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本物の姫様

 白虎は、襟をつかまれながら、教室に入る途中で違和感を感じた。

ふと顔を上げると、自分の襟をつかんでいるのが、亜紀先生でなく姫様だった。

「えっ、姫様は、さっき朱雀と車に乗って、青島のお爺さんの所に向かったんじゃ・・・?」

「さっきのは、真紀よ。そして、私が本物の姫様。」

「敵が狙ってるから、一番危ない道は、真紀が身代わり。そして、本物は、学校に残って一番頼りになる白虎と一緒にいることにしたの。」

「あなたの補習が無ければ、みんなで一緒に帰ったんだけど。」

「だから、この広い校舎で、あなたとふたりっきりよ。」

「お前、姫さんじゃないな。」

「えっー、レイラよ。」

「うそつくな、姫さんが人を身代わりに使ったりしない。」

そう白虎が言ったとたん、今まで以上に強い力で校舎の中に連れていかれた。

 そのころ、学校の前の建物の屋上から今までの成り行きを双眼鏡で見ていたものがいた。

「王女は、赤いカウンタックに乗って、学校を出ました。引き続き学校内を監視します。」

「ボス、すみません。今、校庭をひとりの学生と王女が校舎に向かってます。」

「王女が二人います。」

 無線機から、男の声が流れた。

「どちらかが、偽物だ。車の方は、自分たちが始末する。学校の方は、今から別動隊を向かわせるから、着くまで二人を監視していろ。」

「了解。」

 校舎に入った途端、姫様は、白虎を廊下に突き飛ばした。

「なにするんだ!姫様の格好じゃなかったらぶっ飛ばしてやる。」

「馬鹿ね、学校の外から、誰かが見ていたの気付かなかったの?」

「相手をごまかすために、姫様に化けたのよ。それなのに、ほんとあなたは、もう少しでばれるところだったじゃない。」

「少なくとも、これで、相手の勢力は、二分できたと思うけど。」

「白虎、今晩敵が襲ってくるかもしれないけど、大丈夫?」と姫様の偽物が言った。

「姫様の偽物!」そう言って、白虎は飛びかかろうとした。

「待て、白虎、私よ。」そう言って、偽物の姫様は、亜紀先生の姿に戻った。

「詳しく話すから。落ち付いてね。」

「昨日、青龍様から、敵が動き出したとの連絡が有ったの。多分、学校が、夏休みになる時を待ってたみたい。それで、昨日の夜から、学校の前のビルの屋上に不審な動きが有ったから、注意していたのよ。」

「朱雀さまと一緒なら間違いないと思うけど。こちらでも、敵を引き付ける必要が有ったのよ。」

「それなら、そうと最初から言ってくれれば・・・。」

「駄目よ、あなた、すぐに顔に出るから。それに、姫様が、一緒に学校に残るって言われても困るでしょ。」

「わかったよ。それで、俺は何をすればいい。」

「私が、姫様に化けるから、あなたは、いつもの通りにしてればいいわ。」

「なんなら、姫様の部屋に入ってもいいわよ。姫様のベッドで寝たいでしょ。」

「いや、それは、駄目です。」顔が真っ赤になる白虎。

「じゃ、入り口で見張っててね。」

「それと、あなたのお父さんに応援を頼んだから、あなたの兵隊をうまくつかって敵をやっつけてネ。」

「夕方には、来れるって。」

「その前に、ビルの屋上の監視は、私が片づけておくから、それまでは、勉強でもして時間をつぶしておいて。今日、終わって生きてたら2週間後にテストするから。」

「姫さんは、大丈夫なんだろうな。」

「その首のペンダントは、何のためにあるの?本人に聞いてみれば?」

「いや、わかった。そう言うことなら。姫様の敵は、俺がやっつける。」

 日が沈むのを待っていたかのように、白虎の部隊が、やってきた。

ビルの見張りは、すでに亜紀が始末していた。

「坊ちゃん、尖鋭を連れてきました。全員、命は、坊ちゃんに預けている者たちです。ご自由に使ってください。」総勢50名が、一斉に敬礼した。

「今日は、そこにいる姫さんの偽物を敵から守る。偽物と言っても、姫様の従者なので丁重に扱うように。」

「よろしくお願いします。」と偽物の姫様が声を出した。

「敵が、今夜襲ってくるかはわからないけど、十分注意してくれ。」

その言葉を聞いて、30名が校内の各持ち場に散らばった。

「ちょと、人数が少ないかな?亜紀、もし、何か有ったら、俺が守ってやるから、その格好で逃げ出してくれ。」

「わかったわ。よろしく。」

「敵は、どういうやつかわかっているのか?」

「それが、いまいちわからないのよ。政府の中に誰か、手引きしている奴がいるのは確かなんだけど、しっぽがつかめなくて。以前、姫様を襲った連中とつながりがあるとは思うんだけど。」

「でも、彼らは、ほとんど姫様のもとにやってきたから、結局、ボスはわからなかったのよね。」

「だから、今日は、できることなら、敵を捕虜にして、口を割らしたいのよ。」

「わかった。」

 20時を過ぎたので、姫様の部屋以外の明かりをすべて消して息を殺して敵を待つようにした。











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