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出雲3

 お風呂から上がってきた姫は、台所に向かった。

先ほどの神主が、一生懸命そばを茹で茹でていた。

「お先でした。素適な、お風呂でした。」

「そう、気に言って頂けると嬉しい。」

「麦茶でもどうですか?」そう言って、冷蔵庫から麦茶を出してガラスのコップに注いでくれた。

「ありがとうございます。」と言って、そのコップを受け取り、口元に近づけると香ばしい麦の香りがした。

「白虎様とは、一緒にお風呂に入らんかったのですか?あの夕日を見れなかったのは残念ですね。」

一緒に、台所にやってこなかったので、そう思ったのかもしれない。

誤解のままにしておくのもいいかもと思ったので、返事をせずに

「おなかが、すきました。」と、姫が言った。

神官は、返事が無いことを咎めもせずに、ニコッと笑って

「すみません。本日いらっしゃる神々のために出雲そばを作っています。食卓に並べているので、好きなだけ食べてください。」

「私たちは、これから、一晩中、神様のための食事を作らないといけないので、それしかできなくて、申し訳なです。」

「ありがとうございます。」

そう言って、姫は、丸い器に入っているそばを取った。

「その器に、薬味とつゆをそのまま入れてください。食べ終えたら、そのつゆを次の器に入れて、薬味を追加して食べてください。それで、食べれるだけ食べてください。」

「先ほど、おにぎりだけは、作っておきましたのでそちらもお召し上がりください。」

そう言って、台所の隣の和室の座卓に目をやった。

そこには、お盆に山盛りにおにぎりがもられていた。

 姫は、おそばにやくみとつゆを入れて、和室の座卓に持っていた。

そして、おにぎりをお皿に取り、食べ始めた。

おそばの二皿目を、取りに行こうとしたとき、やっと白虎が、台所にやってきた。

白虎も、神官を見つけ、

「いや、綺麗な夕日でした。」と言った。

「それは、良かった。」と言って、再び姫様に行ったことと同じことを白虎に告げた。

それで、白虎は、両手いっぱいにおそばを持って和室の座卓にやってきた。

「白虎、そんなに、いっぱい食べるの?」

「はい、姫様。腹が減っては、なんとやらっていうじゃないですか。」

「私は、終わったから、ゆっくり食べてね。」

姫様は、そう言うと食器を持って、台所の洗い場で、使った食器を洗いだした。

それが終わると、

「わたしにも、おそばのゆで方を教えてください。」と神官にお願いした。

「姫様、大丈夫ですよ。もう少し休まれても。」

「大丈夫です。疲れたら、勝手にやすみます。」

「そうですか、じゃ、お教えします。おそばは、お湯が冷めないように注意しながら、2分程度茹でます。」

「茹で上がったらこのざるに開けて、水で冷やします。」

「そして、丸い器に同じ量になるように入れていきます。」

「わかりました。」

9月の夜と言っても、まだまだ気温が高く、その中でおそばをゆでるので結構大変だった。

そのうちに、食事を終えた奴がやってきた。

白虎のも神官が一通り説明した。

そして、小一時間経った頃に、白虎に声を掛けた。

「白虎様、申し訳ありません。しばらくここをお任せしてもよろしいでしょうか?」

「姫さまの今晩の衣装と髪を束ねたく。」

「わかりました。どうぞ。」

「よろしくお願いします。」

「姫様、こちらへ。」

そう神官が言うと、奥の部屋に案内された。

「姫様、こちらにお座りください。」と神官。

姫様は、言われるまま鏡台の前の座布団に座った。

神官は、しばらく姫様の黒い髪に見とれていた。

「これは、失礼、綺麗なおぐしなのでつい見とれてしまいました。」

そう告げると、姫様の背後から、丁寧にくしで髪をとかし始めた。

そのしっとりとした髪が整うと、綺麗組紐で髪を縛り、さらにその上に紙を巻きつけた。

頭には、冠を載せて、それに合わせて綺麗に化粧を施した。

「できました。いかがですか?」

立ちあがった姫様に、薄衣を着せた。

「これが、今日の衣装です。」

「では、出かけますか?」

「白虎様を読んで参ります。」

そう言うと、姫様をそこ部屋に残して、神官は台所に向かった。

台所では、出雲の神官数名やってきていて、白虎と一緒に神様の食事の準備をしていた。

「白虎様、そろそろ神々を迎えに参りましょう。食事の準備は、他のものが対応いたします。」そう伝えて、白虎を誘った。

途中の部屋で、姫様と合流すると、そのまま引佐の浜に向かった。

「もうそろそろ、青龍様が、多くの神々を連れて、引佐の浜に、いらっしゃいます。」

引佐の浜につくと、数名の神官が松明を燃やして、祝詞を上げていた。

しばらくすると、沖合から大きな船が姿を現した。

でも、その姿が見えるのは、数名の神官と姫と白虎だけだった。

見学に大勢の人が集まっていたが、みんな祝詞を上げる神官の方を見ていた。

その時、神様たちの到着を告げる一陣の風き、松明の炎が揺れた。

青龍を先頭に、たくさんの神様が、稲佐の浜に上陸した。

「おじい様、お疲れさまでした。」姫が、おじい様に声を掛けた。

「いやいや、これからじゃよ、大変なのは。」そういうと、青龍は、神々の先頭を歩いて出雲のおおやしろに向かった。

神社に着くと、みんな堂々と参道の真ん中を通り本殿の方に向かった。そして、西と東の19shaに分かれて入っていった。

そこには、すでに神官たちが、準備した食事が並べられていた。

「数が足りないのでは?」と神官に聞くと、神様たちは、それを見るだけで満腹になるらしく、明日の朝、神官たちが茹でたそばを参拝者にふるまうとのことだった。

その日の夜は、神々はそのまま眠りに付き、朝日が昇る前に起き出すとのことだった。

要は、天照の神様が仕事をしているのに、他の神々は寝ていられないとのことだった。

 翌朝、19shaでは、上位の神々が、日が昇っても寝ている神々を蹴飛ばし起こしていた。

それを見かねた姫様は、その上位神が来る前に、優しく肩をゆすって起こしてあげていた。

日が昇ると、朝餉もほどほどに神々は、本殿に集まり会議を始めた。





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