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クラスごと異世界転移したモブの俺、ハズレスキル【無限収納】が覚醒したので異世界で無双します  作者: よるねこ
第一章

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第34話 ついにエルドリア共和国に入国したら宿屋が満室で三人同室になりダインさんは知り合いに会いに行った件


アルトリア王国の国境を越えると、街の空気が明らかに変わった。


城壁の形も違う。

門の上に掲げられている旗も、王国のものとは違う紋章だった。


剣や王冠ではない。


歯車と天秤。


商人の国――エルドリア共和国の象徴だ。


門をくぐると、すぐに街の喧騒が耳に入ってきた。


行き交う人の数が多い。

しかも王国よりも装備がばらばらだ。


商人。

冒険者。

職人。

旅人。


色々な人間が入り混じっている。


ユウトは周囲を見回した。


「……王国と雰囲気違いますね」


ダインが歩きながら言う。


「ここは商売の国だからな」


レイナがきょろきょろしている。


「すごい人ですね」


マリナも小さくうなずいた。


「王都より活気がある気がするわ」


確かにそうだった。


王国の街は整然としている。


だがここは違う。


少し雑多で、少し騒がしくて、そして妙に自由な空気があった。


それでも治安が悪い感じはない。


むしろ、みんな自分の仕事をしているだけという感じだ。


「まずは宿だな」


ダインが言った。


「共和国は人が多い。早めに取った方がいい」


ユウトたちはうなずいた。



しばらく歩いて最初の宿屋に入る。


だが、返ってきた答えは同じだった。


「満室だ」


二軒目。


「悪いな、空いてない」


三軒目。


「今日は商隊が多くてな」


四軒目。


「一部屋ならあるが」


その言葉に、四人が同時に止まった。


宿屋の主人が続ける。


「三人部屋みたいなもんだがな」


沈黙。


ユウト

マリナ

ダイン


全員レイナを見る。


レイナは普通に言った。


「それでいいですよ」


ユウトが聞き返す。


「え?」


レイナは首を傾げた。


「宿って寝るだけじゃないですか」


確かにそうだ。


だが。


ユウトはマリナをちらっと見る。


マリナも同じタイミングでユウトを見て、すぐに目を逸らした。


レイナはあっさり言った。


「問題ないです」


宿屋の主人は肩をすくめた。


「決まりだな」



部屋に案内される。


広さは普通。


ベッドが二つ。


それだけだった。


ユウトは思わず言う。


「俺、床で寝ます」


レイナが即座に言った。


「なんでですか」


「いや……」


うまく説明できない。


レイナは不思議そうな顔だ。


「普通に寝ればいいじゃないですか」


マリナも少し困った顔をしている。


「まあ……そうね」


ダインがそこで言った。


「俺は知り合いに会ってくる」


ユウトが振り返る。


「え?」


ダインは肩を軽く回した。


レイナが言う。


「今からですか?」


「久しぶりだからな」


それだけ言って、ダインは荷物を肩にかけた。


そして最後に言う。


「それじゃ」


少し振り返る。


「お前たちもまだこの国に慣れていないだろう」


「少しは手助けしてやる」


「明日の朝、ギルドで会おう」


ユウトがうなずいた。


「わかりました」


レイナが言う。


「ずるいです」


ダインは小さく笑った。


「宿は自分で取る」


そう言って部屋を出ていった。



静かになる。


ユウト

マリナ

レイナ


三人だけ。


レイナがベッドに腰を下ろす。


「じゃあ寝ましょう」


早い。


ユウトは苦笑した。


「いや、まだ早くない?」


「移動疲れました」


レイナは布団をかぶった。


「おやすみなさい」


数秒後。


寝息。


ユウトが呆然とする。


「……早い」


マリナも苦笑している。


「本当に早いわね」


少し沈黙。


ユウトが小さく言う。


「レイナ寝ましたね」


「ええ」


部屋は静かだった。


ユウトは天井を見る。


落ち着かない。


するとレイナの声がした。


「二人とも」


ユウトが驚く。


「起きてた?」


「寝れません」


ユウト

マリナ


同時に言う。


「寝なさい」


レイナは布団の中で笑っていた。



翌朝。


レイナが一番先に起きた。


そして次にマリナ。


最後がユウトだった。


レイナが言う。


「寝不足ですね」


ユウトは即答した。


「普通です」


マリナも言う。


「普通よ」


レイナは小さく笑った。


「そういうことにしておきます」


三人は軽く準備を整え、宿を出た。


朝の街はすでに動いている。


商人が店を開き、荷車が動き始めていた。


ユウトが言う。


「共和国って朝早いですね」


マリナが言った。


「商売の国だからかしら」


レイナが前を指す。


「ギルド、あそこです」


王国のものより大きい建物だった。


看板には冒険者ギルドの紋章。


すでに多くの冒険者が出入りしている。


ユウトは息を吐いた。


「人多いな」


レイナが笑う。


「王国の倍くらいいそうですね」


マリナも少し驚いている。


「本当に多いわ」


三人はギルドの扉を押した。


そして――


中に入る。


そこには、すでにダインが立っていた。


その隣には、見知らぬ男がいた。


背の高い男。


弓を背負っている。


落ち着いた雰囲気。


ダインが言う。


「来たか」


ユウトたちは歩み寄った。


ダインが男を指す。


「こいつが言ってた知り合いだ」


男が軽く頭を下げた。


「ガルドだ」


ユウトたちも挨拶する。


「ユウトです」


「マリナです」


「レイナです」


ガルドは静かにうなずいた。


その視線は穏やかだったが、どこか疲れているようにも見えた。


ダインがユウトを見る。


「ユウト」


少し間を置く。


「ちょっと相談がある」


ユウトは首を傾げた。


「相談ですか?」


ダインはガルドを見た。


そして言った。


「ガルドの娘なんだが」


「病気なんだ」


ガルドが静かに続けた。


「治療薬はある」


「だが材料が厄介でな」


ユウトは少し驚いた。


そして思った。


――これは、簡単な話じゃなさそうだ。


冒険者ギルドの朝は、思っていたより静かに始まろうとしていた。


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