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誤解

 次の日の朝、白虎は、朝から武道館に居た。

正座しながら、朝日を浴びて小鳥の鳴き声を遠くに聞きながら一人瞑想していた。

いかに、静かに、そして長く呼吸を伸ばせるか?そのうちに、自分が呼吸をしているのアどうかもわからないようになった。

そのまま、静かに立ち上がると目を瞑ったま竹刀を振った。

イメージするのは、広い草原でひたすら竹刀を振る自分。いつしか、自然に同化して竹刀の軌道が風に置き換わる。

 いつしか、竹刀は、空気を切り裂き風すら起らなくなる。

自分のイメージが、完全に具現化しようとしたときに、

「きゃ。」と声がした。はっとして目を開ける。

目の前に、1年の佐々木が立っていた。

その顔の数ミリもないところに白虎の切っ先が有った。

「ごめん。」

と、声を掛けたが、佐々木は、おびえるでもなくまっすぐ白虎を見ていた。

「わたしこそすみません。」

「目を瞑りながら、竹刀を振っている先輩に見とれて、動けなくて。あれって、演武ですか?」

そのやり取りを、武道館の入り口で立ち竦んで見ている人がいた。

声を、掛けようとしたが、白虎が、女学生と話してるところをみて思わず声を掛けそびれた。

昨日、連絡をしてこなかったのも、彼女と一緒だったからかもしれない。

 佐々木は、その気配を後ろに感じながら、何かに躓くようなふりをして白虎の胸に飛び込んだ。

白虎は、驚いてどうしていいかわからず、体が動かなかった。

佐々木は、後の気配が消えたことを確認しながら、そっと白虎から離れた。

「すみません。私、ドジなんで何もないところで躓くんです。」

「白虎先輩は、お付き合いしている人、いらっしゃるんですか?」と唐突に聞いてきた。

「付き合ってはいないが、一生守ると決めた人はいる。」

「そうですか?」

「その人を守るためにさらに強くなろうとしている。」

「幸せですね。その方は。」

「でも、気付いてないんですよね、先輩の気持ちを。」

「そうかもな。でも、そんなことは、どうでもいい。」

その瞬間、佐々木が、再び、白虎の胸に飛び込んできた。

「さんな方より、私とお付き合いしてください。」

「何を言ってるのかわからないんだが、昨日、合ったばっかりで?」

「一目ぼれです。」

どことなく、姫さんに感じが似てるとは思ったが、全然違うとも思った。

「悪いが、そろそろ教室に戻るのでこれで失礼する。」

 白虎は、そのまま、男子更衣室に逃げ込んだ。

学生服に着替えて、外に出るときに、佐々木がいないことを確認しながら、教室に向かった。

教室に着くと、姫さんが、いつもの机に座っていた。

思わず、うれしくて声を掛けた。

「姫さん、おはよう。」

白虎の期待は、可愛く振り向いて「おはよう。」と言ってくれる姫さんだったが、振り向きもしてくれなかった。

多分、昨日連絡しなかったので機嫌が悪いのかな?と思って、

「昨日は、ごめん。」と言った。

「何のこと?」声が冷たい。

「昨日、連絡しなかったこと。」

「それがどうしたの?あなたからの連絡を私が、心待ちにしているとでも言いたいの?そんな言い方止めてもらえる?」

それだけ、姫様は言うと、泣きそうになる目を抑えながら教室から出て行った。

白虎も、何が何だか訳が分からず、思わず周りに助けを求めた。

男友達が、その異変に気付いて、

「白虎、朝から夫婦喧嘩か?」と声を掛けたが

白虎の顔が青ざめるのを見て、

「大丈夫か?」と心配しだした。

 姫様は、そのまま、その日の授業に出て来なかった。

 その日の放課後は、落ち込む白虎を慰める男友達と、姫様を探す女の子達で亜紀先生のクラスは大変なことになっていた。






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