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2学期2日目1

 次の日の放課後、白虎は、この高校にある武道館に来ていた。

剣道部に今日から、入部して一緒に練習するからだ。

「結構でかいな。」武道館を見た白虎が独り言ちた。

扉を開けて中に入ると、武具を付けて掛かり稽古を4人でやっていた。

声も小さく、本当に大丈夫かと思った。

面を付けていたので、顔まではわからなかった。

「やめー。」声が響いた。

一斉に動きを止め、蹲踞して武道館の壁を背に、4人が正座して、小手を外し、面を取った。

日本手ぬぐいを外すと、4人とも長い髪が流れた。

「えっ、全員女性?」

「初めまして、剣道部部長の山下です。」

「そして、副部長の私も山下です。双子です。」二人とも美人だけど同じ顔をしていた。

やばい、区別できないぞ。匂いも一緒だ。

「2年の三宅です。」

「1年の佐々木です。」

「顧問の先生は、今、理事長に呼ばれて外してます。」

「部員は、この4人だけですか?」

「はい。今は、剣道はそんなに人気無くて。」

「あっ、失礼。白虎です。理事長に言われて、人数合わせに剣道部に入るように言われました。」

「白虎、お前か?助っ人は。」

後から、大きな声がした。亜紀だ。

「理事長が、助っ人を頼んだと言ってたけどやっぱりお前か。」

「嫌なら、帰りますけど。」

「誰がそんなこといった?」

「言ってなくても、顔に出てますよ。」

「この顔は、生まれつきじゃ。」

「ああ、そうですか?生まれたときに、私が目の前にいてそんな顔になったとでも?」

「わかった。喧嘩は、よそう。」

「来てくれて、うれしいぞ、白虎。」

「って、横向いて、言うことですか?」

亜紀先生とのやり取りを見ていた、部長&副部長の山下が

「お二人、仲がいいんですね。」とハモった。

「誰が?」と亜紀先生と白虎がハモった。

「ほら、仲がいい。」

「まあいい。白虎、防具付けろ。私とちょっと打ち合え。」

「先生、防具は?」

「お前ごとき相手に防具はいらん。」

「じゃ、自分も無しで良いです。」

「わかった。」

同乗の真ん中で、蹲踞して、二人が対峙した。

 二人とも、しばらく剣先を鶺鴒の尾のように小刻みに動かしながら相手の出方を伺った。

お互い、相手の力量を図ってるかのように動かなかった。

呼吸すら、しているのかしていないのかわからない、お互い踏み込むタイミングを探っていた。

我慢しきれず動いたのは、白虎だった。

少し足を動かしただけなのに、小手と面と胴を一瞬んで撃ち抜かれた。

軽い衝撃だったが、正確な位置に3か所、打撃を受けたのを感じた。

本来なら、避けられたかもしれないが、体が動かなかった。

あっけにとられた白虎。

「筋は良いけど、動きが読めるのよ。肩の動き、足の動きそして、その臭い息で呼吸のタイミングが分かるのよ。息を吸って吐く瞬間、もしくは、息を吐いて吸う瞬間、人は動こうと思っても動けなくなるのよ。」

「居合切りは、声にびっくりして、息が止まって体が動けないときに一瞬で切られるのよ。」

「いい、白虎、剣道は、力任せじゃ勝てないのよ。」

その声を聴き終わらないうちに、白虎は、その場に崩れ落ちた。

気が付いたのは、あたりが真っ暗な道場だった。

 誰かが、毛布を掛けてくれたみたいだ。

「目が覚めた?」暗い闇の中から、姫さんの声がした。

「姫さん。」

「大丈夫?」

「多分、大丈夫。」そう言って立ちあがろうとしたが、亜紀先生に撃たれたところが折れたんじゃないかってぐらいに痛かった。

本来なら、『あの野郎!』って思うところだけど、自分の未熟さを反省した。

こんなんじゃ、姫様を守れない。

自分の剣は、動の剣。相手を威圧できなければ、やられてしまう。動きに隙が出来すぎるのだ。そこを、ねちねちと狙われれば、やられてしまう。

亜紀先生の剣は、静の剣。動いたか動かなかったのか相手には、わからない瞬間に攻撃されている。

気付いた時には、もう遅い。しかも、相手は、ほとんど体力を使っていないから、いくらでも相手を倒せる。あんな剣を使える人間❔が居たなんて。

辺りが、真っ暗でよかった。痛みに歪んだ顔を姫様には、見られたくなかった。

「姫様。帰りますか?」

「今日は、亜紀先生にぼこぼこにやられた。」

「大丈夫?薬塗る?」

「大丈夫です。明日から、ちょっと亜紀先生に稽古をつけてもっと強くなります。」

暗闇の中だけど、姫さんがくすっと笑ったように思った。

女子寮の前まで姫さんを送って、男子寮に戻ってきた。

お風呂で、体を洗って湯船に浸かった瞬間、白虎は、傷の痛みで再び、気を失いそうになった。
















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