夏休み12
しばらくして、玄武がやってきた。
「姫、その猛獣は、隣の部屋にお連れします。」
「白虎、見つからないうちに隣の部屋に。」
「白虎、大丈夫よ。何か有ったらすぐに呼ぶから。」そう言って、姫は、胸のペンダントを握った。
「それに、ちゃんとしたベッドで眠った方がいいわ。」
「姫さんが、そう言うなら。でも、何か有ったらすぐに呼んでください。」
「白虎、申し訳ないけど食事は部屋に運ばせてもらうよ。洗面と、シャワーは部屋に備え付けのものを使ってくれ。」
「わかった。」
白虎は、玄武と一緒に隣の部屋に向かった。
しばらくして、扉の閉まる音がして、廊下を歩く玄武の足音が、遠ざかっていった。
姫は、胸のペンダントに向かって、
「白虎、聞こえる?」
「ああ、姫さん聞こえるよ。玄武も、結構いい部屋を準備してくれたみたいだ。」
「とりあえず、全部揃っている。本当は、中ので繋がってる方が良かったんが?」
「そこは、大丈夫よ。」
姫がそう言うと、ユキと一緒にクローゼットの中に入って、姫様がやっと通れるくらいの隠し扉を開けた。
「こんにちは、白虎。」
そして、白虎の部屋のクローゼットから姫様が顔を出した。
「子供のころに、メイドと隠れんぼしていて、偶然見つけたの。」
「たぶん、誰も知らないはずよ。」
「これなら、姫さんと今後のことを色々打ち合わせできるな。」
「でも、周りの国が、どうして、こんな小さな、失礼、国を狙ってるんだ?」
「それよりも、他の国にさっさと占領されていてもおかしくないような気がするんだけど。」
「そうね、でも、小国といっても、最近レアアースが取れるし、農業も盛んだし、特に国力として弱いわけでもない。それに、周りの国同士も仲がいいわけでもないから、お互い手を出せずににらみ合ってるの。」
「でも、2年前の日本での出来事で、西の国とは、仲良くなったから、北の方の国が焦り出したってとこね。」
「黒龍も、北の方に住んでたみたい。」
「それに、これは我が王家の秘密なんだけど、この国の南西のプレートの関係で、地表近くまでマグマが上がって、金脈が地表近くにいっぱいあるのよ。」
「マグマの中って、金がいっぱい有るのよ。知ってた?」
「その金脈の有りかの秘密が、このお城のどこかに隠してあるんだって。」
「2年前は、それを目当てに、この国を追い出された伯爵が西の隣国と手を組んで奪いに来たけど、失敗したってところね。」
「その秘密をもしかしたら、こんどは、北の隣国にもばらしたのかもしれない。」
「でも絶対にばれないのよ。だって、お父様とお母様が一緒にならないとわからないんだって。」
「偽物の国王だから、それは、絶対に無理ね。」
「そうなのか。」
「姫さん、悪いけど、後でこの辺の地図をユキに持ってこさせてくれると助かる。」
「さっきのお母様の話だと、この後、本物の国王を俺が探しに行くことになるから、土地勘だけはつかんでおきたいんだ。」
「わかったわ、後でユキに持ってこさせるわね。それと、よろしくお願いします。お父様のこと。」
そう言って、クローゼットの中に入って、元の部屋に戻ってきた。




