2学期2日目2
亜紀先生にが、白虎との打ち合いの後、いや、一方的に打ちのめした後、理事長室に入っていった。
理事長室の扉を開けると扉の壁の所に、もう一人亜紀先生が立っていた。
壁の所に立っている亜紀先生が、今入ってきた亜紀先生に向かって
「理事長、どうでした?」と聞いてきた。
今入ってきた亜紀先生は、徐々に姿を変え、青龍こと青島龍蔵の姿に戻った。
「大丈夫じゃよ。コテンパンにやっつけてやった。」
「お前には、申し訳ないが、姫のパートナーとして、アヤツを鍛えねばならん。嫌われ役をやらせて申し訳ないが、もう少し我慢してくれ。」
「青龍様のおっしゃることには従いますが、それなら、青島様ご自身で鍛えれば?」
「駄目じゃよ。わしがやったのでは、負けて当たり前と思ってしまう。主に負けることで、反省して、さらに高みに登ろうと努力する。やつなら、そのために、嫌いな相手でも頭を下げるじゃろ。」
「頭を下げられたら、私は、どうすれば?」
「大丈夫じゃよ。自分で考えろと言っていればよい。それで、駄目ならそれまでの男じゃったということじゃ。その時は、処分する。」
「それだと、姫様が納得されないのでは?」
「その時は、姫をたきつけて、奴をっようくするだけじゃ。駄目なら、その時点で終わりじゃよ。」
「自分も、お前もそして日本も。もしかしたら、世界かもしれん。」
「あの二人は、そういうレベルの人間なんじゃよ。」
「だから、いろんな奴に目を付けられて、襲われる。それらを退治していくことで、世界が、平和に一歩一歩近づいていくんじゃよ。」
「まずは、この学校からじゃな。いや、出雲が先じゃったな。そこは、うまくいった。そして、その次は、東京、日本、そして、最後は、世界じゃ。」
「そこまでは、たぶん難しいと思うがな。」そう言うと、青島龍蔵は、大声で笑った。
「一言言い忘れた、白虎は、武道館で伸びておる。姫に言って、手当てするように言ってくれ。」
「自分の気を込めて、竹刀で3か所も叩いたから、放っておいたら1週間ぐらい目を覚まさんよ。」
それを聞いて、亜紀先生は、心配になった。
「まさか、私を腹いせのために、襲ったりしないですよね。」
「多分、大丈夫じゃよ。その時は、また、お前に化けてやっつけてやる。」
化けるのが、得意の妖狐一族の亜紀でさえ、技術的には、青龍の足元にも及ばない。
しかも、白虎のような人間相手だと、霊力の波動も一緒にしないと違和感を感じられてしまう。
それを悟られないように、相手を怒らせたか、もしくは、霊力の波動を亜紀と一緒にしたか、それともその両方か?姫様のいるチア部の練習場に向かう廊下でそんなことをことを考えると、世の中には、絶対に敵にしてはいけない存在っているのだなと、あらためて実感した。
チア部の練習場の体育館に行くと、すぐに姫様が見つからなかった。
「今日から、入部するって言ってたわよね。」
体育館の隅で、自己練習をしているか、見学していると思って見渡したがそんな雰囲気の人間は、誰も居なかった。
「もしかしたら、もう帰ったかな?」そう思ったときに、バレー部のボールが足元に転がってきた。
そのボールを拾い上げると、亜紀のクラスの生徒の山本ゆかりがやってきた。
その子にボールを渡すと、
「すみません。ボールありがとうございます。」ボールを渡すときも、周りを気にする担任をみて
「先生、誰か探してます?」
「いや、今日から姫様、いや、青島レイラがチア部に入ると聞いて、見に来たんだが見当たらないな。と思っていたところだ。初日だから、もう帰ったのかもしれない。」そう、亜紀先生が言うと、
ゆかりは、チア部の2本立っているタワーの左側のトップの部員を指さした。
「あそこにいますよ。」
「えっ。」
亜紀先生は、ゆかりの指のさす方を見た。
右のタワーのトップには、明日香がいた。そして、その動きにほとんど誤差のない動きをしている左側のトップの女の子を見た。
それは、まぎれもなく姫様だった。
やばい、やってしまった。と亜紀は、思った。運動神経が良く中学から、新体操をして高校でチア部入った明日香ですら、あそこまでになるまでに1年以上もかかっているのに、それを半日でやってどうする。
二人の演技が終わって、チア部から歓声が沸き起こった。
「レイラすごい。」明日香が、最初に抱き付いた。
「チアやったことあるの?」
『海外でやっていたと言え』亜紀先生は、心の中で念じた。
「全然やったことない、でも、楽しいわね。こんなのやったの初めて。」
終わった。何もかも。どう、言い訳する?とりあえず、この歓声が鎮まるまで待つとするか。
ちょうどその時に、チア部の顧問の先生が体育館に入ってきた。
『しめた。』そう思った亜紀は、その顧問の所に詰め寄り、大声で
「今日、入部したばっかりのうちのクラスの生徒にあんな危険なことをさせて、どうするつもりですか?」
と叫んだ。
「えっ、何?」と言う顔の先生に手を出して謝りながら、その異変に気付いたチア部の部員が集まってきた。
その中に、レイラを見つけた亜紀先生は、レイラの手を掴むなり、何も言わずにその場を立ち去った。
体育館の外に出ると、
「姫様、すみません。普通の方は、入ってすぐ早々あんな高いタワーのトップには、上がれないですよ。普通の人間じゃないって、ばれたらどうするんですか?」
「ごめんなさい。」とレイラは、素直に謝った。
「亜紀先生、もしかして、私に何か用が有って、体育館までこられたんじゃ?」
「そうそう、白虎が体育館んで伸びているから、面倒見てやってくれ。」
亜紀先生が、そう言い終わらないうちに、姫様は、武道館の方に走っていった。
『やばい。もし、私が白虎を気絶させたと思われたら、姫様に嫌われる。いくら、青龍様のお願いでも断ればよかった。』と、今更ながら思った。もしかしたら、明日、命が亡くなるかも?まあ、しょうがない、どちらにしても命が危ないのは間違いないか。




