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夏休み2

 2週間は、何事まなく静かに暮らすことができた。

学校の夏の課題もほぼ終わった。

ピアノは、モーツアルトのピアノ協奏曲第21番を練習中だけどあまり旨くはなってない。

一度、動画で日本の女性が、引いているのを聞いて、これなら引けそうと思って教えて貰ってるけど全然左手が動かない。

「どうして、両手で引けるの?って佐紀に聞いたら、毎日、五時間ぐらい練習していれば、そのうちできますよって。」

『ユキのダンスもそうだけど、続けることが大事なのね。』

そのころには、ピアノを弾いていると、ユキが狐の姿で足元に来てくれるようになった。

どうやら、狐の姿なら、私のそばに居てもいいって、おばあ様から許可が出たみたいだ。

でも、狐の姿の時は、言葉が喋れないから、私の言ったことに頷いたり、首を振ったりするだけだった。

それでも、隣にユキがいてくれるだけでうれしかった。

少しピアノが弾けるようになると、それに合わせて、ユキがおどるようになった。

シルバーフォックスの輝く毛並みが、月の光に照らされて踊るのは何とも幻想的なんだけど、願わくは私のピアノがもう少し上手ならと思う。

そんな平穏な日々を過ごしていると、白虎が突然屋敷を訪ねてきた。

ペンダントから、白虎の声が聞こえてきた。

「姫さん、みんなには、内緒で玄関まで来てほしい。」と声を細めて。

誰にも気付かれないように、ユキと一緒に白虎を迎えに行くことにした。

ユキが、先を歩いて、誰も居ないことを確認したら、後ろを振り返る。そうな風にして、やっと玄関まで辿り着いた。

「白虎、やっと来れたのね。」って言うと、口元に人差し指を立てて『静かに。』とのことだった。

色々聞いてみると、補習が終わらなくて、学校を抜け出してきたみたいだ。

でも、ユキを見た途端

「ユキ。」って大声で叫んで、抱きしめてわんわん泣いていたから、私が静かにしても意味がなかった。

その声で、佐紀がやってきた。

「白虎、何やってるの?あなた、まだ、補習終わってないでしょう?」って言われ、そのまま、襟首をつかまれ、例の部屋から、学校に送り返された。

「これでもう、白虎は、ここにこられなくなったわね。」と言って、ユキと目をあわせた。

その日の夜、ペンダントから、白虎の声が聞こえてきた。

「姫さん、昼間は、すみませんでした。姫さんとユキに会いたくて、学校を抜けだし、ヒッチハイクで近くまでいって、それから、一日歩いて、やっとつけたと思ったら、すぐに見つかっってしまった。」とのことだった。

「われながら、恥ずかしい。」

「警備も厳重になったんで、夏休みが、終わるまでは、ここにつながれたままです。」

「もう、こっちには来れないわね。」

「一目でも、姫さんとユキに会えたんで良かったです。」

「じゃあね。おやすみなさい。」

白虎は、もう少し話したかったみたいだけど、廊下から足音が聞こえたので仕方なく、会話を切ったようだった。

夏休みが終わるまで、後、三週間。白虎、補習で死んでないといいけど。

そんなことを思いながら、姫は、ユキとお風呂に入ることにした。





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