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冒険4

 その日の夜遅くに白虎は、目が覚めた。

ベッドの上で、上体を起こすと、窓から月明かりが見えた。

「しまった。頭を打って気絶したか?」

「普段なら、後ろに倒れるときは、顎を引いて後頭部を打たないように訓練しているのに、姫様の裸を見たことで動揺してしまった。」

「何に、動揺したって?」

突然、隣から、声が聞こえてびっくりした。

「姫様、何でこんなところにいるんですか?」

「それは、あなたが、気絶したのをここまで運んできてあげたからでしょ。」

「本当に、重たいんだから。ねえ、ユキ。」

「すみません。」

「でも、どうして、一緒のベッドに寝てるんですか?」

「ここまで、運んできたときにあなたの体の下に私のバスタオルが挟まって動けなくなったのよ。」

「早く、どきなさい。」

「あっ、すみません。」

 そう言って、慌ててベッドから起き上がったと、同時に姫様のバスタオルも一緒に付いてきた。

「キャッ!」

「白虎、服にバスタオルが引っ掛かってる。」

「すみません。」慌てて、外そうとするけど、暗闇で何も見えない。

「もういいわ。」そう言うと、姫様はバスタオルを外して、月明かりに照らされながら、裸のままお風呂場まで歩いて行った。

白虎は、部屋の明かりも付けずに、姫様のバスタオルをもってそのまま、自分の部屋に戻っていった。

 次の日の朝、姫様が、目覚めると

「ユキ、白虎の様子を見てきて。」と言った。

ユキは、器用に扉を開けると隣の部屋に向かった。

白虎は、まだ、ベッドに寝ていたので、ユキは、その顔をぺろぺろ舐め始めた。

「やめてくれ。ユキ。」と言いながらも、起きる気配がなかった。

どうやら、昨日のことで姫様に嫌われたんじゃないかと思うと、夜も眠れなかったのかもしれない。

それとも、他の理由?

仕方がないので、再び白虎の顔を舐め始めた。

10分ぐらい舐めまわしているとやっと無言で起き上がった。

そのまま、顔を洗ってシャワーを浴びて出てきた。

「おはよう、ユキ。」

そう言うと、服に着替えて、再びベッドの上に座り込んだ。

仕方が無いので、ユキは、ズボンの咥えて、姫様の部屋に、白虎を引っ張っていった。

「白虎、おはよう。」昨日は、何もなかったように、姫様は白虎に声を掛けた。

「おはようございます。姫様。」巨体から、蚊の鳴くような声が漏れた。

「白虎、今日は、この宿を出て東に向かいます。そして、そのまま、日本に一度戻ろうと思うの。」

「お城のお母様には、使いを出すわ。」

「私たちも一度態勢を立て直しましょう。」

「いい?」

「はい。」としか、白虎は、言えなかった。

「あなた、確かこの国に連れてきてくれた人を東の街に待たせてあるって言ってたわね。」

「一旦、その人の所に行きましょう。」

「わかりました。」

「そこから、飛行機で日本にもどればいいわ。」

姫と白虎は、10時過ぎにその宿屋を後にして、バスで東の街に向かった。

ところどころに石畳の街路が残っている。街にはずれになるとそこから田園風景が連なっていた。

東の町までは、バスで1時間ほど掛った。

そこで、白虎の知り合いと出会った。

「坊ちゃん、大丈夫ですか?顔が真っ青ですよ。」

「初めまして、姫様。何位か有ったんですか?」

白虎が、何も答えなかったんで姫様に聞いてきた。

姫様は、白虎の知り合いに耳を貸すように伝えると、小声で白虎を日本に連れて帰るようにお願いした。

「白虎、悪いけどここでお別れね。私は、もう少しお父様を捜してみるわ。」

そう言うと、踵を返してユキと一緒に今まで乗ってきたバスの方に走り出した。

白虎は、どうすることも出来ずにそれを見送るしかなかった。

「坊ちゃん、いいんですか?あのまま、行かせて。」

「いいんだ。俺がいても邪魔になるだけだ。」

「じゃ、日本に帰ります?」

「いや、しばらくここにいてこの国の様子を見る。」

「じゃ、部屋は準備して有るので、しばらくこの国の滞在しましょう。」

 姫とユキは、さっきのバスが折り返して再び城下街に向かうのに飛び乗った。

心配そうに見つめるユキに

「大丈夫よ、白虎は。それに、騎士団長の奥様は、白虎を信用できなくて、お父様のことを放さなかったような気がするの。」

「わたしだけ行けば、きっと何か教えてくれるはずよ。」

「それに、一番怪しいのは、お城の中のような気がするのよ。」

「黒龍は、間違いなく敵だけど、お母様も怪しいわ。」

「白虎が一緒だと、その判断ができない可能性が有るわ。」

「後は、ユキだけが頼りよ。」

狭いバスのシートに座って膝の上のユキを撫でながら、再び田園風景を眺めた。






 









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