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クラスごと異世界転移したモブの俺、ハズレスキル【無限収納】が覚醒したので異世界で無双します  作者: よるねこ
第一章

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第4話 異世界の食事はあまり美味しくないらしい(あと風呂もない)

○宿舎と二人部屋○ 


黒崎悠人たちは、騎士に案内され城の敷地を歩いていた。


 さきほどまでいた大広間の豪華さとは違い、こちらは実用的な建物が並んでいる。石造りの倉庫、厩舎、兵士たちの宿舎らしき建物。


 やがて騎士が立ち止まった。


「こちらになります」


 目の前にあったのは二階建ての石造りの建物だった。


城の一部というより、宿屋に近い雰囲気だ。


「ここ?」


 クラスメイトの男子が言う。


 騎士は頷いた。

「皆様にはこちらで生活していただきます」


 その言葉に微妙な空気が流れる。


 誰も口には出さないが、さっきの説明を思い出している。


 勇者パーティは王城。

 それ以外は宿舎。


 扱いの差は明らかだった。


「まあ、勇者だしな」

 誰かが苦笑する。


 悠人は何も言わなかった。

 だが、少しだけ引っかかっていた。


 騎士が建物の扉を開ける。


「部屋は二人部屋です」


「男子は一階、女子は二階となります」


 廊下の左右に部屋が並んでいた。

 思ったより整った建物だ。


「部屋割りを発表します。


 騎士がごわごわとした紙を見ながら名前を読み上げる。


「桜井亮、岩本健」


「山田健太、西村怜」


 クラスメイトたちはそれぞれの部屋へ向かっていく。

 やがて、悠人の名が呼ばれた。


「……黒崎悠人」

 騎士は紙を見て続ける。


「……相沢翔太」


「はい」


 手を挙げたのはクラスでも特に目立つタイプではない男子だ。

ーーー良かった。

 内心、悠人は胸をなでおろす。

 

 正直、この状況で陽キャと同室になるのはきつい。


「よろしく」


 相沢が言う。


「よろしく」


 二人は部屋へ入った。


 中はシンプルだった。

 

 ベッドが二つ。


 机。


 棚。


 それだけだ。


 部屋の隅に掃除用なのか木製の桶が置いてある。

 

「思ったより普通だな」

 相沢が言う。

「そうだな」


 悠人はベッドに腰掛けた。


 そのとき相沢が聞いてきた。


「黒崎さ」


「スキル何だった?」

 

「収納と鑑定」

正しくは、

【無限収納】

と、

【完全鑑定】

だがそこまで言わなくてもいいだろう。


 相沢は少し驚いた。


「マジか」


「おれも鑑定持ってる」


 そう言って机の上のコップをじっと見る。


「鑑定」

 少ししてそう言った。


〈木のコップ〉

〈材質:木〉


 悠人は思わず笑いそうになる。


「それだけ?」

「それだけ」


 相沢は肩をすくめた。


「まあ慣れたら少し変わるかもな」

 そう言って続ける。


「ちなみにおれのもう一個のスキル」


【商業】


悠人は少し興味を持った。


「商業?」


「交渉しやすくなったり、信用されやすくなるらしい」


 戦闘向きではないが、役に立ちそうなスキルだった。


 そのとき廊下が騒がしくなる。


 窓の外を見ると、兵士たちが鉄の檻を運んでいた。


 中には巨大な狼のような生き物。

 あきらかに普通の狼では無い。

 体は人よりも大きく、牙が長い。


「………あれが魔物か」

 相沢が小さく言った。


 悠人は静かに窓から離れた。


 この世界はゲームじゃない。


 本当に危険な生き物がいる世界だった。


○食堂と異世界生活○


 夕方になると騎士に食事が出来たので食堂に集まるに言われた。

 

 宿舎の食堂にぞろぞろ人が集まり始めた。


 長い木のテーブルが並び、騎士団の食堂らしい簡素な作りになっている。


 どうやら学食のように自分たちで食事を取りに行く方式らしい。


 悠人と相沢も食事を受け取り、適当な席に座った。


 木製のトレーに乗っているのは。


 黒いパン。


 スープ。


 少しの肉。


 相沢がスープを飲む。


「………うーん」


 悠人もスープを飲む。

 ………味が薄い。


「……あんまり美味しくないな」

「まあ、騎士団の飯だし」


 相沢の感想に悠人は苦笑する。


 そのとき後ろから声をかけられた。


「黒崎くん」


 振り向くと橘真里奈と桐谷玲奈だった。


「ここいい?」


「どうぞ」


 二人は向いに座る。


 玲奈がスープを飲む。


「うわ」


「…薄い」


 今度はパンを指で叩く。


「…硬い」


 相沢が笑う。

「石じゃないぞ」


 真里奈は少し笑った。


「栄養はありそうだけど」


「美味しいとは言えないわね」




「そういえば二人は同室?」


 悠人が聞くと玲奈が頷いた。


「うん」


「先生と同じ部屋」


 真里奈も頷く。


「女子も二人部屋よ」


「玲奈と同室」


 

 どうやら仲良くなったらしい。


 玲奈が笑う。

「先生で良かった」


「あんま知らない人だと怖いし」


 そのとき玲奈が周囲を見た。


「そういえば」


「お風呂ってどこ?」


 そういえばそれらしき物は見ていない。


 相沢が近くを通りがかった兵士に聞く。


「あの、すいません」


「風呂ってありますか?」


 兵士は少し考えて答えてくれた。


「浴場なら城にある」


 ーーーーー城にしか無いのか。


「だが、毎日使うものじゃない」


 玲奈が驚く。

「えっ。毎日入らないの?」


 兵士は肩をすくめた。


「普通は体を拭くだけだ」


 当たり前のように兵士は言う。


「浴場は週一ぐらいだ」


 それを聞いた玲奈が机に突っ伏した。

「無理〜。毎日お風呂入りたい」


 真里奈が少し笑う。


「日本の方が珍しいのよ」


 悠人は思う。


 本当にここは異世界だ。


 悠人は残っていたスープを飲み干した。


 味は薄い。決して美味しくはない。


 だが、それよりも。


 この世界の現実の方が、ずっと重かった。



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