夏休み14.5
もうすぐ10時になろうとしていた。
「ユキは、部屋で待っててね。ちょっと、図書室に行ってくる。」
心配そうに足元にやってくるユキ。
「大丈夫よ。お母様とお話しするだけだから。」
「それに、ユキが一緒でもどうしようもないでしょ。おとなしくここで待ってて。」
そう言って、ユキを部屋に残して、図書室に向かった。
図書室の扉を開けえると、すでにお母様は、テーブルの上に幾冊も古そうな本を載せていた。
「いらっしゃい。ここに入るのは、初めてかしら?」
「いえ、子供のころによく絵本を読みに来てました。」
「ああ、あれね。でも、あれは、この家の歴史を絵にしてあるものよ。」
「でも、ドラゴンとか、魔法使いとか色々書いてあったけど。」
「そうね、多少は、真実もあるけどで多くは、国民に、そうな風に見せて、王族を敬うように仕向けたのよ。」
「今日あなたを呼んだのは、この国の秘密を教えておこうと思って。」
「あなたのおじい様、つまり私のお父様のことはどれぐらい知ってるんの?」
「以前、お母さんの教えて頂いたこと以外は何も知りません。」
「あなたのおじい様は、青龍の生まれ変わり。そして、お母様は、妖狐の神様。」
「そして、私は、その間に生まれた娘ね。」
「そして、あなたは、その私から生まれた。それが、どういう事かわかる?」
「特別な力があるってことは、人間からは恐れられるか、敬われるかのどっちかなの。恐れられれば、葬られるし、敬われたら、色々しないといけなくなる。だから、私たちは、普通の人間としてふるまうのよ。」
「だから、私は、普通の人間との結婚を選んで、あなたを普通の女の子として育てたかったから、こんな遠い国に来たんだけど。」
「残念だけど、あなたのお父様もドラゴンの血が入っていたみたい。それも、この地域で非常に高位の龍の血が。」
「その絵本は、たぶんその最初のころの話ね。」
「お父様は、青龍だから、龍の中でも正義をつかさどる。その中でも、天青龍だから、最も神に近い青龍ね。そして、偽の国王の黒龍は、闇をつかさどる。天黒龍が、他にいるはずなんだけど。」
「そして、その天黒龍のもとにお父様がいると思って間違いないわ。そして、あなたのお父様は、黄龍で光をつかさどるの。」
「そして、あなたは、いまは、白龍。」
「これは、どういう意味か分かる?」首をふる姫。
「わかりません。お母様。」
「あなたは、現在、最も天黄龍に近い存在と言うことよ。龍族の中で最も神に近い。天黄龍になれば、この世をあなたの思いのままに動かせる。あなたが、善を望むなら、すべてが善意のある世界に、悪を望むなら悪意のある世界に、あなたの持っている力に比例して変わっていくのよ。」
「そんな重荷を背負いたくなければ、白虎と結ばれて彼の奥さんになれば、その力はなくなるわ。」
「今、すべては、あなたの掌にあるんだけど、それに気づいた天黒龍が、今のうちにそれを阻止しようとしてあなたを狙っているのよ。」
「奴らに、日本であなたが白龍になった姿を見られたのがまずかったわね。だけど、その時のあなたの望みが人を思う気持ちだったから、誰も傷つけずに戦いを終わらせられた。」
「朱雀も、それを見たから、あなたにちょっかいを出さなくなったのよ。そして、あなたの秘密の文様を見ようとお風呂に誘ったのよ。」
「でも、見れなかったみたいね。ユキに、邪魔されたって言ってたわ。」
「だから、あれは、金脈のある場所を示しているのではなく、あなたが何者かを表しているのよ。」
「でも、安心して、あれは、誰でも見れるものではなくて、あなたが、心を許したものだけが見れるの。」
「あなたが、戻った時にお風呂で確認したけど、それが、薄っすらとしか見えなかったのは、あなたが私を疑っているのが、わかったわ。」
「あの時見せた噛み傷は、あなたが、私を襲わないようにするための偽装よ。」
そう言って、肩を見せてくれた。そこには、綺麗に何もなかった。
「レイラ、いま語ったことが真実よ。」
「だから、国を回って、お父様を探すのは、いいけど気を付けてね。」
「私は、お父様と結婚することで、青龍の力はなくなったわ。」
「そんな私でも、何かあれば、命がけであなたを守るわよ。」
「わたしを信じるか信じないかは、あなた次第よ。」
しばらく、二人は、見つめ合った。
姫は、一歩お母様に近づいて、
「私は、お母様を信じます。ユキの件も、白虎から真実を聞きしました。」
「どうすることが、正しいかは私にもわからないけど、お母様は信じます。」
「ありがとう。」そう言って、王妃は、姫を抱きしめた。
「さて、明日からの探索だけど、その前に、このテーブルに北の国、黒龍の国と今まで何が有ったかを記している伝記を調べて、相手の弱点を調べるわよ。」
「今まで、攻めてこなかったのには、何か理由があるはずよ。それを調べましょう。」
夕方まで、二人で色々調べて、黒龍の弱点のようなものを掴むことができた。
「じゃ、お母様、私は、明日の準備をします。そして、明日の朝早くにこのお城を白虎と出ます。」
「お母様は、偽の国王の動きを監視していてください。わかったは、その方が、得策のようね。でも、相手の欠点が分かったからって、油断しないでね。」
「わかりました。お母様。」そう言って、妃は、再びレイラを抱きしめた。




