夏休み3
夏休みも、3分の2が終ろうとしていた。
姫さまは、記憶が戻ったので、一度自国に戻ろうとしていた。
「ユキ、一度お母様に会ってくるわ。」
「まだ、ちょっとわだかまりがあるからちゃんと話してくる。」
ユキは、狐の姿のまま不安そうな顔をしていた。
「大丈夫よ、別に喧嘩しに行くわけじゃないから。」
「でも、私の大事なユキを打ったのよ。」
「事前に私に話をしてくれてもいいじゃない。」
「あした、青森の空港から、成田に向かってそこから、自国行の飛行機に乗るわ。」
「一人で大丈夫かって。」
「大丈夫よ。」
そう言って、旅行の準備を始めた。
チケットは、おじい様に頼んだらすぐに準備してくれた。
もっと、反対されると思ったけど、若いうちは、思った通りに何でもやればいいとのことだった。
「駄目な時は、それまでの人間だったってことだよ。」と言って、大声で笑った。
「自分で限界を作ると、人間は、それ以上成長しない。」
「今から、何でもやっておけば、将来がほんとに楽しみじゃ。ユキも付いていきたいと思ってると思うが、姫の成長のためもにここは我慢してくれ。」
そう言って、チケットを渡してくれた。
パスポートは、日本に入国するときに知らない間にできていた。
次の日の朝、目覚めて朝食を食べると玄関に来ていたタクシーに乗って、空港に向かった。
玄関では、おばあ様ユキ、そして佐紀に見送られてタクシーに乗った。
おじい様は、相変わらず忙しいらしく、昨日の夜のうちにどこかに出かけたみたいだった。
空港に着くと、荷物チェックの後、飛行機に乗るまで、ロビーでくつろいでいた。
今日のお昼には、国際線の便に乗り、明日の朝には、自分の国に着く。
「お母様には、昨日電話した。誰かを迎えに寄こすって言ってたけど、誰が来るのかしら?」
最近おじい様の書斎で見つけて気に入った本を読んで時間を潰すことにした。
しばらくして、飛行機の搭乗案内の放送が流れた。同じように、飛行機を待っていた人たちと一緒に搭乗口に向かった。
飛行機は、国際線に比べれば、小ぶりだったけど、無事に成田に到着した。
成田で国際線の搭乗手続きをして、再びラウンジでくつろいでいた。
ひとりの女性がカツカツカツとヒールの音を鳴らして、近づいてくる。
「姫様、こんにちわ。」
「朱雀様、お久しぶりです。」
「あなたのにおじい様に言われて、出発まで一緒に居ます。」
「ありがとうございます。」
「あのおやじも、孫娘は心配なのね。」
「何か有ったら、その時は、その時じゃ。自分で、何とか自分でしなさいって言ってたけど。
駄目なら、その程度の人間だって。」
「昨日まではね、それでもよかったんだけど、昨日の夜からまた雲行きが怪しくなってきたのよ。」
「そう言えば、おじい様も昨日の夜、急にどこかにいかれたみたいだった。」
「そうなのよね。どこに行ったかは、トップシークレットだけど。」
「だから、姫様も注意してね。飛行機の中も安全とは、限ってないから。」
「私が、護衛できるのは、搭乗ゲートまでだから。」
しばらくして、搭乗の案内が有った。
「朱雀様、今日は、お忙しいのにありがとうございます。」
「じゃ、行ってきます。」
「ほんとに、気を付けてね。ほんとは、誰か付けたいんだけど。」
「でも、大丈夫そうね。大人の顔になってるわ。体つきもね。」
「今度、会ったらまた一緒にお風呂に入りましょう。」
「はい。じゃ、行ってきます。」
そう言って、ハグしてから別れた。
国際線は、今度も、エコノミークラスだった。こっちの方が、人が多い分目立たないだろうとのことだった。飛行機が、飛び立った。
もしかしたら、富士山が見えるかな?そんなことを思いながら、日本を離れた。




