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教室

 翌朝、白虎は、頭に包帯を巻いて教室に現れた。

「あら、白虎どうしたの?誰かと喧嘩でもしたの?」

「姫様も、お人が悪い。」

「あら、頭に包帯なんか巻いて、結構弱いのね。」と真紀。

「自分が弱いのは、姫様だけです。」

「もう、姫様、さっきから、その下品な笑い止めてください。」

「昨日のは、お礼よ。私の事、命がけで守ってくれるって言ってくれたの、あなたで二人目よ。」

『もう一人は、誰?』って思ったけど思い出せない。

「でも、あのペンダントすごい。なんでも伝わるのね。」

「内の家宝ですから。」

「白虎の家宝って何?」真紀が口をはさんだ。

「家宝は、家宝だよ。そう人に、ペラペラしゃべらない。」

「ケチ。」

 授業の始まるチャイムが鳴ったので、みんなそれぞれの席に着いた。といっても、姫様の右と左に分かれただけだけど。

 それから、何事もなく3カ月が過ぎた。

そして、明日から、夏休みになる。

「姫様、今年もこの寮で過ごされますか?」

「そうね、どうしようかな?」

 多分、祖父が、日本にいるはずだけど、一度も連絡が来てない。確かに、寮費と授業料は、払われているみたいだから、居ることは間違いないのだけれども。

「どこにも、行く当てがないからやっぱり寮で過ごすわ。」

「姫様が、そうするのなら、自分も学校に残ります。」

「白虎は、実家に帰らなくていいの?」

「大丈夫です。四六時中ずっと姫様についているように言われてますので。」

「ストーカー!」と真紀。

「うるさい。」

この二人、仲がいいのか悪いのか。この二人とも以前から知り合いのような感じがする。

一体、この人たちは、私の何なんだろう?

「明日から、夏休みですが、皆さん無茶をしないように。元気で、二学期に登校できるように。それと、夏休みの間もしっかり勉強するように。」と、亜紀先生が、生徒たちに、それから、白虎の方を見て、

「それと白虎くん、あなたは、補習を受けるように。」

「他の人は、大丈夫ですね。」

「それと、青島レイラさん、このホームルームが終わったら私と一緒に来てください。」

「先生、自分も一緒に行っていいですか?」

「駄目です。」

「白虎、大丈夫よ。」そう言って、姫様は、胸のペンダントを触った。

「わかりました。でも、気を付けてください。」

「わかったわ。ありがとう。」と小声で答えた。

「では、ホームルームは、終わります。」

 姫様は、教室の入り口で待っている亜紀先生の所に向かった。

何故か、真紀は、当たり前のように、姫様の後についてきた。

「先生、どこに行くんですか?」

「理事長のところよ。」

「理事長が、どうしてもあなたに会いたいということなの。」

『理事長?』そう言えば、この学校の理事長も、校長も知らない。

一体、誰なんだろう?

 長い廊下を歩いて、別棟の大きな扉の前に亜紀先生と並んだ。

亜紀先生が、その扉をノックした。

「理事長、レイラ様をお連れしました。」

レイラ様?今、先生そういったわよね?私の先生なのに。

「どうぞ、入ってください。」

 中から、男性の声がした。

「真紀は、廊下で待っていなさい。」そう言って、

扉を開ける亜紀先生に続いて、姫様がその重そうな扉の中に吸い込まれた。

「よく来たの。レイラ。」目の前には、白髪の老人が、大きな机の向こうに座っていた。

その老人が、誰かわからずキョトンとしていると、

「やはり、2年前の記憶が無いというのは本当なんじゃな。」

「お前の祖父の青島龍蔵じゃ。」

「おじい様?」

「そうじゃよ。2年前に会っているが、その時の記憶が無いそうじゃの。」

「さて、どうするかの?」

「その前に、その胸のペンダントは、厄介なのでしばらくの間、通信できないようにさせてもらうよ。」

「白虎は、しばらく焦るじゃろうけど、まず、ここには、来れないだろう。」

 姫様は、祖父と名乗るその男の後ろの窓の景色をみつめた。

そこには、いつも見ている学校からの景色と違って、森のような木々と大きな湖が見えた。

「ここは、どこです?」

「東北のわしの住居じゃよ。」

「お前も、2年前に来たことが有ったが・・・。」

「まあ、いい。今日来てもらったのは、お前の様子が気になったのと、そろそろお前の存在が敵に気付かれそうになったのでここに連れてきたんじゃ。」

「やっぱり、白虎がそばにいると安全かと思ったが、色々目立っていかん。」

「それに、補習じゃお前を守れんからの。」

「白虎の親父にも、補習を見逃すように言われたが、奴のためにもそれはできん。」

「と言うことで、レイラ、夏休みは、ここで暮らしてくれ。」

「悪いが、明日の朝、真紀と一緒に再びここへ来てくれ。」

「亜紀、学校の様子は、どうじゃ?不穏な動きはないか?」

「今のところ、他校からの嫌がらせは、白虎が来たおかげで無くなりました。」

「朱雀様にも、目を光らせて頂いておりますので今のところ問題ありません。」

「記憶を無くされているおかげで、敵にも姫様の存在が分かり難いのかもしれません。」

「そうか、わかった。レイラも、気を付けてくれ。」

「ユキが、居てくれればこんな心配もしなくてもいいんだが。」

 姫様は、敵とは、誰なのかとか色々聞きたかったけど、知らない人なので怖くて何も聞けなかった。

「青龍様・・・」と亜紀先生が言おうした途端、祖父の顔色が変わった。

「青島じゃよ。亜紀先生。」

「失礼しました。奥様からは、何かご連絡有りましたでしょうか?」

「今のところ、連絡はない。」

「承知いたしました。」

「それでは、これで失礼致します。」

「失礼します。」

亜紀先生と一緒にその部屋を出ると、廊下で真紀が待っていた。

「真紀、姫様と一緒に寮に戻ってね。」

「わかりました。」

「それと、2日後に青島様の住居に姫様をお連れするから、その準備もお願いね。」

「わかりました。」

そう言うと亜紀先生は、職員室に向かった。

「姫様、行きましょう。」

そのまま、二人連れだって女子寮に向かった。 

そのころ、白虎は、連絡が取れなくなったので学校中を走り回っていた。





 


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