔物は怖い。


 実際に戦ったことで、それはよく分かっていた。


ーーーーーーーーーーーーー


 森の中。


 昨日と同じ場所だ。


 生徒たちは班ごとに分かれ、騎士と一緒に進む。


 悠人の班には相沢翔太と桐谷玲奈がいた。


「昨日より落ち着いてるな」

 相沢が小声で言う。

「慣れただけだろ」

 悠人が答える。


 玲奈は少し緊張した顔で周囲を見ていた。

「でも、やっぱり怖いよ」

「まあな」

 悠人も否定しない。

 

 魔物は本物だ。

 ゲームでは無い。

 

 死ぬ時は普通に死ぬ。


 それは今までで嫌というほど理解している。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 前を歩いていた騎士が手を上げる。


「止まれ」


 全員がその場で足を止める。

 

 森の奥から低い唸り声が聞こえる。


 草が揺れる。



「来るぞ」


 茂みの奥から姿を現したのは、ウルフ型の魔物だった。


 二匹。


 昨日と同じ種族だ。


「戦闘準備!」

 騎士が叫ぶ。


 生徒たちが武器を構える。


 悠人は棒を握り直した。


 剣ではない。

 

 だが振り回しやすく、この方がいい。


 無理して剣を使うより、この方が戦いやすい。


 ウルフが低く唸り、地面を蹴る。


 次の瞬間、一直線に飛びかかってきた。


 悠人は一瞬だけ目を細める。


 ……【完全鑑定】


 意識した瞬間、視界の端に文字が浮かんだ。


ーーーーウルフ

ーーーー危険度:低

ーーーー弱点:左後ろ脚関節


 ほんの一瞬で情報が流れる。

(なるほど)

 悠人は何も言わない。

 ただ棒を構える。

 ウルフが踏み込む。

 悠人は半歩横にずれた。


 突き!


 狙いは左脚の関節。


 棒が当たる。

 

 ウルフの体勢が大きく崩れた。


 その瞬間、騎士の剣が閃く。


 魔物はそのまま倒れた。


 もう一匹は別の騎士が斬り伏せる。


 戦闘は一瞬で終わった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 生徒たちがほっと息を吐く。


 相沢が近づいてきた。


「今のさ」

「ん?」

「なんで脚狙ったん?」


 悠人は肩をすくめる。

「なんとなく」

「なんとなくで当てるなよ」

 相沢は呆れた顔をした。


 玲奈も笑う。

「観察力いいよね。黒崎くん」

「そうか?」

「昨日も冷静だったし」

 悠人は軽く誤魔化した。


「たまたまだよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 少し離れた場所でレオンがその様子を見ていた。


 隣の騎士が言う。

「今の見ましたか?」

「ああ」

レオンは短く答える。

「脚の関節」

 騎士は頷いた。

「偶然ですかね?」

 レオンは少しだけ考えた。

 そして言う。

「……偶然にしては出来すぎだ」

 だがそれ以上は何も言わない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 訓練はその後もしばらく続いた。


 魔力感知。


 武器の扱い。


 連携。


 騎士たちは厳しいが、教え方は丁寧だ。

 

 そして夕方。


 訓練は終了した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 帰り道。


 相沢が隣を歩く。

「黒崎」

「ん?」

「お前さ」

 相沢は少し笑った。

「意外と戦えるよな」

「棒だけどな」

「いや。それがいい」

 相沢は言う。

「剣持ってる連中、結構振り回されてるし」


「俺もだけど」

「まだ慣れてないだけだろ」


「その点お前はシンプルだ」


 玲奈も頷いた。

「確かに」


「こう、無理してない感じ」

 悠人は小さく笑った。

「生き残るのが一番だからな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その会話を少し離れた場所でレオンたちが聞いていた。


 騎士が小声で言う。

「…クロサキ……ユウト」


「どう思います?」


 レオンはしばらく黙っていた。


 そして静かに言う。


「観察力がある」


 騎士が頷く。

「確かに」


 レオンは森の奥を見た。


「戦場では武器になる」


 そして小さく呟く。

「……あいつはまだまだ強くなる」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 悠人はそれを知らない。

 ただ森を歩きながら思う。

 この世界で生きるなら……


 焦らないこと。

 無理をしないこと。

 

 それが一番大事だと。


 少なくともーーーーーー


 今の悠人はそう思っていた。




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