表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/156

出雲

 「姫、そっちで合ってるんですか?」

「大丈夫よ。多分。」

夜遅く、二人は、真っ暗な道を歩いていた。

「だって、こっちから神様の気配がするもの。」

「そうですね。でも、この辺て、神様だらけですよ。」

「いいの。ついてきて。」

「はいはい。どこまでも付いていきますよ。」

クシュン。姫様が、かっわいいくしゃみをした。

「風邪ひきそう。9月に海に入るのはきついわね。」

「姫、私に乗ってください。」いつの間にか、白虎は、大きな虎になっていた。

「こんな時間に、誰も居ませんって。」

「そうね。」そう言って、姫は、白虎の背中にまたがった。

引佐の浜から、まっすぐ東に走った。

しばらくすると、大きな鳥居が、左手に現れた。

「これを、右に行ってと。」

そのまままっすぐ行くと、拝殿がみえてきた。

「姫様、この奥が本殿ですね。」

「神様、居るかな?」

姫と白虎は、閉まってる八足門を飛び越えて、そのまま本殿に入っていった。

「こんばんわ。神様、いらっしゃいます?」

「大国主の神様?いらっしゃいます?」

「こんな遅くにすみません。飛行機に乗り遅れました。」

と。白虎の声が、だんだん小さくなる。

「姫さん、誰も居ないようだから、今日は、ここで寝ます?」

「自分の毛皮の中なら、寒くないですよ。」

「そうね。」そう言うと姫様は、神聖な神殿の中で、濡れた服を全部脱いで、白虎の毛皮の中に体を鎮めた。

「暖かい。お休み。白虎。」

いつしか、姫様は、可愛い寝息を立てていた。

それとは、反対に白虎は、喜びと緊張で一睡もできなかった。

神殿の周りが、だんだん明るくなってきた。

「姫様、そろそろ起きてください。」

「神官たちが、起きてくるころです。ちょっと待っててもらえます?社務所に行って、巫女さんの衣装借りてきます。」

「わかったわ。でも、早くしてね。私、裸だから。」

それでも、まだ湿ってる服を胸の前に持って俯いている姿が可愛い。

白虎も、いつの間にか人間の姿に戻っていた。

そして、本殿から、社務所の方に歩いて行った。

ちょうど、社務所から神官が出てきたので、巫女の衣装を貸してほしいとお願いした。

 ちょっと怪訝な顔をしたが、その神官は、白虎の神格を感じたのか、ほほ笑んで巫女の衣装と神官の衣装を取りに行った。

『もしかしたら、姫のおじいさんが、連絡してくれていたのかもしれない。』そう思っていると、いそいそとさっきの神官が、衣装を持ってきた。

「お借りします。」そう言うと、再び本殿の方に戻っていった。

「姫様、これ来てください。」そう言って、白虎は、姫様に、巫女さんの衣装を渡した。

白虎は、姫様の方を見ないようにして、神官の衣装を身に着けた。

「白虎、夢の中に大国主の神様が現れて、神様を迎えるために東と西の19shaを掃除してね。って言ってた。」

「そうですか。じゃ、さっそく掃除始めますか?」

「その前に、お腹空いた!」

その時、ちょうどさっきの神官が現れた。

「すみません。昨日の夜遅く、神様に会いに来たのですが、何も食べてなくて。」

「わかってます。私の枕元に大国主の神が立たれて、二人に食事と服を渡すようにおっしゃられました。

それと、必要なら、お風呂に入って頂くようにと。」

「お風呂はいりたい。」

「わかりました。この近くに知り合いの旅館が有るんのでそちらで、お風呂にお入りください。食事も、その旅館で準備させます。ついてきてください。」

そう、その神官が言うと、2つ目の鳥居のすぐ近くにあるとても趣のある旅館に二人を案内した。

それは、まるで、昭和いや、明治の時代にタイムスリップしたみたいだった。

姫様と白虎は、その旅館の温泉に浸かった。体の底から疲れが抜けていく感覚、そして、優しく全身を温めた。

温泉からでると、再び、巫女と神官の衣装を着て、朝餉を頂いた。

茶粥と焼き魚が、空腹の体に染み渡った。

「じゃ、姫さん。そろそろ、掃除に掛かりますか?」

「行きましょう、白虎。」

白虎と、姫は、その旅館の女将にお礼を言うと、本殿に向かった。

そのころには、すでに参拝に訪れた人々が、背の高い美男子とこの世のものとも思えない青い瞳の美人の巫女と出会って、その場に立ち尽くした。

19shaに着くと、雑巾で床から柱を磨くように綺麗にしていった。そして、周りのごみを綺麗に掃き清めた。いつの間にか、ふたりは、掃除することに喜びを感じていた。

気付いたら、午後の澄んだ陽光が木々の隙間から、二人を包み込んでいた。

そこに、一人の柱が立っていた。

 そこには、宇宙をも包み込む静寂が漂っていた。

「そなたたちの望みは、そなたたちで叶えてみよ。」そう伝えると、陽炎のようにその柱は消えてしまった。

「姫さん、今のは?」

「大国の神様よ。さあ、掃除を続けましょう。おじい様が、八百万の神々を連れてくる前に。」

ふたりは、そこらじゅうで出会えるウサギたちに挨拶をしながら再び境内の掃除にのめり込んでいった。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ