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クラスごと異世界転移したモブの俺、ハズレスキル【無限収納】が覚醒したので異世界で無双します  作者: よるねこ
第一章

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第12話 先生、黒崎くんがサイズ知ってるってどういうことですか?


 宿舎に戻った頃には、空はすっかり夕暮れ色に染まっていた。


 城下町での買い物と、思いがけないスキル検証。

 思ったより長い一日だった。


 宿舎の前で悠人は立ち止まる。


「今日は……」


 真里奈が先に口を開いた。


「色々ありがとう」


 少し照れたように笑う。


「荷物も持ってもらったし」


「スキルの検証も出来たし」


 悠人は頭をかいた。


「いえ、俺も色々分かりましたし」


「無限収納、思ったより変なスキルでした」


「変って言わないの」


 真里奈が苦笑する。


 少し考えてから、真面目な顔になる。


「でも今日分かったことは」


「誰にも言っちゃダメよ」


「はい」


「こういう力は知られない方がいい」


「分かってます」


 悠人は頷いた。


「じゃあ、また明日」


「おやすみなさい」


「おやすみなさい」


 二人はそれぞれの部屋へ向かった。


 ――


 夜。


 女子部屋。


 ベッドの上で桐谷玲奈がごろりと寝転がっていた。


「先生」


「……なによ」


 橘真里奈が振り向く。


 玲奈はにやにやしていた。


「今日どうでした?」


「……何がよ」


「黒崎くんとのデート」


「だからデートじゃないって言ってるでしょ」


 真里奈はため息をつく。


「買い物よ、お買い物」


「へぇ〜」


 玲奈が笑う。


「何買ったんですか?」


「布とか」


「あと生活用品とか」


「服とか?」


「まあそんな感じ」


 真里奈は少し視線を逸らした。


「下着も探したんだけど」


「いいのが無くて」


「ですよねー」


 玲奈が頷く。


「先生スタイルいいですもんね」


 真里奈の顔が少し赤くなる。


「な、なに言ってるのよ」


 その時、別の女子が言った。


「でもさ」


「私、裁縫スキルってのがあるんだよね」


「え?」


 真里奈が顔を上げる。


「下着とか作れるかも」


「ほんと?」


「うん」


 女子が頷く。


「でもさ」


「サイズが分からないと、多分無理じゃないかな」


 部屋が少し静かになる。


「……」


「……」


 玲奈が聞いた。


「先生、今のサイズって分かります?」


 真里奈は少し考える。


「だいたいは分かるけど……」


「ちゃんと測ったのは最近じゃないわね」


「ですよね」


 女子が頷く。


「じゃあ一回測らないと」


 玲奈が困った顔になる。


「でもこの世界って」


「そういう道具無くない?」


「メジャーとか見たことないよね」


「確かに」


 女子たちが少し悩む。


「うーん……」


 その時だった。


 真里奈が思わず言った。


「あっ」


「黒崎くんなら今のサイズ――」


 言いかけて止まった。


 真里奈の顔がゆっくり青くなる。


「……」


「……えっ?」


 玲奈が固まる。


「えっ」


 別の女子も止まる。


「えっ」


 全員の視線がゆっくり真里奈に集まった。


 数秒の沈黙。


 玲奈がゆっくり聞いた。


「……先生」


「なんで」


「黒崎くんが」


「先生のサイズ」


「知ってるんですか?」


 真里奈の顔が一瞬で真っ赤になった。


「ち、違うのよ!!」


 女子たちが一斉に身を乗り出す。


「えっ」


「どういうことですか?」


「黒崎くんと何があったんですか?」


「デートですよね?」


「宿屋に入ったって聞きましたけど!」


 真里奈は完全に囲まれていた。


「ち、違うの!」


「買い物よ!」


「本当にお買い物!」


 だが女子たちの勢いは止まらない。


 その夜。


 女子部屋は――


 朝までずっと騒がしかった。


 ――


 翌朝。


 宿舎の食堂。


 悠人はパンを手に席へ向かった。


 しかし。


「……」


「……」


 妙に視線を感じる。


 顔を上げると、女子たちがこちらを見ていた。


 しかも全員。


 にやにやしている。


「……なんだ?」


 嫌な予感がする。


 その時、女子の一人が言った。


「黒崎くん」


「はい?」


「先生のスリーサイズ知ってるって本当?」


 食堂が凍った。


「……は?」


 悠人の思考が止まる。


 男子たちも固まる。


「え?」


「え?」


「え?」


 悠人と真里奈を見る。


 真里奈は顔を真っ赤にしていた。


「ち、違うの!」


 だが女子たちは止まらない。


「昨日デートしてましたよね?」


「城下町で見ました」


「宿屋にも行ってましたよね?」


 悠人は完全に言葉を失った。


 説明できない。


 スキルの秘密がある。


 男子たちは小声で言う。


「黒崎……」


「やるな……」


「いや待て」


「先生だぞ?」


 だが女子の圧が怖すぎる。


 誰も助けない。


 その時。


 食堂の扉が開いた。


 レオンが入ってくる。


 騎士団の教官であり、今の彼らを指導している騎士だ。


 レオンは食堂を見渡した。


 女子が悠人を囲んでいる。


 真里奈は真っ赤。


 男子は遠巻き。


 数秒。


 状況観察を終了する。


 そして言った。


「……今日は休みだ」


 食堂が静まる。


「え?」


 誰かが言う。


 レオンは肩を回した。


「オレもたまには休みたい」


「昨日も結局仕事だったしな」


 騎士の一人が頷く。


「それは仕方ないですね」


 別の騎士も笑う。


「隊長も大変ですから」


 レオンは軽く手を振った。


「今日は好きにしろ」


 そう言って食堂を出て行く。


 女子たちはまだ悠人を見ている。


 にやにやしながら。


 悠人は思った。


 ……なんか。


 背中が寒いなあ。


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