訪日1
あっ!という間に、一か月が過ぎた。
「とうとう、明日が日本に飛び立つ日ね。今日で、毎晩やってくる暗殺者どもともお別れね。」
「姫様、今日は、訪日の準備で忙しくなりますよ。」
「衣装は、10日分あればいいんでしょ?それと、ドレスがいくつかとネックレス。」
「準備は、大丈夫よ。」
「アキとサキも一緒に行くんでしょ?」
「もちろんです。」
「じゃ、今日は、ゆっくり過ごしましょう。それに、日本の礼義作法教えてね。それと、もう一度、写真を見て皇室の方々のお顔と総理大臣?の名前と顔を覚えなきゃ。まあ、最悪忘れても玄武が、念話で教えてくれるわよね。」
「あれ、姫様、玄武は、こちらでお留守番ですよ。」
「途中で、来るかもしれないとはおっしゃってましたけど。」
「何か、こっちでやることがあるとかで。」
「それと、姫様、他のものはどうでもいいから、この箱にある首飾りだけは、肌身離さずしっかり日本に持って行ってくださいね。」
「トイレに行くときも?」
「そうです。トイレに行くときもです。」
「一体何なの、これ?」
「これが、今回姫様が日本に行く目的です。」
「この中の首飾りは、姫様と一緒じゃないと、何が起こるかわかりません。」
「このお城に古くから伝わるもので、魔王が封印されていると言い伝えがあります。それを今回、日本の技術者が詳細を調べます。」
「今まで、聞いたことが無いけど、私が、カギってことね。」
「そうです。本来は伝承されるはずが、お父様が急逝されたので、お伝え出来なかったのだと思います。」
「そうなのね。」
「この首飾りがある限りは、姫様の家系は安泰です。」
「その言い伝えを誤解したものが、私の命を狙ってるのね。」
「そうだと思います。」
「いつもは、どこにあるの?これ。」
「これは、玄武様が厳重に保管しています。」
「今日は、いいの?」
「多分。」
多分・・・ね?ほんとうかしら、ちょっと疑わしいわね?
「まあ、いいわ。信じてあげる。」
「ありがとうございます。」
「明日は、9時にこのお城を馬車で出発します。」
「それから、街に出て、電車で空港まで向かって、そのまま飛行機に乗って日本です。」
「向こうでは、朱雀が姫様をお待ちしております。」
「どんな人?」
「赤い服を着た女性です。」
「玄武様よりも優しいから、私たちは好きですね。」
「そうなのね。」
「それと、お爺様も都合がつけば、お迎えに行くとおっしゃられてました。」
「そう、じゃ安心ね。」
「当日は、都内のホテルにお泊り頂きます。」
「翌日は、皇室の方々にご挨拶をして頂きます。」
「それから、大使館に向かって、そのまま外務省に向かって頂きます。」
「それが終われば、晩餐会に出席して頂いて、翌日は経済産業省の方々とレアアースの貿易の話をして頂きます。」
「そこは、朱雀が、対応するので姫様は笑っているだけで大丈夫かと。」
「その後、お忍びで、ご要望のDランドを存分にお楽しみいただきます。但し、安全のため、真夜中ですけどね。」
「その後は、都内観光。秋葉原でのコスプレプレイもご用意しております。翌日は、陸路で大阪に向かいます。」
「そして、生きていれば、大阪でたこ焼きパーティ。で、関西空港から、こちらに戻ってきます。生きていれば。」
「その、生きていれば?ってどういう意味。」
「言葉の通りです。日本に行けば、私たちの仲間もいるのでまず大丈夫です。」
そうこうしているうちに、翌日になり、気付けば、日本行の飛行機に乗っていた。
「なんで、一国の王女が、エコノミーに乗ってるのよ?しかも周りは、一般庶民だらけ。」
馬車で、お城を出るまでは、みんな手を降ってくれたのに、町に着くと怪訝な顔をされて、飛行機に乗る前には、アキとサキが、
「姫様、すみません。私たちは別の方法で日本へ向かいます。」って、言って急に消えるし。
キャビンアテンダントに航空チケットを見せたら、エコノミーに案内されるし。
せめて、ファーストクラスにしろ!って言うんだよ。
「玄武のやろう、今度会ったらただじゃ済ませねえからな!」
さっきから知らないガキが、指さしてくるし。
「お母さん、お母さん、この人王女様じゃないの?」
「駄目よ、知らない人に指さしちゃ。でも、見たことある顔ね。」
えっ、この状態であと10時間も飛行機に乗ってろてか?耐えれない。
しょうがない。酒でも飲んでねるか!って、まだ未成年だから飲めません。
ほんとに、日本に無事付けるのかしら?頼みの綱は、この首飾りだけってとこね。