対抗試合2
対抗試合の当日、白虎は、朝早くから体を軽く動かすために学校の武道館に居た。
姫は、体を清めるために朝からお風呂に入っていた。
お風呂に差し込む朝日を全身に浴びながら姫は、一糸まとわぬ姿で祈りを上げた。
神様に、隠すものも遮るものも何もない。そして、今は、祈りこそが唯一。
そんな気持ちを込めて、白虎のそして、部活のメンバーの安全を祈った。
試合だから、本当は、勝を祈るべきだとは思ったけど、なんとなく不安を感じていた。
そして、それは、白虎も感じていたこと。昨日のお願いのためにも大切な儀式だった。
姫は、昨日、白虎から頼まれたものを持って、お風呂から上がった。
9時過ぎに、2台の大型バスに乗って、相手の北野高校がやってきた。
全員、黒い制服でバスから降りてきた。男子も女子も詰襟にズボンだった。
いかにも、異様なそして、威圧的な雰囲気だった。
全員が並んだところで、お互い挨拶した。
人数としては、圧倒的に相手の方が多い。白虎と姫と、佐々木以外は、いや、もう一人亜紀先生以外は、相手の雰囲気に押されて、みんな肩を寄せ合っていた。
「こんにちわ。今日は、よろしくお願いします。」と亜紀先生が相手校の引率の先生に挨拶した。
「こちらこそ、および頂きありがとうございます。立派な武道館ですね。部員も5名しかいないなんて、もったいないですね。今日は試合ですが、今後は、練習も一緒にさせて頂くとうれしいですね。」
「そうですね、お宅の生徒がうちの生徒と同じレベルならお願いしたいですね。」
「そうそう、うちの生徒は、全国大会にも出ているのでレベルが合わないですね。失礼しました。」
「そうですね。じゃ、皆さん武道館の方へ。」
「白虎、皆さんを、武道館へ。」
「わかりました。皆さんこちらです。着替え等は、武道館の更衣室を使ってください。入って右が、男性用です。そして、左が女性用です。」
「ありがとうございます。でも人数が多いので、館内で着替えさせてください。」と主将らしき人が、言った。
「わかりました。」白虎は、もう少し威圧的に来るかと思ったが、紳士的なのでちょっとだけ安心した。
しかし、相手メンバ-の中の数名に、威圧的なオーラを感じるものが居たのが気になった。
武道館に入ってきたのは、50名程度だった。
「後は、応援団か?だったら、女子も男子も詰襟なのは、理解できる。」
相手の選手は、人目もはばからず着替えを始めた。みんな、高校生徒は思えないほど体を鍛えていた。
それを、嬉しそうに見ていたのは、佐々木だった。他の女子は、目を伏せていた。それに、女子は、みんな、さらしを巻いていた。
佐々木が一人、「すごいすごい!」と言って、喜んでいた。
「白虎、先輩気付きました?」
「何を?」
「内の女子は、出さない方がいいかもしれませんね?中に、白虎先輩並みの化け物が紛れてますよ。」
「お前も、気付いていたか?」
その時に、姫が、白虎の所に近づいてきた。
「白虎、これみんなにつけていい?」
「姫さん、お願いします。」
姫は、胴紐にうちの学校の生徒とわかるように黄色いリボンを付けた。
姫が、佐々木に胴紐をつけていると、
「姫様、そのリボン?・・・ありがとうございます。貴方の念を感じます。」
「白虎に頼まれたのよ。」
「これなら、もう怖い物無しですね。」
「頑張ってね。」
「はい。」
白虎は、姫と佐々木が近づいたのでちょっと緊張したが、何事もなかったのでほっとした。
「じゃ、みんな、一緒に準備運動をします。白虎、掛け声お願いします。」
それから、白虎の掛け声で、10分程度の準備運動をして、その場で、素振りを行った。
全員で、50名近くいたが、それでも武道館には、余裕が有った。
「やっぱり、これぐらい部員が欲しいな。」と白虎は、思った。




