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誘拐1

 まもなく個人戦が始まった。トーナメント形式で、西と東の2つのコートで試合が始まった。

白虎のチームの5人は、西に2人、東に3人に分かれた。

西は、白虎と副部長、そして、東は、部長と三宅さんと佐々木だった。

そして、学校名にちなんできたに来たの高校応援団、そして南に我がチア部が陣取っていた。

 チア部は、相手の応援団に人数小尾負けていなかったが、相手が鳴らす太鼓におびえていた。

「みんな、太鼓の音に負けないように声を出していきましょう。」と副部長の明日香が声を掛けた。

それぞれで、円陣を組んだ。そして、

「ブルーD高校、ファイト!」と叫んだ。

個人戦の一回戦が始まった。

最初に、トップバッターは、佐々木だった。

いきなり、相手の応援団から、やじが飛んだ。

「おい、木村、相手は女だぞ。さっさとやっちまえ。」

 そのヤジに答えるように、佐々木は、相手の選手にウインクした。

相手は、その行為で、馬鹿にされたと思い、初めの合図が掛った途端に突っ込んできた。

それを、軽く流して、面を打った。

面が入ってるってるはずだが、審判は、知らんぷりをした。

『そうか、そう言えば、審判も向こうが連れて来たのか。これは、ちょっと厳しいかも。』

と思った瞬間、後ろから、ヤジが飛んだ。

「審判、今の入ってるだろう。」姫さんだった。

『姫様、今の面が見えていたのか?動体視力は、良いんだな。』そう思ったけど試合は、まだ続いている。

相手が、打って来た面を軽くかわそうと竹刀を合わせた。

『重い。こいつ竹刀に鉛を仕込んでいるぞ。それとも、素振り用を間違って持って来たのか、もしくは、俺が舐められたか?』

何度か打ち合うことで、答えが分かった。

『こいつ、俺にダメージを与えようとしている。まともに武具のないところに入ったら、骨折するぞ。どうりで、防具のないところばっかり狙ってくる。』

『しょうがない、ここは、逃げるが勝ち。』

 何度か打ち合って、相手が、突いてきたときに、当たったふりをして後ろの壁まで飛ばされそのまま気絶したふりをした。

相手に悟られないように、二人に状況を伝えないと。

心配して飛んできた二人に、佐々木は、

「二人とも聞いて、あいつら俺たちを潰しに来ている。場外反則でもなんでもいいから、けがをしないうちに負けてください。」

二人は、小さな声で「わかったわ。」と言った。

佐々木は、そのまま、棄権した。

他の二人も、相手にわからないようにけがをしないうちに負けることができた。

西のコートでは、白虎が、一人、25人を相手に一人勝ち進んでいた。

三宅さんは、相手が、大男だったので、早々に棄権した。

東のコートでは、誰が勝つのか事前に決められていたかのように、試合自体がすぐに終わった。

その後は、東のチームが、両方のコートを使って試合を進めていた。

あっという間に、白虎と北野高校の三宅さんの相手だった体のでかい男が、決勝戦に残っていた。

 誰が見ても、全身ボロボロに見えた白虎をブルーD高校の生徒は全員で応援していた。

試合が始まり、延長3分で、白虎は、相手の突きをもろに食らって、負けてしまった。

面を外した白虎に姫さんが、真っ先に近づいた。

それを意味有り気に、相手の応援団が見つめ、目でお互いに合図をしていた。

「一旦、休憩を入れて、その後に団体戦をします。」とマイクから、亜紀先生の声が流れた。

「それぞれの主将は、団体戦の出場者の名簿を提出してください。」

「後、応援団は、一旦武道館の外に出てください。コートのラインを修正します。」

 審判と顧問の先生同士で、コートを中央の一か所に修正しだした。

「白虎先輩、あいつら、俺たちを潰しに来てますよ。竹刀に鉛を仕込んでやがった。」

「わかっている。」と白虎。

「棄権した方が、良くないですか?」

「そうかもしれんな。」

遠くを見る目をしている白虎に

「どうしたんですか?」と佐々木が、白虎に聞いた。

北野高校の連中が一斉にこちらを見た。

それに合わせるように、学校の正門の方で爆発のような音が響いた。

「姫が、さらわれた。すまん、これは、罠だ。お前たちは、今すぐ学校の外に逃げてくれ。」

「佐々木、早くみんなを連れて、逃げてくれ。」

そう言い終わらないうちに、相手の高校の連中が、5人を目掛けて走ってきた。

「白虎さん、姫様を助けに行くんでしょ。だったら、ここは、俺に任せてくださいよ。それに、外に出るなら、彼女たちも一緒に連れて行ったください。外には、チア部もいるから、何とかなるでしょう。」

「早く。」

「すまん。」そう言うと、白虎は、他の3人を連れて外に出た。

出口を背に、佐々木は、50人近い相手と竹刀を木刀に変えて対峙した。

佐々木は、腹からの奇声で相手の動きを止めて、それから目に見えない速さで、突きを繰り出し、10人程度倒した。

「すみませんね、1対50なので、木刀使いますね。それと、死にたくなかったら、動かないでください。」

そんな脅しは、効かないというように残りが一斉に飛び掛かってきた。

「姫さん、あなたのリボン信じますよ。」そう言うと、佐々木は、その群れの中に飛び込んだ。

それも作戦の内だった。相手は、竹刀を振っても仲間を気絶させるだけで、一発も佐々木に当たらなかった。逆に、佐々木は、一振りするごとに相手を間違いなく倒していった。

残り5人ぐらいになったところで、白虎に突きを入れた奴と対峙した。その後ろに4人。

 佐々木は、呼吸を整え、正眼の構えを取った。相手を見ずに遠くの山を見るように視線を広げた。

その巨体の後ろに隠れるように立っている4人も視界の中にとらえた。

静かに、相手の右足が数ミリ動いた。その瞬間をとらえ、佐々木は、この後出てくる相手の足の向きに合わせ胴を払った。その後ろにいる人間に突きを入れ、左右に分かれた二人に左右胴を入れた。

最後の一人が、自分に向かって振り下ろされる面を前の二人の竹刀を払いあげることで受け止め、そのまま突きを入れた。

風のような一瞬の動きに、剣聖と言われた先祖の面影をかいま見せた。

「白虎先輩、助けにいけないけど、後は任せましたよ。」そう言って、その場に倒れ込んだ。























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