添い寝
「姫様、もう眠られました?」
真紀が、そっと姫様の部屋の扉を開けた。
「真紀が、来ましたよ。」と足を忍ばせてそして、大きな枕を胸の前で抱えて、その薄暗い部屋に入っていった。
「すみません。後片付けの後に、お風呂に入っていたので遅くなりました。」
姫様は、徐々に近づいてくる足音と、漂ってくる石鹸の香りを楽しんだ。
それから、ベッドのきしむ音が聞こえたので、姫様は、ベッドの陰から亜紀が居そうなところに飛びついた。
「きゃっ。」と言う悲鳴と同時に、柔らかい肌の感触そして、ふさふさの尻尾を抱きしめた。
亜紀は、何も着ていなかった。
「姫様?」
「そうよ。」
「亜紀、久しぶりね。」
姫様と亜紀が、寝転んだベッドはクイーンサイズで、女の子二人がじゃれ合ってもまだ、余裕のある広さだった。
「姫様、今日は、ユキの代わりにわたしが添い寝しますね。」
「亜紀、ユキの替りって言わないで。今日は、亜紀と一緒に寝たいんだから。」
「じゃ、今日だけは、ユキ姉様より、私の方が姫様のお気に入りと言うことですね。」
「そうよ。今日の私のお気に入りは、真紀よ。」
「うれしい。」
そう言うと、真紀は、姫様を抱きしめた。
「今晩だけは、何が有っても姫様からは離れませんから、安心してお休みください。」
「わかったわ。」
それから、二人は、学校の話や、昨日何が有ったとか、夏休みに白虎が、異国の地まで追いかけてきてくれたとか、色々話をしている間に眠ってしまった。
多分、姫様は、同級生の真紀に心の中に閉まっていたことを話すことができて、落ち着いたのだろう。
その日の眠りは、今までに感じたことのない深い眠りだった。
翌朝、亜紀がベッドから出ようとしたので目が覚めた。
そして、真紀を後ろから抱きしめて、
「どこに行くの?」と聞いた。
「すみません。姫様、起こしてしまって。これから、おじい様とおばあ様の食事の準備をしないといけないので。」
薄っすらと、窓の外が明るくなり出していた。時計を見ると、まだ、5時前だった。
「もう少し、良いでしょ?」と言って、姫は、亜紀を抱きしめた。
「すみません。6時前には、皆様、起きられるので。」とは、言ったものの、亜紀もこの状況が気持ちいいのか動こうとしなかった。
「わかったわ。亜紀、じゃあ、あと5分だけ。それで、私も真紀が、朝食を作るのを手伝うわ。」
「すみません。姫様、では、後、5分だけ。」
そのまま、二人は、抱き合っていたが、姫様は安心したのか、再び眠ってしまった。
亜紀は、今度は、姫様を起こさないように注意しながら、ベッドから抜け出し、静かに部屋の扉を閉めた。
朝食の準備をしていると、おじい様とおばあ様が食堂に入ってきた。
「おはようございます。」と真紀。
「おはよう。」とおじい様とおばあ様が答えた。
「今日も、おいしそうなみそ汁の香りじゃ。」
「厚揚げとわかめとジャガイモのお味噌汁です。それと、シャケと青菜のお浸しです。」
「真紀も、料理が上手になったわね。」とおばあ様。
「姫は、まだ寝ておるのかの?」
「はい、ぐっすり。」
「今までは、安心してゆっくり寝れなかったようです。それと、すみません。夜遅くまで色々お話してました。」
「多分、それが、今の姫には、一番良かったのかもしれんの。」
「もし、良かったら、真紀も姫と一緒に学校に戻ってくれんかのう?」
「いえ、私は、こちらでおじい様、おばあ様のお世話を・・・」
そう言いかけたときに、食堂の扉が開いて、姫が入ってきた。
「おじい様、いいの、真紀と一緒に学校に戻って?」
「真紀が、いなくなって、おじい様とおばあ様は、お困りにならない?」
「お困りにはなるけど、何とかなるさ。」
「そうね、誰かほかの人に来てもらうから、真紀、姫様と一緒に学校に行って下さる。」
「真紀、おじい様もおばあ様もああおしゃってるんだから、一緒に学校行きましょう。その方が、おじい様もおばあ様も安心よ。でしょ?」姫は、おじい様おばあ様を交互に見た。
「わかりました。そうですね。私がいないと、姫様が心配です。」
そう言いながら、真紀は、下着姿で立っている姫様を、食堂の外に連れ出して服を着させた。




