冒険2
山の麓から、さらに西の方に向った。
以前なら、この辺りは西の隣国との国境に近いところで、ほとんどみんな近づこうとはしなかった。
でも今は、その隣国とも交流が始まった。
と言うのも、姫様の活躍で、隣国の国王を民衆が追い出し、そして、日本へのパスポートまで発行してあげるという仲の良い国同士になった。
広い道も整備されていた。以前は、密入国者も居たけど、今は、同じ国のようにパスポートもなく行き来ができるようになった。
「あれかな?」
その広い道沿いから、ちょっと入ったところに伯爵の屋敷が有った。
今は、賑やかな大通りに比較して、この誰も居ない静かな屋敷が、すごく異様に思えた。
建物自体は、まだきれいだし、庭もきれいに手入れされていた。
多分、街の誰かが手入れしているのだろう。
多分、お母様の指示かもしれない。
屋敷の扉をそっと押してみた。
やっぱり、カギがかかっていた。
『どうしよう?』通っていると、リュックの中でユキがうごいた。
「キュウ。」という声とともに、カギが一つ地面に落ちた。
「ユキ、これって、もしかしてお母様から?」
姫は、それを拾い上げて、扉の鍵穴にさして回してみた。
カチャッという音とともに、扉が開いた。
そのまま、白虎と部屋に入って再び扉を閉めた。そこは、広い広間になっていた。
姫は、リュックからユキを出すと
「ユキ、私たちが閉じ込めらていた牢屋まで連れていって。」と言った。
ユキは、その広間を通り過ぎ、反対の廊下に出た。
それから、その廊下の突き当りの1つ手前にある部屋に入っていった。
姫さんたちも、ユキの後に続いてその部屋に入った。
でも、その部屋には、ユキの姿が無かった。
「ユキ?」と姫が声を掛けると部屋の奥の騎士の絵のタペストリーの奥から、ユキが顔を出した。
「びっくりするじゃない。突然消えないでよね。」
「この奥が、かくしとびらになってるのね。」
タペストリーの奥の壁を押すと回転して、地下に続く階段が出てきた。
かび臭い生温い風が、その奥から流れてきた。
「姫さん、ハンカチで口を押えた方がいい。」
「ユキもこっちに来て。」そう言うと、白虎は、器用にユキの口をバンダナで囲ってあげていた。
そして、手に持った懐中電灯で中を照らした。
そこは、姫さんが、前に見た景色だった。
「こんなところに、牢屋が。」白虎がポツリと言った。
白虎は、自分のリュックから軍隊用の懐中電灯を取り出した。
あっという間に、昼間のようにあたり一帯が、明るくなった。
以前は気付かなかったけど、いたるところに血の跡のようなシミが有った。
「こんなところに閉じ込めらえていたなんて。白虎のやつ今度会ったらとっちめてやる。」
「さて、とりあえず、お父様の手がかりを探さなくっちゃ。」
辺りを色々見ても手がかりらしいものは、何も見つからなかった。
そんな中、さっきから、鼻をひくひくさせていた白虎が、
「何か、変な匂いがする。」と言い出した。
ユキも、さっきから、壁の後ろを気にしていた。
「ユキ、ちょっとどいて。」そう言うと、白虎がその壁めがけて突進した。
白虎が、体当たりすると壁が少し動いた。
「姫さん、これも隠し扉だ。」
こん度は、姫と白虎とユキで力を合わせて、その壁を押してみた。そして、やっと人一人が、通れる隙間ができた。すぐに、荷物をまとめてその先に進むことにした。
その道は、懐中電灯で照らすと結構長く連なっていることがわかった。
1時間ぐらい歩くと目の前に扉が見えてきた。その扉を開けると、そこは、西と北の隣国の国境そばの湖のほとりの小屋の中にでた。




