夏休み10.5
姫は、白虎と別れて部屋に戻ってきた。
濡れた体を温めるために、お風呂に入ることにした。
「ユキ、一緒にお風呂に行きましょ。貴方も湖に使って寒いでしょ。」
姫は、着替えを持ってお風呂に向かった。
濡れた服を脱ぎ、湯気の立ちあがる湯船に入る前に、シャワーを浴びる。
「ユキも、いらっしゃい。」
頭から、ユキにもシャワーを掛ける。
髪の毛を香りのよいさんぷーで洗う。
そして、石鹸を手に取り、スポンジで泡を立てて、その泡で優しく体を包み込むように洗っていく。
大事なところも、そっと手で洗う。
ユキは、シャンプーで全身を洗ってあげる。
泡だらけの二人。
ちょっと温めに、温度を設定して全身の泡をシャワーで洗い流す。
柔らかなタオルで、髪の毛を包み込み、湯船に静かにつま先から体を沈めた。
湯船の中で、泳ぐユキを捕まえて抱きしめる。
「私に何が有っても、ユキと白虎が助けてくれる。」
姫を見て、頷くユキ。
「そして、今日の夜、白虎が部屋に来てくれる。」
「いいのかな?そんなことして。何か有ったらどうしよう。」
「大丈夫よね、多分。でも、部屋に来てくれたら、何をすればいいのかしら。」
「ベッド、1つしかないわね?」
色々、考えて、つい長湯になってしまった。
周りが、暗くなってきたので、慌てて湯船を出て、服に着替えて部屋に帰ってきた。
ユキは、バスタオルを巻いてそのまま抱っこして連れてきた。
部屋に戻って、ユキの体をバスタオルで拭いていると、食事の準備ができたとメイドのシルが、ドアをノックした。
「わかりました。すぐに行きます。」
そう、答えた姫は、もしかしたら、白虎もおなかが空いてるかも?と思った。
「ユキ、食堂に行ってサンドイッチ作るから、白虎に持って行ってくれる?」
そう言うと、レイラは、食堂に向かった。
お母様もお父様もいらっしゃらなかったので急いでキッチンに入ると、フランスパンスライスした。
「今日は、夏休みの宿題がたまってるから、サンドイッチを作って部屋で食べるわ。」
そう言って、テーブルに並んでいる夕食のチキンやボイルドエッグやサラダをスライスしたフランスパンに挟んで、部屋に持ち帰った。
扉を閉めると、作ったサンドイッチをハンカチに包んで、ユキに咥えさせた。
「お願い、ユキ、これを誰にも見つからずに白虎に渡して。」
そう言って、部屋のドアを開けた。
ユキは、足音1つ立てず廊下を滑るように走っていった。
姫は、ベッドに腰かけると、ユキが戻ってくるまで神様に祈ることにした。
「神様、ユキが誰にも見つからずに白虎にサンドイッチを届けられますように。」
なかなか戻ってこないユキに不安になりながら、部屋を行ったり来たりしていた。
部屋を何往復したかわからなくなったころに、少し開けてあった部屋の扉からユキが戻ってきた。
「旨く行ったのね、ユキ。」頷くユキを見て、
「じゃ、私たちも晩御飯にしましょう。安心したら、おなかすいてきた。」
そう言って、残りのサンドイッチを二人で食べた。
それから、ユキを話し相手に時間を過ごした。
時計が、0時を指した。
「まだ来ないわね。何かあったのかしら?」
シェークスピアのジュリエットもこんな感じでロミオを待ってたのかしら?そんなことを思いながら、
ベッドの上でユキと、白虎を待っていると、いつの間にか眠ってしまっていた。
間違えて辿り着いた部屋から、廊下を伝ってやってきた白虎は、姫さんの部屋の扉を開けて中をのぞくと、ユキと目が有った。
『良かった。』そのまま、後ろ手にドアを静かに閉めると、ベッドで寝ている姫さんを見つけた。
ユキに向かって、口の所に人差し指をかざすと、寝ている姫さんにシーツを掛けて、部屋の電気を消した。
そして、白虎は、窓のカギを掛け、誰も入って来れないように部屋の扉にもたれて眠ることにした。
ユキは、それを見て、白虎の足元に近づいて、丸くなった。そして、そのまま寝むってしまった。
綺麗なシルバーの毛がお風呂の中で広がった。




