新学期
姫は、食事が終わると、国王と妃に
「明日、日本に戻ります。もうすぐ新学期始まるの。」
「そうね。夏休みももうすぐ終わりね。いろんなことが有って、大変だったわね。」
「黒龍がどうなったかが、気がかりだけど。」
「後は、妃と何とかするさ。一国の王としてそして、父として姫には、感謝している。」
「白虎殿とユキ殿にも、感謝している。」
白虎は、食べかけの肉を慌てて飲み込んだ
「いえいえ、私など何もお役に立ててません。」
「そんなことは、無いわよ。貴方が居ないと、私が今ここに居られたかわからなかった。」
「お父様、お母様、お許しを頂けるなら、これからも白虎とは一緒に居たい。」
「私たちの許しなんて、いらないわよ。ねえ、国王様。むしろ白虎さんに娘をお願いできるなら、本当にありがたいわ。この国を救った英雄だもの。国民も歓迎すると思うわ。」
「一度、王位は、娘に譲ったことになっておる。白虎殿が、この国を引き継いでくれるなら、わしにも異存はない。」
白虎は、しばらく、考えるように天井を見上げた。
「姫さんに、そんな風に言われるのは、すごくうれしいです。王様とお后様にそのようにおっしゃっていただけるの感激です。ただ、私は、日本の防衛をつかさどる神の一人です。お后様もご存じのように、勝手に恋愛は出来ません。今までは、姫さまへの身勝手な私の片思いで済んでいましたが、そうで無くなるということは、日本の八百万の神々の許しが必要と言うことです。」
「神々同士の恋愛は、多かれ少なかれ利害が伴います。平和なら良いという神も居れば、勢力争いを好む神も居ます。今は、混沌とした中で、それぞれが自分の地位を人々の信仰の量と言う形でバランスをとっています。」
「姫様と自分がつながる。しかも姫様は、黄龍の力を持っていて、青龍の孫となるものと白虎が結ばれるということは、日本を二分しかねない勢力となりかねないということです。」
「姫様と自分がつながることを、快く思わないものもたくさんいるでしょう。」
「白虎、今更何を言ってるの?その時は、二人で八百万の神を相手に戦いましょう。好きに恋愛できない世界なんて要らないわ。」
「白虎、私のために牙と爪を研ぎなさい。」
「それは構わないけど、国王様、お后様、そして姫様、私達が八百万の神々と戦うと大きな犠牲が発生します。それは、避けなくてはいけない。」
「姫様、私は、永遠にあなたに従います。それが、二人の関係としてベストなんです。」
「白虎、まだわからないわよ。日本に戻ったらお父様に相談してみて。」
「多分、九月に神様たちが出雲に集まって色々話をするはずだから。そこで、認められれば大丈夫よ。
私のお父様もお母様も、それで結婚できたのよ。」
「青龍と、茶枳尼天の末裔よ。普通なら、結婚なんてできないわよねぇ、ユキ。」
「そうですね。日本を代表する神様ですから、普通なら無理ですね。」
「お母様、わかりました。おじい様に相談してみます。」
「最後は、私のように人間になればいいわ。」
「白虎、そう言うことだから、明日、日本に戻るわよ。」
「姫様、すみません。私は、こちらに残って、姫様のお父様とお母様を黒龍から玄武と一緒にお守りします。」
「相手が、人では無い以上、私たちがお側にいた方が良いように思います。それに、朱雀様は、すでに日本にお戻りになられているので、やはりここは玄武と私でお守りします。」
「ユキ、ありがとう。貴方が、そばに居てくれると心強いわ。」
「ユキ、大丈夫よ。私には、白虎が居るから大丈夫よ。」
「国王様,お后様、そしてユキ、姫様は、私の命に代えても守ります。」
「白虎殿、レイラを守るのに命は掛けなくても良い。危ないと思ったら、一緒に逃げるように。君が、死んだら姫が悲しむわ。」そう言って、王様は、大声を出して笑った。
次の日、姫と白虎は、国王、后、そして多くの国民に見送られて、日本行きの飛行機に搭乗した。
でも、何故か、席はエコノミー、そして、周りは、家族連れだらけで賑やかだった。
「玄武のやつ、俺が、姫さんをひとり占めにしたからこんなところで嫌がらせをしやがった。」
でも、そのおかげで、姫様と今まで以上に密着して過ごすことができた。
キャビンアテンダントにお願いして、借りた毛布の下で二人はずっと手を握っていた。
『この後、何が有ってもこの手は離さない。』と白虎は、心に誓った。




