2学期3日目
翌朝、白虎は、亜紀先生に出会うと90度に腰を曲げて、頭を下げた。
「今まで、生意気な態度をとって申し訳ありませんでした。」
「わかればいいのよ。わかれば。」
「で、おり入ってお願いが有ります。自分にあの剣を教えてください。真剣なら自分は、すでに死んでいます。あの程度で、姫様を守ろうなんてとんでもない思い上がりでした。」
「真紀先生、私からもお願いします。」姫も、亜紀先生に大して頭を下げた。
「やめてください。姫様まで。教えたいのは、山々なんですが、私にも教えることはできません。」
「そうですか。やはり、あれだけの剣術は、門外不出ですよね。」
「すみません。甘ったれたことを言ってしまいました。」
『よかった。勘違いしてくれた。私に、青龍様の剣術などできるわけないじゃん。』
「自分で、考えることね。一度剣筋を見せたから、あなたならできるはずよ。」
「本来なら、相手を倒すために秘術。見せることもタブーなのよ。見たものは、すべて死ぬことが前提なんだから。」と、亜紀先生は、心の中で下を出した。
「ありがとうございます。そう言って頂けるとやる気が出ました。」
「白虎、そのやる気を勉強にも向けてね。」
「あっ、そう言うことですね。あの秘剣には、自然物理や、医学とかいろいろな要素が含まれているということですね。そして、色々なものにヒントが隠れている。だから、勉強もがんばれと。」
「ありがとうございます。先生が、いる間に何とか取得できるようやってみます。」
「姫、すみません。しばらく、秘剣の取得に集中します。」
「いいわよ、私も全力で応援します。」
「姫様、その件だけど、地道に練習してね。急に、すごいことされると困るから、必ずやる前に私の方を見てね。」
「わかりました。亜紀先生。」
『よかった。今日は、姫に殺されると思ったけど、案外二人とも純粋でよかったわ。』
「さあ、授業を始めましょう。」
その日の授業は、白虎が、真剣に全科目を受けていたので、周りの生徒もその波に影響されて、いつもより授業がはかどった。
亜紀先生が職員室に戻ると、他の教師から、賞賛の声が向けられた。
「いえ、大したことは、してないです。クラスで出来の悪い生徒をひとり、やる気にさせただけです。それで、他の生徒も負けるかもしれないという恐怖心から、やる気を起こしてくれたまでですよ。」
「いや、それが素晴らしいんです。」
放課後、亜紀先生は、体育館にいこうか、武道館に行こうか悩んでいた。
やっぱり、両方気になる。
『仕方ない。姫の方を、佐紀に任せるか。』
佐紀は、たぶん音楽教室で、ピアノを弾いているはずだ。
職員室を出ると、亜紀は、音楽教室に向かった。
しばらく行くと、音楽教室の方から、ピアノの音が聞こえて来た。
あまり、音楽には興味ない亜紀も、聞きほれるぐらい上手なピアノだった。
もしかしたら、姫様と一緒に弾いているじゃないかってぐらい、音域の広いメロディだった。
音楽教室の扉を開けると、やっぱり佐紀がピアノを弾いていた。
さっき、姫様と弾いているのかと勘違いした理由が分かった。
ピアノ越しに、両手以外に尻尾が鍵盤を叩いていた。
「佐紀、びっくりさせないでしょ。」
「尻尾締まって。」
「はいはい。でも、良いメロディでしょ?」
「あなたしか引けないわよ,あんなメロディ。」
「それより、ちょっと姫様の面倒を見てくれない?」
「私は、白虎の方を見ないといけないから。」
「聞いた、聞いた、白虎が、あなたに剣道でぼこぼこにされて、勉強に目覚めたんだって。あなた、孫あに剣道強かった?」
「みんなには内緒にしてね。姫さまにも。あれは、私に化けた青龍様がやったことなの。もっと、白虎を強くするために。今度の対外試合もそのためよ。」
「そうなんだ。」
「だから、放っておくわけにもいかなくて。」
「あら、優しじゃない。以前は、犬猿の仲だったのに。」
「やっぱり、素直に頭下げられるとね。可愛いところもあるなって。それに、姫さまにも頭下げられたから。」
「そう、じゃ、姫様の方は任せて。」
「人並外れたことをさせないようにしてね.。」
「それも聞いた。チアでいきなり、スゴ技披露したんでしょ。」
「人間じゃないって、評判よ。」
「それならまだいいけど、化け物って言われかねないから。」
「そうよね、龍に変身されたら困るものね。」
「あなたも、その尻尾隠しなさいよ。」
「わかったわ。」
そう言うと、亜紀先生は武道館に、佐紀先生は、体育館に向かった。




