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病院2

 その日の夜、白虎は、姫の病室の前の廊下に椅子を置いて座っていた。

『病室に一緒にいて。』とは、言われたけど、可愛い姫さんと同じ部屋に一晩一緒にいることに多分耐えきれないと思ったのだ。

「何か有ったら、呼んでください。廊下に居ます。」そう言って、病室を出てきた。

夜遅くに、先生と看護師が様子を見に来てくれた。廊下で、座っている白虎を見て、看護師は、毛布を持って来てくれた。

「夜の廊下は、冷えます。これ使ってください。」

「ありがとうございます。」そう言って、白虎は、頭を下げた。

診察が終わって、病室から先生が出てきた。

「大丈夫そうですね。でも、もし何かあれば、夜中でもいいので呼び出してください。」

「わかりました。」白虎は、椅子から立ちあがって頭を下げた。

「それと、きみも体調が悪くなるといけないから、本当は、病室の中で一緒にいてくれた方がいいんだが。」

「すみません。それは、ちょっと。」

「わかった、でも、無理はしないように。」

「はい、ありがとうございます。」

そう言うと、医師と看護師は、並んでナース室の方に歩いて行った。

 そのまま、白虎は、椅子に座りながら、目を瞑り、ただ耳だけは、どんな音も聞き逃さないように神経を集中させていた。

突然、病室の中に何かの気配を感じ、目を開けた。

時計を見ると、夜中の2時だった。

胸騒ぎがしたので、迷うことなく病室の扉を開けて中に入った。

 ベッドで寝ていっるはずの姫さんが、今、まさに、病院の窓から飛び降りようとしていた。

白虎は、一目散に窓まで走り、姫さんのからだを掴んだ。

「姫さん、どうした?」

ベッドに座らせたが、眠っているようだった。

『まるで、催眠術にでも掛っているようだ。』と白虎は、思った。

「まずいな。一人では、何もできない。でも、この病院自体も敵に目を付けられているかもしれない。」

そうなるに、十分な時間をここで過ごしてしまったことに後悔した。

その時、白虎は、姫さんの手に黒い指輪が付けられていることに気付いた。

『いつの間に、こんなものを?』白虎は、その指輪を外すと床に叩きつけた。

「この病院を出た方がいいな。」

 姫様をおんぶして、その上から毛布をかぶり、そして、周りに注意しながら、病院の廊下に出た。

エレベータのボタンを押すと、静かな病院の中でエレベータが上がってくる音が響いた。

その短い時間も、とても長く感じた。

エレベータのドアが開いてので、中に乗り込み、1階のボタンを押して扉を閉めた。

エレベータが、1階に着いたが、そこには、誰も乗っていなかった。

昼間、姫様を診察した看護師が、中をしらべるようにそのエレベータに乗り込んだ。

そのころ、白虎は、風のように階段をおりると、非常口から外に出た。

誰にも見つからないように、病院を抜け出そうとすると、後から声を掛けられた。

全然気配を感じなかったのにびっくりした白虎は、後ろを振り向いた。

「こっちじゃよ。」今度は、前から声がした。

「あんたも、病院を抜け出したいんじゃろ。付いてきな。」

 少し、怪しんだが、こうなっては、仕方が無いので腹をくくって、その老人に付いていくことにした。

その老人の後ろ歩いていると、周りが何も見えなくなったように感じたが、その老人の姿だけははっきり見えていたので迷ううことなく、病院の外に出ることができた。

「わしとは、ここまでじゃ。」そう言うと、老人は、その闇の中にすっと歩いて消えていった。

しばらく、姫様をおんぶして歩いていると、後ろから、車のヘッドライトの明かりが近づいてきた。

その車が、白虎の隣に止まると、

「昼間の坊ちゃんじゃないか?どうした?」

その声に聞き覚えが有った白虎は、その車が昼間のタクシーだと思った。

「すみません。この人を、学校までつれて帰りたいんですけど。」

「わかったよ。早く乗りな。」そう言うと、後部座席のドアを開けてくれた。

二人が、乗り込むと、タクシーは走り出した。

何故か、後を気にしながら、走るタクシーの運転手。

「坊ちゃん、誰かに後を付けられてるね。」

「えっ?」と言って後ろを見そうになったので、

「見ちゃだめだよ。気づいたことに気付かれる。」

慌てて、前を見る白虎。

「夜は、逆に目立つから、まけないかもしれねえな。さて、どうするかな。」

そう言いながらも、タクシーはどんどんスピード上げていった。

 確かに、何かが追いかけてくる気配が背中にひしひしと感じる。

「坊ちゃん悪いが、もうすぐ行くとトンネルが有るんだけど、入ったらちょっと目を瞑ってもらえるかな?」

「わかりました。」

その運転手が言ったように、しばらく行くとトンネルが見えてきた。

「目を、瞑って。」運転手が声を掛けた。白虎は、その声に合わせて目を瞑った。

しばらくして、

「もういいよ。」の声が聞こえて来た。

「巻いたよ。」

確かに、気配が消えていた。

しばらく走ると、昼間壊された学校の正門が見えてきた。

「すみません。そのまま、学校に入ってください。」

「あいよ。」

そう言うと、そのまま、学校に入り校舎の前まで車を付けてくれた。

「ありがとうございます。すみません。昼間は、お礼も出来なくて。昼間の分と合わせて、タクシー代払います。それと、後日、お礼をさせてください。」

「あつッと、ごめん。メーター倒して無かったわ。」

「いいよ、お金は、それより、そのお嬢さん早く寝かせてあげな、ここなら、結界が張られてるから安心じゃろ。」

姫さんを、抱っこして、タクシー降りたときに校舎の方から、

「白虎!」と呼ぶ声が聞こえた。

そっちを見ると、亜紀先生がこっちに走ってくるのが見えた。

そして、これがチャンスとでもい言いたげに、タクシーが走り出し正門から出て行った。

白虎は、仕方が無いので、そのタクシーに深々と頭を下げた。

それから、白虎は、病院で有った出来事を亜紀先生と女子寮の姫の部屋に向かいながら報告した。

それから、姫様をベッドに寝かせると

「白虎、あなたも疲れてるでしょ。部屋に戻って寝なさい。後は、佐紀と私で姫は見るから。」

「すみません。亜紀先生もお疲れだと思いますが、僕も限界みたいです。部屋に戻って寝ます。」

「そうしなさい。」

白虎は、姫様を亜紀先生に任せて、寝ることにした。






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