夏休み
夏休みの間は、祖父のこのお屋敷で過ごすことになった。
祖父は、忙しいのか、夕食にもいらっしゃらないことが度々あった。
祖母もまた、ユキの治療そして、他の用事もあるらしく、あまり顔を合わせることも少なくなった。
でも、時々、おばあ様は、ユキを連れて湖畔を散歩したりするので、それに一緒に就て行ってもらったりした。
それは、それですごく落ち着いた幸せな日々だったけど、時々、白虎がいつまでたっても屋敷を訪ねてこないことに不機嫌になったりした。
『そうだ、今日はあのペンダントで白虎に話しかけてみよう。』
姫は、その日の夜、ペンダントに話しかけてみた。
「白虎、聞こえる?」
しばらく、何も聞こえなかった。
もしかしたら、このお屋敷からだと白虎と連絡できないようになってるのかしら?そんなことを思ったときに白虎の声が聞こえてきた。
「姫さん?すみません。全然連絡できなくて。」
「早く姫さんとこに行こうと、夜も寝ずに補習を受けてるけど、亜紀先生が厳しくて。今もやっと英語が終わったところです。」
姫は、時計を見ると夜の8時が過ぎていた。
「大変ね。」
「白虎のところにも、襲撃が有ったんでしょ?誰も何も教えてくれなくて。」
「有りました。でも、おれが、すべて片付けました。姫さんの学校は、無事守ったんで安心してください。」
「それと、ユキが生きてたのよ。今、おばあ様の治療を受けてるところ。」
「本当ですか?良かった。」白虎のうれしそうな声が聞こえてきた。
「ねえ、前から聞こうと思ってたんだけど、白虎とユキってどういう関係なの?」
「俺、小さいころに母親を無くして、その代わりにユキさんが俺の面倒を見てくれてたんです。」
「母親のような、お姉さんのようなそんな存在なんです。」
「そうなのね。今度、会ったら話しておくね。白虎が会いたがってたって。」
「お願いします。」
「明日から、もっと補習頑張ります。それに、姫さんから、連絡をもらえるなんて嬉しかったです。」
「じゃ、白虎切るわね。」
「あれ、姫さんちょっと待って。ユキさんの事話してたけど、もしかして、姫さん?」
「そうよ、記憶が戻ったの。」
「良かった。」しみじみとした白虎の声が聞こえてきた。
「ありがとう、白虎。心配してくれてたのね。」
ペンダントから、白虎の心臓の鼓動が聞こえてきた。多分、うれしさのあまりペンダントを胸に抱きしめたのかもしれな。
「今、この時に姫さんの傍にいられない自分が情けないです。」と言って、すすり泣くような声が聞こえてきた。
「白虎、男の子は泣かない。また、すぐに会えるから。こっちで、ユキと一緒に、白虎が来るの待ってれわ。」
「ありがとうございます。」
「じゃあね、白虎。」そう言って、ペンダントを宝石箱に仕舞った。
次の日から、姫は、夏休みの課題を午前中に、そして、午後からは、佐紀にピアノを教えて貰うことにした。この屋敷に来て、誰かがピアノを弾いてるのを聞いて、誰か?と思って探すと、佐紀がピアノを弾いていた。それで、自分もピアノを習いたくなったのだ。白虎が、来た時にびっくりさせるために。




