誘拐2
白虎は、3人を連れて武道館の外にでた。
グランドでは、亜紀先生がチア部のメンバーを開放していた。
「亜紀先生、何が有ったんですか?」
「すまん。白虎。さっき連絡したように姫が誘拐された。あいつら、親睦とか言って、スポーツドリンクをくれたんだか、何かの薬が入っていたようだ。毒では無いと、思うんだが。」
「今、気分が悪くなった生徒を介抱している。」
「姫様を、追うのを優先したかったんだが、そんなことしたら、姫様の一生の心の傷になる。」
「白虎すまん。すぐに、姫を追ってくれ。」
「わかりました。自分からの首飾りをしているので追えます。」
白虎は、学校の門のところをみた。
まだ、二十人ぐらいの北野高校の学生が、門を塞ぐように立っていた。
「白虎先輩、自分たちも加勢します。」と剣道部の部長と副部長が声を揃えて言った。
「大丈夫です。それよりチア部の介抱をお願いします。」
そう言って、白虎は、門に向かって走った。
「とりあえず、こいつらを何とかしないと動けないな。」独り言のようにつぶやいた。
白虎は、そのまま、体当たりをして、数名を気絶させた。
相手が、人間だけに能力を使うことも出来ず、ひたすら、拳で殴り合った。
と言っても、数分で全員を倒して、学校の外に出た。
偶然、高校の壁の所に1台のタクシーが止まっていた。
白虎は、そのタクシーを捕まえて乗り込んた。
「何か、有ったんですか?」
「いつも、ここを休憩場所にしていたんですけど、さっき、バスが門を壊して出て行ったんで動けずにいたんですけど。」
「申し訳ないが、そのバスを追いかけてください。」
「やばくないですか?」
「やばいけど、お願いします。」
白虎は、深々と頭を下げた。
「しょうがなあいなあ、兄ちゃんがそこまでするなら追いかけるか。」
「ありがとうございます。愛した人が、そのバスで誘拐されたんです。」
この人を引き付ける魅了が、能力なのか生まれつきの資質なのか、白虎には、備わっていた。
白虎は、精神を集中させて、姫様の首飾りの位置を探ろうとしていた。
「すみません。次の信号を左にお願いします。」
どんどん、姫さんとの距離が離れていってるのが分かった。
白虎は、スマホを捜したが、ここで、剣道着のままだったのに気付いた。
「しまった。スマホを持ってくるのを忘れた。」と独り言を言った。
「兄ちゃんどこかに、連絡したいんか?」
「そうなんです。慌てて出て来たんで忘れてきました。」
「もしかして、財布も持ってないとか?」
しばらく悩んだが、正直に財布も持っていないことを明かした。
「しょうがないな。」そう言うと、タクシーの運転手は、メーターをもとに戻した。
そして、白虎に自分のスマホを渡して、
「好きなところに、電話しな。乗り掛かった舟だしょうがない。」
そして、タクシー無線を取って、
「今、黒いバスをおっている。見かけたら連絡してくれ。いや、出来れば止めてくれ。」
これでいいか?って、ルームミラーで白虎と目を合わせた。
再び、白虎は、頭を下げた。
白虎は、亜紀先生に連絡した。
今、タクシーでバスを追っていること、そして、バスのおおよその位置を連絡すると、警察に言って、、至急バスを止めるように言ってほしいことをお願いした。
亜紀先生は、『それは、無理かもしれない。』と言った。
『これだけ大事になっているのに、救急車は来たけど、パトカーが1台も来ないことからして、相手は、国家がらみかもしれない。』と言った。
『理事長に言って、相手の高校にも連絡してもらったんだけど、対外試合のことなんて、何も知らない。と言われたそうよ。』とのことだった。
タクシーの運転手に、スマホを返した。
白虎は、頭を抱えてしまった。
「どうやら、八方塞のようだね。」
「そのようですね。」
「じゃ、バスを止めるしか方法が無いね。」
そう、タクシーの運転手が言うと、再びタクシー無線で、
「車をぶつけてもいいから、バスを止めてくれ!」と叫んだ。
「どうしても、そのバスに追いつかなきゃならん。」
警察に止められることを考慮して、白虎のタクシーは、交通違反をしない最速のスピードでバスを追いかけた。
その時に、タクシー無線が入った。
「おーい。41号車、青梅線の長野との県境でバスを止めたぞ。中から、黒い服を着たのがじゃらじゃら出て来たけど、どうする?」
「そこなら、もうすぐ付きそうだけど、兄ちゃんどうする?」
白虎は、
「すみません、そいつらの足止めお願いできないですか?」と泣くように叫んだ。
「分かった。」と言って、無線が切れた。
白虎は、相手が、普通の人間じゃ無いことが分かっていたので、今言ったことを後悔した。
ただ、そして、ただひたすら前を見て、現場に一刻も早く着くことを祈った。




