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クラスごと異世界転移したモブの俺、ハズレスキル【無限収納】が覚醒したので異世界で無双します  作者: よるねこ
第一章

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第46話 中堅冒険者の生きる知恵を聞いたら思ったよりずっと堅実だった件


ギルドの中は昼間でも賑やかだった。


木の長机では酒を飲む者、依頼書を眺める者、仲間と話し込む者。

様々な冒険者がそれぞれの時間を過ごしている。


ユウトたちは、その少し奥の席に腰を下ろしていた。


護衛依頼を終え、ギルドへの報告が終わったばかりだ。


ユウトは椅子の背にもたれながら大きく息を吐いた。


「……護衛って、思ったより疲れますね」


レイナが笑う。


「気を使う仕事ですからね」


マリナも頷いた。


「戦うだけじゃないもの」


向かいに座っていたガルドが腕を組んだ。


「護衛は特にな」


「戦うより周りを見る時間の方が長い」


ダインが短く言う。


「だが報酬は悪くない」


ユウトは苦笑した。


「それは確かに」


護衛依頼は採取よりも報酬がいい。

ただし、その分だけ責任も重い。


レイナが言う。


「でも、護衛って色々怖いですね」


ユウトも頷いた。


「依頼失敗とか」


マリナが続ける。


「護衛対象に被害とか」


ユウトは少し考えてから言った。


「依頼に失敗したり、護衛対象に被害が出たら賠償ですよね」


ダインは頷く。


「そうだ」


「だから気軽な仕事じゃない」


ガルドが言う。


「魔物も出る」


「怪我もする」


「それが冒険者だ」


ユウトは少し黙った。


確かにそうだ。


森で戦った魔物。

街道で遭遇した盗賊。


それはほんの一部だろう。


ガルドが続ける。


「怪我も厄介だ」


ユウトが顔を上げる。


「治癒魔法ですか?」


ガルド


「高い」


「しかも」


「完全に治るとは限らない」


レイナ


「そうなんですか?」


ダイン


「腕が動かなくなる」


「足を引きずる」


「そういう冒険者もいる」


ユウトは思わず自分の手を見た。


冒険者という仕事は、やはり危険なのだ。


ガルドが言う。


「それと装備だ」


ユウト


「装備?」


ガルド


「武器」


「鎧」


「盾」


「全部高い」


ダイン


「壊れることもある」


レイナ


「確かに……」


ユウトは思い出す。


剣も槍も鎧も。


決して安い物ではない。


ダインが言う。


「だから」


「中堅になると考える」


レイナ


「何をです?」


ダイン


「金の使い方だ」


ユウトは少し興味を持った。


「例えば?」


ダインは腕を組んだ。


「俺は」


「商人に金を貸す」


ユウト


「え?」


レイナ


「お金を貸すんですか?」


ダイン


「護衛で知り合う」


「見込みのある商人」


「付き合いのある商人」


「そういう相手にな」


ユウト


「それで?」


ダイン


「利益を分けてもらう」


ユウト


「なるほど……」


レイナ


「商売みたいですね」


ダイン


「そういうものだ」


ガルドが口を開いた。


「俺は違う」


レイナ


「ガルドさんは?」


ガルド


「家だ」


ユウト


「家?」


ガルド


「何軒か持っている」


ユウトは目を丸くした。


「え?」


レイナも驚いた顔をする。


「そんなに?」


ガルド


「借家だ」


マリナが納得したように頷いた。


「なるほど」


ユウト


「借家?」


ガルド


「冒険者は移動が多い」


「行商人も同じだ」


ユウト


「確かに」


ガルド


「だが」


「ずっと宿屋暮らしだと金がかかる」


レイナ


「ああ」


ユウト


「それで」


ガルド


「一月単位で貸す」


ユウト


「便利ですね」


ガルド


「需要はある」


ダインが小さく頷いた。


「堅実なやり方だ」


ユウトは感心した。


「なるほど……」


冒険者にも色々な生き方があるらしい。


ダインが少し真面目な顔になる。


「だが」


「考えない奴も多い」


レイナ


「例えば?」


ダイン


「酒」


ガルド


「賭け事」


ダイン


「女」


少し沈黙が流れた。


ダインが静かに言う。


「冒険者を長く続けたければ」


「考えた方がいい」


ユウトは小さく頷いた。


確かにその通りだ。


レイナがにやりと笑った。


「このパーティにも」


「約一名」


「お酒に溺れそうな人がいますね」


ユウト


「?」


レイナ


「ユウト」


ユウト


「?」


マリナ


「あなたよ」


ガルド


「間違いない」


ダイン


「確実だ」


ユウト


「?」


レイナが肩をすくめた。


「まあいいです」


「そのうち分かります」


ユウト


「?」


ダインが席から立ち上がった。


「もう一つ」


「冒険者の知恵がある」


ユウト


「なんです?」


ダイン


「移動を無駄にしない」


ユウト


「?」


ガルドが説明する。


「帰るだけの道でも」


「依頼を受ける」


ユウト


「あ」


マリナ


「なるほど」


ダイン


「採取」


「護衛」


「討伐」


「帰り道の仕事を受ける」


ガルド


「ただ移動するより金になる」


ユウト


「確かに」



それから三日。


ユウトたちは帰り道の護衛依頼を受けて街道を進んだ。


特別なことは何も起きない。


街道を進み


夜は野営をし


朝になればまた歩く。


時々旅人とすれ違い

遠くに農村が見える。


それだけだ。


だが、それが普通の仕事なのだろう。


三日目の午後。


遠くに見慣れた城壁が見えてきた。


ユウトが言う。


「戻ってきましたね」


レイナ


「安心します」


マリナ


「ええ」


ガルド


「仕事は終わりだ」


ダイン


「次の依頼を探すか」


ユウトは少し考えた。


そして言った。


「その前に」


レイナ


「?」


ユウト


「お酒!」


ダイン


「ダメだ」


ガルド


「ダメだ」


マリナ


「ダメ」


ユウト


「えぇ……」


街の門がゆっくりと近づいてくる。


冒険者の仕事は終わらない。


だが少なくとも今日は、無事に帰ってきた。


それだけで十分だった。

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