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学校

 翌日、破壊された正門を不思議そうに眺めながら、通用門から多くの生徒が登校してきた。

学校の先生たちも、朝から生徒の誘導に暇がなかった。

「はい、皆さん順序良く通用門から、入ってください。」

「はい、そこ、立ち止まらないでね。」

つまづきそうになった生徒の腕を捕まえては、

「よそ見をしないでね。」と、亜紀先生も朝から、笑顔を振りまいていた。

それは、昨日の顛末を理事長に報告しなければいけないとは思いながら、生徒を誘導すること以外何も感が無くて済む、この状況を愉しんでいた。

「理事長への報告は、姫と白虎のめがさめてからでいいわ。」と一人で勝手に、決めつけていた。

姫は、そのころ、佐紀先生が見守っていた。

昨日の夢遊病者のように病院の窓から飛び降りようとしたこともあって、少しも目が離せなかった。

白虎は、『黒い指輪を外してから、おとなしくなった』と言ってたから、大丈夫だとはおもうけど、早く理事長に見てもらった方がいいように思っていた。

 始業式のベルが鳴った。

学校は、朝の喧騒から、水を打ったような静けさに包まれた。

二時限目の授業の始業ベルに合わせるように、姫様がおもむろに目を開いた。

「ここはどこ?」

「姫様、目覚めました?ここは、学校です。」

「良かった。」

「白虎は?」

「大丈夫です。たぶん、今は、自分御部屋で眠っていると思います。」

実は、そのころ、白虎は、目を覚ましてお風呂に浸かっていた。

 学校の始業ベルに合わせて、男子寮は賑やかだった。

「うるさくて、寝てられん。」と独り言ちた、白虎は、お風呂に入ることにした。

「そう言えば、昨日、お風呂に入ってないな?こう見えても、俺は、綺麗好きなんだ。」

そう言いながら、風呂場に向かった。

風呂場には、先客がいた。

これでもかってぐらい入浴剤を入れて、ピンク色に染まった湯船に、佐々木が、浸かっていた。

桃の香りが、風呂場に充満していた。

「おう、佐々木、大丈夫だったか?」

湯船に入る前に、全身にかけ湯をしながら白虎が声を掛けた。

「白虎先輩、すみません。昨日は、応援にいけなくて。武道館で伸びてました。お恥ずかしい限りです。」

「50人近くも居たんだ、仕方が無いって。」

「そう言って頂けると助かります。」

「白虎さんがここに居て、余裕でお風呂に入っているってことは、姫様を無事戻ってこられたと思っていいんですか??」

「そうだな、とりあえずは、無事かな?」

「なにか、引っかかるもの言いですね。」

「無事に戻ってこれたんだが、ちょっとまだ様子が変なんだ。」

「昨日のようなことが有れば、誰だってそうなるでしょう。」

「その程度ならいいんだが、相手に催眠術か何かを掛けられてるような?そんな感じなんだ。」

「そうなんですね。心配ですね。」

「佐々木は、姫が、嫌いだったんじゃ?」

「誰が、そんなことを言ったんですか?僕は、姫様も好きですよ。なんてね、昨日の姫様が付けたリボンで、気が変わったんですよ。それに、姫様を守る白虎先輩の姿を見て、勝てないと思いました。これからは、お二人のために頑張ります。」

「ありがとう、お前にそう言ってもらえると嬉しいよ。」と言って、湯船のお湯を掬って涙をごまかすように顔にかけた。

「でも、どうしてこんなに入浴剤が入っているんだ?」

「白虎さん、試にそこでシャワー浴びてみればわかりますよ。」

言われるままに、白虎は、湯船から上がりシャワーを浴びた。すると、全身に激痛が走った。

今更だけど、昨日の戦いで全身が傷だらけだった。

慌てて、湯船に浸かり直した。

「どうして、ここのお湯だと痛くないんだ。」

「白虎先輩、これは、我が家の特製の入浴剤です。いつも、この入浴剤入りのお風呂で、練習で傷ついた体を癒してました。」

「この時間だと、後は、お湯を抜いて出るだけだから、入浴剤を入れても良いんですよ。」

「えつ、これで流すのは、もったいないだろう?」

「いえ、秘伝の入浴剤なんで。今日は、白虎先輩特別ですよ。みんなには、内緒にしてください。」

「いや、これは、姫さん喜びそうだな。」

「今度、分けてくれ。」

「姫様なら、仕方ないですね。今度、調達しておきます。」

それから、しばらく白虎と佐々木は湯船に浸かって、くつろいでいた。

そんなときに、急にお風呂の扉が開いた。

亜紀先生だった。

「白虎、こんなところにいたのか?ベッドに居ないからどこに行ったかと思えば、お風呂なんかに入ってやがったか?」

「すぐに出て、着替えろ。理事長が呼んでる。」

「亜紀先生、そんなところに居たら、出れないすよ。僕たち、裸なんですよ。」

「大丈夫だ、メガネが曇って何も見えないから早く出ろ。」

しょうがないな、と言いながら、二人ともお風呂から上がった。

「じゃ先輩、ぼくは、着替えて、授業を受けに行ってきます。」

「おう、頑張れよ。」

「先輩も、気を付けて。」そう言って、亜紀先生を指さした。

亜紀先生は、今にもぐずぐずしている白虎を蹴飛ばそうとしていた。

「早くしろ。」

仕方なく、白虎は、激痛に顔をゆがめながら、服を着た。

「さあ、行くぞ。」

そして、二人して、理事長室に向かった。














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