学校2
その日の夜遅くに、姫と真紀は、理事長室の扉から、真っ暗な学校の廊下に出てきた。
目が慣れるまで、しばらくじっと動かずにその場に二人手を繋いで立っていた。
「夜の学校って、何故かワクワクしない。」
「そうですね。」と、真紀の声は少し上ずっていた。
目が慣れてくると、徐々に周りが見えるようになってきた。
「姫様、あそこ何か蹲ってますよ。」
「どこ?」
「あの廊下の柱の所。」
二人、目を凝らすと、確かに何か大きな黒い影が、柱の所に蹲っていた。
恐る恐る二人は、近づいて行った。
傍によると、何か見たことのあるような気がした。
「白虎?」
そう呼びかけると、もぞもぞとその塊が動き出した。
「キャッ!」と学校中に響きそうな大声でふたりは叫んだ。
そして、その場に座り込んでしまった。
その大きな塊が、立ち上がった。
「姫さん?」それは、まぎれもなく白虎の声だった。
「どこ行ってたんですか?昨日から、ずっと探していたんですよ。」
「あんなことが有ったすぐあとだから、本当に心配していたのに。」
「ごめんなさい。白虎、おじい様の所に行ってました。」
「連絡しなくて、本当にごめんなさい。」
「まあ、姫様が元気ならいいです。」
「白虎さん、こんばんわ。明日から、よろしくお願いします。」
「その声は、真紀さん。こちらこそよろしく願いします。」
真っ暗な中、相手の顔が見えない中、二人は、お互いにお辞儀した。
「で、あなた、案あところで何してたの?」
「いや、姫さんが行方不明だったので、こいつと探していたんです。」
と言って、白虎は、何かを抱き上げるように動いた。
「クうん。」と言う声が聞こえた。
「いや、今日校庭にこのわんこが居たんで、夜になってから姫様からもらったハンカチの匂いを頼りに学校の中を捜し回ってたら、理事長室の扉が開いたから、まずいと思って、隠れてたんです。」
「白虎、すぐにわかったわよ。頭隠して、尻隠さずね。」と言って、姫様は笑った。
それをみて、白虎も嬉しそうだった。
「姫さんも、やっといつもの姫さんに戻ったみたいで良かった。」
「これも、白虎と真紀のおかげよ。」
「今日は、もう遅いから、寮に戻りましょ。」
女子寮と男子寮の分かれ道に来た時、白虎は、小さな犬に引っ張られながら、寮に戻っていった。
姫様と真紀も自分たちの部屋に戻っていった。
佐紀先生か亜紀先生に戻ったことを伝えた方が良いかとも思ったけど、夜も遅いので明日にすることにした。
二人は、そっと、扉を開けて、自分たちの部屋に入った。
「懐かしい。まだ、3か月ぐらいしかたっていないのに。」
「そうよね、でも、いろんなことが有ったわ。」
「しばらくは静かに学校生活を送れるといいけど、おじい様の口ぶりでは、難しそうね。」
「そうですね。逆に、暇じゃなくていいかもしれませんね。」
そして、再び姫と真紀は向き合って、
「これからも、よろしくお願いします。」と言って、お辞儀した。




