目覚め
お城に戻ってから、姫は、再び眠りについた。
その傍らには、ユキと白虎が、同じように眠っていた。
混沌とした眠りの中で、姫とユキと白虎は同じ夢を見ていた。
それは、黄龍の記憶かもしれない。
果てしなく広がる草原に一瞬にして黒い雲が空を覆い、雷がそこかしこにひらめいた。
大地にも、数百か所と土煙が上がった。
それは、天空が大地を滅ぼそうと凄ましい攻撃を加えているようだった。
しかし、大地は、その攻撃を何事もないように受けとめ、そして、その攻撃に合わせ形を変えるだけだった。
数億年にわたりそのやり取りが続き嫌気がさした天地は、黄龍を生み出し、そして、この世界を作ることを命じた。
龍は、生きるために雨を降らせ、川を作り、そしていつの所に水をためた。
大地は、その龍がためた水に、塩を流し込んで生命を誕生させた。
さらに、数億年たったころに、人間が生まれた。
龍は、人間が、自分たちと同じような知能をもっていることに興味を持った。
黒龍は人間を支配しようとし、青龍は人間を守ろうとし、そして黄龍は、無関心を装った。
そして、再び、黒龍が支配している人間が、青龍が守っている人間に戦いを仕掛ける。
そして、今、無関心を装っていた黄龍の力を姫様が、受け継ぐ夢だった。
黄龍は、これ以上仲間同士が争うのに嫌気がさしたのか、または、ただの気まぐれなのか、姫様に自分の力を与えることにした。
次の日の朝、姫が目覚めるとユキも白虎も人間の姿になっていた。
「姫様、ユキは、姫様のおかげで人間の姿に戻れるようになりました。」と言って、姫様の前に膝間づいた。
白虎は、頭を掻きながら、
「やっと、人間に戻れたよ。これも、姫様のお陰かな?」
3人は、連れだって、国王の部屋に向かった。
王は、広い窓の前に座り、玄武に確認しながら、机の上の書類にサインしていた。
「みんな、やっと目が覚めたか?」
「城に戻った途端、再び眠りについてびっくりしたぞ。」
「この玄武殿が、色々知っていて助かった。」
「姫、そしてお二方、体調はいかがかな。」
「大丈夫だと思います、多分。それより、お腹がペコペコです。」
「そうか、わかった。今すぐ、食事の準備をさせよう。」
そう言うと、国王は自ら食堂に向かって、食事の準備をするように料理人に伝えた。
3人は、しばらくして、食堂に向かった。
食堂に近づくにつれ、料理の香りがさらに空腹を助長した。
3人は、いや、白虎は、我先にと料理の並んだテーブルに座ると、今にも、野生の虎に戻って、すべての料理を食い尽くしそうだった。
姫と、ユキは、好きなものを取り分けてもらって、静かに食事を始めた。
それに合わせ、国王と妃も一緒にお茶を飲むことにした。
白虎の騒々しさが、逆に国王と妃と姫とユキの上品な静けさを際立たせた。




